飯田HD傘下「住宅情報館」が街路樹に除草剤|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.12.04

飯田HD傘下「住宅情報館」が街路樹に除草剤

飯田HD傘下「住宅情報館」が街路樹に除草剤
川崎市の店舗で24本もの樹木が枯死

 -住宅情報館-関東在住の方であれば、何度も耳にしたことがあるのではなだろうか。同社は関東圏で40を超える店舗を展開する飯田ホールディングス傘下の大手不動産会社だ。イメージキャラクターに大人気女優の橋本環奈さんを起用していることでも有名だ。10月、そんな同社に不祥事が発覚した。神奈川県の2店舗が、店前に植えられていた街路樹に除草剤を撒いて枯らしていたというのだ。
 問題が発覚したのは川崎市内にある「生田店」と横浜市内にある「港南台店」。前者は昨年11月、街路樹の育成状況が悪化したことを不審に思った市の担当職員が店側に確認したところ、除草剤の散布が発覚。その後、今年8月になってユリノキ2本とオオムラサキツツジ22本の枯死が確認された。後者は3年前に店前のユリノキ3本が枯死したことについて、同社が今年8月に「除草剤を撒いた事実が確認された」と市に報告した。
 街路樹への除草剤散布といえば、保険金の不正請求が発覚した中古車販売のビッグモーター(東京都多摩市)の事件が記憶に新しい。同社は「展示車を入れやすくする」「掃除の手間を省く」「店舗を見えやすくする」等の目的のために、「環境整備」の一環として意図的に除草剤を撒いて街路樹を枯らしていた。「すべて本部主導で行われていた」とする元従業員の証言もあり、かなり悪質だ。住宅情報館の2店舗の場合はどうか。同社によると、2店舗の当時の店長は「清掃の一環で街路樹の根元の雑草に除草剤を撒いたが、期まで枯れるとは思わなかった」と話しているという。なるほど、もっともらしい理由だが、鵜呑みにはできない。特に「生田店」については、合計24本もの木が枯れた事実を見ても、雑草の除去が目的だったとは到底思えない。いったいどれだけの量の除草剤を撒けば、木が24本も枯れるのか。本紙がある除草剤メーカーに確認したところ、

「除草剤は雑草を枯らすことを目的に作られているため、適切に使っていれば周辺の木まで枯らしてしまうようなことはまずありません。ましてや街路樹として植えられている木は強いため、簡単には枯れません。意図的に大量の除草剤を散布したり、幹にドリルなどで穴をあけて直接薬を注入したりすれば話は別ですが・・・」

という回答が返ってきた。つまり雑草を除去するために除草剤を撒いたくらいでは、木は枯れないということだ。逆に言えば、木が枯れたのは、枯らす意図をもって薬を撒いたからということになる。メーカーの証言を信じるならば、2店舗の店長の話には無理があると言わざるを得ない。
疑問は他にもある。まず気になるのが、街路樹に除草剤を散布したのは本当に2店舗だけだったのかという点だ。清掃を理由に、他の店舗でも使われていた可能性は否定できない。ビッグモーターの場合も、最初は1店舗だったのに、後になって問題店舗が明らかになっていった。住宅情報館は「あらぬ疑い」と思うだろうが、潔白を証明したいのであれば、すぐにでも全店舗前の街路樹の点検を実施するべきだ。もちろん行政主導で、だ。
もう一つ気になるのが、除草剤散布は誰の指示で行われたのかという点だ。同社は本件について、2店舗の店長への聞き取り結果を発表している。これは暗に、除草剤散布はあくまでも店長の独断によるもので、会社は関与していないと言っているのだ。果たして本当にそうなのだろうか。ビッグモーターがそうであったように、会社の指示によるものだったのではないかという疑問は当然出てくる。今後、もし他の店舗でも除草剤散布の痕跡が見つかれば、疑いは一気に強くなる。
同社は本件について、「会社としての責任を重く受け止め、関係者のみなさまにおわびします」とコメントを発表している。だが、本紙は同社の対応は不誠実だと感じた。「Yahoo!」などの検索エンジンで「住宅情報館 除草剤 リリース」と検索すると、同社ホームページの「住宅情報館からのお知らせ」上に存在している、本件について書かれた2023年9月30日付けのプレスリリースが確認できる。しかし、ホームページで同プレスリリースを探しても見つからない。要は一応、リリースを発表しているが、一般消費者の目には触れないようにしているのだ。これは姑息だ。街路樹の管理にかかる費用は税金で賄われている。それを除草剤を使って枯らしてしまったのであれば、当然、市民に謝らなければならない。それにもかかわらず、プレスリリースを消費者の目に触れないように巧みに隠しているのだから、これは反省していないと言われても仕方ない。同社が態度を改めるのをただただ祈るばかりだ。