福井県発!話題の会社を直撃!~有限会社牧野・牧野智樹社長~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.07.15

福井県発!話題の会社を直撃!~有限会社牧野・牧野智樹社長~

福井県発!話題の会社を直撃!~有限会社牧野・牧野智樹社長~
空室だらけの築古物件を利回り15%超の優良物件に再生

 有限会社牧野(福井市石盛町)は、福井県下において中古住宅の再販事業で急成長を続けるまいほむ(福井市石盛町)のグループ会社で、不動産投資や不動産賃貸業をメーンに手掛けている。同社の事業戦略について牧野智樹社長に話を聞いた。

-まいほむで空き家の買い取り再販事業に注力する一方、有限会社牧野では収益物件への投資を拡大させています。

牧野 現在、福井県内の物件3棟20室を所有しています。

-不動産投資はいつ頃から取り組んでいるのでしょうか。

牧野 有限会社牧野としてはまだ2年ほどの実績ですが、以前もグラストジャパンという別の会社でやっていました。この会社は2011年に町の便利屋として立ち上げたもので、最初はアパートやマンションのルームクリーニングを、途中からはリノベーションを手掛けていました。仕事柄、入居率の低下した築古物件と出会う機会が多く、その流れで自然と不動産投資に興味を持つようになりました。ちょうど不動産向けの融資が受けやすい時期だったこともあり、徐々に物件を増やしていきました。

-その後、グラストジャパンはどうされたのでしょうか。

牧野 所有物件が100室ほどになったタイミングで、取引先にまとめて売却しました。したがって、現在は有限会社牧野のみで不動産投資を行っています。

-グラストジャパンを売却し、有限会社牧野で改めて不動産投資を始めた狙いは。

牧野 グラストジャパンは融資に積極的な金融機関の協力もあって、短期間のうちに物件を増やすことができましたが、その分、借り入れが多く、財務面では改善の余地がありました。そこで、ある程度家賃収入を得た段階でいったん売却し、そこで得た利益を元手にして、有限会社牧野で再び物件を購入することにしました。その結果、前回よりも投入できる自己資金が増えた分、財務状況は健全になりました。理論上、同じことを繰り返せば、いずれ借入金ゼロで不動産を増やすことができるようになるわけですが、それだとレバレッジがまったく効かなくなってしまうので、投資の面白みが失われてしまいます。バランス的には3周目あたりがちょうど良いだろうと考えています。今はサイクル的には2周目ということになります。

-売却を視野に入れているとのことですが、物件数ベースでどのくらいを目処に考えているのでしょうか。

牧野 そのときの状況によって見極める必要はありますが、とりあえず物件数が100室くらいになった時点で検討しようかと思っています。

-物件の取得ペースについてはどのように考えているのでしょうか。

牧野 あくまでも目安ですが、3年から4年で100室というイメージをもっています。有限会社牧野については、あと1、2年のうちにこの目標に到達し、売却へ持っていきたいと考えています。

-どのような物件を購入しているのでしょうか。

牧野 基本的に、一般の投資家が見向きもしないような、空室の多い老朽物件を購入しています。普通は空室が多い物件は避けられがちですが、当社には空室を埋めるノウハウがありますからね。むしろ、そういう物件の方が手頃な価格で売りに出されるので、とても魅力的だと思っています。購入後は、これまで培ってきた経験を活かし、利回り15%以上の物件に再生して運用します。アパート、マンションはもちろん、企業が福利厚生施設として使っていた物件なども条件が合えば購入しています。また別事業で空き家の買い取り再販事業をやっているので、そちらで賃貸で運用できそうなものが出てくれば、それをこちらで購入するということもありえます。

-不動産投資を始めた頃とは、市場の状況もだいぶ変わったと思います。

牧野 確かに、以前と比べると、当社が求めるような物件は出にくくなってきています。ここにきて、福井県にも魅力的な物件があるということが、知られるようになってきた影響だと思います。最近はこれだと思う物件があっても、競争が激しくて、簡単に買えません。

-今は福井県内で物件を購入されていますが、県外への投資についてはどう考えているのでしょうか。

牧野 改装や管理といった作業面の効率を考えて、今は福井県内の物件を購入していますが、県外の物件も良いものがあれば購入したいです。むしろ情報はどんどん欲しいと思っているくらいです。

-空室対策リノベーションのコンセプトを教えてください。

牧野 部屋選びを楽しめるように、例えば12室あれば12通りのデザインで部屋づくりしています。といっても、間取りから設備まで全部変えていてはお金がいくらあっても足りませんので、基本的には壁紙や床材など、表層部分のデザインをうまく使い分けてバリエーションを増やすようにしています。どんなに空室の多い物件も、購入からわずかな期間のうちに満室になっています。

-空室対策のノウハウの源泉はどこにあるのでしょうか。

牧野 何といっても、クラストジャパン時代に不動産賃貸会社からの依頼でリノベーションを数多く手がけた経験が大きいです。もっとも多いときで、年間150室もリノベーションしていましたからね。

-今後については。

牧野 有限会社牧野は不動産投資の会社ですが、事業を通じて空き家の再生に取り組んでいる点は、グループの中核企業であるまいほむと同じです。地域を活性化させるためにも、積極的に不動産投資を進めていくつもりです。