損をしない住まいづくり~賢い補助金制度の使い方~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2024.06.17

損をしない住まいづくり~賢い補助金制度の使い方~

損をしない住まいづくり~賢い補助金制度の使い方~
補助金制度で耐震補強工事に200万円支給

 家は時間の経過とともに必ず老朽化します。住み慣れた家に長く住み続けるためには、定期的なメンテナンスやリフォームが欠かせません。とはいえ、リフォームにはお金がかかります。しかも、工事が大掛かりになればなるほど、その費用はどんどん高額になるため、やりたい気持ちはあるものの、なかなか踏み切れないでいるという方も多いのではないでしょうか?今回はそんなみなさんのために、国や自治体の補助金・助成金制度を活用したリフォーム事例をご紹介します。
 今回、取材でお邪魔したのは、神奈川県川崎市に在住の中村信介さんの木造戸建てのお宅です。昨年、築40年を迎えたのを機にリフォームしたばかりとあって、とても住み心地の良さそうなお宅でした。
 中村さんがリフォームを決意したのは、自治体で行っている無料の耐震診断を受けたことがきっかけでした。結果は「地震で倒壊する可能性あり」というもの。築年数的にある程度の覚悟はしていたそうですが、これは中村さんが予想していたよりも悪い結果だったそうです。

「古さもさることながら、重い屋根瓦も問題でした。このままだといずれ支えきれなくなって、地震が起こらなくても押しつぶされてしまうかもしれないと言われました」

さすがに「これは何とかした方が良い」と思った中村さんは、奥さんとも相談の上、リフォームすることを決断しました。
早速、自治体の紹介を受け、地元の工務店をいくつか回ってみた中村さんは、毎年10棟前後の耐震補強工事を手掛けているという、地元で有名なリフォーム会社に見積もりを依頼しました。担当者は中村さんの要望を聞いたうえで、その内容から補助金制度が活用できると判断。中村さんに手続きの進め方について詳しく説明してくれたそうです。

「耐震補強工事が一番の目的ですが、他にも水回り設備の入れ替えやバリアフリー工事などもしたいと考えていました。ただ、それほどたくさんの予算があったわけではないので、どこまでできるか不安はありました」

 中村さんがリフォーム工事のために用意したのは1500万円。一方、リフォーム会社の見積もりは約1700万円でした。その差200万円。これを埋めるために、中村さんは「長期優良住宅化リフォーム推進事業」と「木造住宅耐震改修工事補助金」という2つの補助金を申請。工事内容がしっかり条件を満たしていたため、合計で200万円の補助金がおりることになったそうです。内訳は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が100万円、「木造住宅耐震改修工事補助金」が200万円でした。 
 工事にかかった期間は約1カ月半。耐震性能を上げるために、内側の壁はいったん全部剥がし、合板や耐震金具などを使って躯体全体を補強。同時に断熱性能を向上させるために、壁や天井の内側にグラスウールを仕込み、窓もすべてペアサッシに交換されました。
水回りも一新。40年にわたり稼働し続けてきたバランス釜の浴室は解体され、機能性に優れた最新式のユニットバスに交換。トイレやキッチンも、おしゃれで使い勝手の良い新しいものに交換されました。
 また懸念材料の一つだった重たい屋根瓦はすべて撤去し、躯体への負担が少ない金属屋根に変更されました。
 一方でバリアフリー化に伴い、玄関付近や階段、トイレ、浴室には手摺を設置。もともとあった部屋と部屋との間にあった段差はすべて取り払われ、床はすべてフラットにされました。玄関の手前にあった段差も、脇にスロープを設置することで対応。足腰に負担をかけずに、家に出入りできるようになりました。
 すべ手の工事が終わった後、改めて専門家による耐震診断を実施。その結果、耐震性能は劇的に改善。改装前は0.3しかなかった評点が、1.75まで上昇したそうです。

「診断をしていただいた方からは『これなら多少大きな地震が来ても簡単に倒壊することはありません』と言われました。とりあえず一安心しました」

 中村さんのケースは、仮に工事が耐震補強だけだったなら、最初に用意した1200万円で工事代は十分に足りていました。しかし、補助金制度や助成金制度を活用すれば、より充実した内容の工事がお得にできるというリフォーム会社の提案を受け、水回り設備の交換やバリアフリー化などもまとめて行いました。補助金制度があることを知っているかどうかだけで、できる工事の内容には大きな差が出ます。みなさんも、リフォーム工事を検討する際にはお近くの全国優良リフォーム会員にご相談ください。