DMMオンラインサロン~第6章 藤田式収益力企業価値比較法⑤~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.08.05

DMMオンラインサロン~第6章 藤田式収益力企業価値比較法⑤~

DMMオンラインサロン~第6章 藤田式収益力企業価値比較法⑤~
M&A仲介会社に騙されやすいポイント

 M&Aの仲介会社は、収益力に資産を足して売却額を算出するところが多いですが、中には資産をかさ上げして、実際は売却できない資産や資産価値のないものを高い資産と査定して資料を作る場合があります。純粋な収益力で判断するのがM&Aの本来の企業価値ですので、理に適っていない資料が出てきた場合は、それに踊らされて高値で買わないように気を付けましょう。
一般的にM&Aの仲介会社は

<EBITDA(○倍)+現金・保険積立金+不動産+商品在庫>

という計算で買収価格を算出しています。ただし、先ほどお話しした通り、不動産+商品在庫は、その企業の収益を生み出す力とは関係ありません。
 ここで問題です。どちらの会社を購入した方がお金持ちになれると思いますか?

(ケース①)
売却価格:1億5000万円
現金:0円
不動産:自社所有1億円(家賃:0円)  
営業利益+減価償却費=3000万円(EBITDA)企業収益力

(ケース②)
売却価格:1億5,000万円
現金:1億円
不動産:賃貸物件(賃料480万円/年-購入経費(想定固都税+修繕費用積立含む+保険料)180万円=300万円/年)
営業利益+減価償却費=3000万円-300万円(家賃分経費)=2,700万円(EBITDA) 企業収益力 

【ケース①の場合】
1億5000万円-現金0億円=1億5000万円の投資額に対して3000万円の利益となり、利回りは20%です。

【ケース②の場合】
1億5000万円-現金1億円=5000万円の投資額に対して2700万円の利益となり、利回りは54%です。実質は5000万円分しか購入しておりませんので、もし同じような会社をあと2社購入し、計3社を購入(1億5000万円)したとすると、年間8100万円の利益となります。

1年間で3000万円と8100万円の収入の差になります。➀と②の会社がこれだけ企業の収益力の差があるのに、同じ1億5000万円のわけがありませんよね。

 また、②の会社はさらにメリットがあります。例えば、今回の会社が借り入れ余力のある会社であれば、仮に1社あたり2700万円利益が出ているのですから、1社あたり5000万円の運転資金の借り入れができれば、3社で1億5000万円の現金が手に入ることになります。投資資金5000万円に対して、現金が1億5000万円増えますので、差引1億円が手元の現金が増えたことになります。その1億円をまたM&A投資に回したとすると…、想像がつきますよね。このように複利で運用していくことができなければ、いつまで経っても企業は大きくなりません。今回はM&Aということでのお金の運用で話をしていますが、儲かっていない会社や拡大していかない会社の一つの原因に財務面に弱いことが挙げられます。次回はその辺りのことを解説したいと思います。

(次号へ続く)