闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第49 回)|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.03.04

闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第49 回)

21 役割を一緒にしていませんか?-プロとアマチュア 正社員とアルバイト②

(見出し)

(本文)
 高度経済成長が終わり、バブルが崩壊したあたりからだろうか、労基や法令順守と言われるようになったのは。少なくとも、私の新人社員の時代は、今でいうブラック企業が当たり前の時代だった。成績が上がらなければ日曜出勤するのも当たり前だし、朝7時に出社して12時に頃まで働くことも普通だと思っていた。成績が上がらない=貢献していない。それなのに給料をもらう。これでは給料ドロボーになってしまう。だから成績が出せないのであれば、やるしかないのだ。
 当時の営業会社は、根性論の会社が多かった。1日何件飛び込んだのか、何枚名刺を渡したのか、仕事が終わってから先輩の部屋でお客様との録音テープを聞きながら、営業トークをチェックさせられる。悔しい思いをしたら、その先輩よりも成績を上げて見返すしかないのだ。成績の上がらないものに発言権などないのである。

-シダックスの監督時代とプロとでは教え方は全然違ったのでしょうか?

野村 違うね。

-どう違うのですか?

野村 基本が違うよね。プロの選手は野球が職業で、アマチュアの選手は野球が職業じゃないから。あいつらはサラリーマンだから。まぁみんなプロに行きたいという思いでやっていたと思うけど、プロとアマチュアは全然違う。

-選手のモチベーションが違うということですか?

野村 うん。

-指導の仕方も変わるのですか?

野村 プロもアマチュアも基本は人によって違うわ。プロアマ関係なく。

 パートもアルバイトもいれば、派遣社員や契約社員もいる。私はたまに言うことがある。「与えられたことを与えられた時間するのがアルバイトでありパートだ。社員は与えられていないことでも自分で考えて行動する。それが社員だと。だから考えて動けない社員のポジションは、パートやアルバイトに取って代わられる。
 大企業であればいくらでもたくさんの選手の中からチームを作ることができる。しかし中小企業は社員を選ぶ以前に、その社員が入社してこない。そんな中で組織論だ、教育論だと言っても意味がない。
 野村監督は、基本弱小球団でも現有戦力で戦うと決めている。外国人、助っ人でこんな人が欲しいという要望はほとんど言わないそうだ。
 経営者が「社員が不甲斐ないから」「社員の出来が悪いからうちは利益が上がらないのだ」と言い始めたら、それはきっと社員ではなく、経営者が悪いのだと思う。

(次号へ続く)