DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2024.04.08

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~

DMMオンラインサロン~第3章 M&Aの会社の価格・価値とは④~
ごまかしの多い不動産価値の評価

 ここからは、買収価格の計算をより合理的に計算式を使って考えていきます。藤田式収益力企業価値比較法とは、企業の稼ぐ力を元に企業価値を出し、永続的競争優位性の倍率を元に買収価格を割り出す方法になります。

<EBTIDA(○倍)+現金等(現金・保険積立金―借入金)+不動産(売却可能性余剰分)+商品在庫(通常流通余剰分)>

という計算をした後、事業や企業内容を永続的競争優位性倍率に当てはめて購入する方法です。
 この方法が必要な理由は3つあります。

①M&A仲介会社によるかさ上げやごまかしを無くし企業の収益力に特化し判断できる。
②仲介担当者による主観での判断で企業の永続的競争優位性を見誤らないため。
③投資的な判断から株式投資・商品取引・不動産投資と比べて、割安か割高を判断できる。

これを活用すれば、M&A仲介会社によるかさ上げやごまかしを無くし企業の収益力に特化し冷静に判断することができます。M&Aの仲介会社は、買主に対して実態よりも価値のある会社としてい割高で購入させようとします。

①M&A仲介会社によるかさ上げやごまかしを無くし企業の収益力に特化し判断できる。

 例えば売主が「もうこの工場では売上・利益が上がらない。事業を辞めたいがここ最近の業績では高く売れない。どう説得したら買主に高く買ってもらえるだろうか?」と考えているとします。そうすると、決算書ではわかり難い所で買主を説得しようと考えます。

売主「現在このあたりの土地は20年前に購入した時の1.5倍まで地価が値上がりしていますからお得ですよ!

(実際は、この土地には、過去に印刷が工場で使われていたために土壌汚染があり、地盤改良するのにお金がかかるのは内緒ですが…)
(道路に面している土地の部分が小さく、建売屋さんに売る場合には道路部分を抜かない
といけませんので、実際の有効面積が小さいことは内緒ですが…)」

売主「こちらの建物は円高の時に建てられています。今は資材高騰で建築費も上がっているので、現在建物の簿価は3億円ですが、今同じ建物を建てようと思うと5億円はくだらないと思います。

(実際は、ここ20年外壁塗装や防水工事・設備の入替をしていない為そろそろ大規模改修が必要です。アスベストを使っていることも今回は知らないふりをしておきましょう)

(当社の工場兼倉庫兼事務所は特殊な間取りで作ってしまっているので、このままの仕様で他の会社で購入してくれる需要はないと思います。本当は解体しないと土地だけでも売れないと思いますが、それは内緒にしておきましょう)

(築30年でエレベータの改修費用が掛かるのと、消防点検をすると指摘事項が出てくるので、しばらく実施していないことは黙っておきましょう。それが分かってしまうと、簿価3億円の建物の資産価値が本当は0円になってしまいます)」

 これは、不動産の評価額で一番多い騙しのパターンです。路線価評価で割り戻して価格を出したり、固定資産税評価で割り戻して評価をしたり、単純に地方の土地建物を評価証明額の0.7掛けで割り戻した数字をM&Aの案件の概要書で入れてくるようないい加減な仲介会社には要注意です。もっと言えば、その土地建物だけを新規購入するとして、銀行がその物件の担保として見てもらえる金額までが”本当の評価金額(資産価値)”です。このようないい加減な評価でIM(企業概要署)を持ってくるM&A仲介会社は意外と多いです。