自然災害鑑定士に聞きました~強風被害は保険で直せる?||住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.08.28

自然災害鑑定士に聞きました~強風被害は保険で直せる?|

自然災害鑑定士に聞きました~強風被害は保険で直せる?|
修理費用は火災保険で賄えるって本当!?

 夏は台風や大雨の被害が増える時期です。もっとも多いのは雨漏りで建物や家財が水浸しにある被害ですが、竜巻や暴風で「屋根瓦が吹き飛ばされた」「ベランダが破損した」等の風災被害もかなり多く発生します。みなさんは万が一の事態が起こった場合の備えは万全でしょうか?今回はなるに頻発する風災被害対策について解説します。

「強風で飛ばされてきた物で窓ガラスが割れたが、火災保険に入っていたおかげで保険金で修理をすることができた」

 福岡県福岡市に住む田島幸三さん(54)のご自宅は2017年の夏頃、強風で飛ばされてきた石で、窓ガラス2枚が割れる被害を受けました。幸い、窓が割れたときは家族全員外出していたためけが人はありませんでしたが、外出から戻った奥様は割れた窓から吹き込んだ雨水によってビショビショに濡れたリビングの床を見て、唖然としたそうです。
 田島さん宅のように、台風や強風が原因の自然災害のことを「風災」と言います。火災保険はさまざまな自然災害に対応した万能保険であることは、本紙でもたびたび取り上げてきましたが、「風災」も補償の対象になっています。もしもみなさんのご自宅が風災被害に遭われた際には、状況次第で火災保険の申請を検討して下さい。
 さて、風災といってもその内容はさまざまです。内容次第では、風災被害であっても火災保険の補償を受けられないケースがあります。被害内容ごとに見ていきたいと思います。
 まず前提として、保険加入時に補償の対象を「建物」とするのか「家財」とするのか、もしくは両方とするのかを選択しなければなりません。「建物」とは家そのものだけでなく、システムキッチンやユニットバス、トイレといった移動させることのできない付帯設備も含みます。一方「家財」とは、テレビや冷蔵庫などの家電、タンスや机といった家具のことを指します。「建物」のみを補償する契約では、「家財」が被害を受けても保険金を受け取ることはできません。

保険の対象

建物・・・家(マンション等を含む)、門・塀・垣 、物置、キッチンやトイレなどの移動ができない設備、畳・床、他

家財・・・テレビや洗濯機、冷蔵庫等の家電、家具、衣類、他

 では次に、具体的な被害例から保険金が下りるかどうかを見ていきたいと思います。

①強風や暴風で屋根の瓦が吹き飛ばされた
→屋根は建物の一部とみなされるため補償の対象となります。ただし、メンテナンス不良が原因だと判断されると保険金が下りない可能性があります。日頃からメンテナンスを心掛けて下さい

②風で飛ばされてきたもので窓が割れた
→①と同じ理由で補償の対象となります。

③強風でプラスチック製のベランダが破損した
→①と同じ理由で補償の対象となります。ただし、破損の原因が経年劣化によるプラスチックの強度が低下と判断された場合は、保険金が下りないケースがあります。

④強風でカーポートの屋根が破損した
→カーポートも建物の一部として見なされるため補償の対象となります。

⑤強風で飛ばされた屋根瓦が隣家の窓ガラスを割ってしまった。
→補償の対象はあくまでも保険加入者が所有している建物や家財です。したがって屋根の修理には保険が適用されますが、隣家の破損個所の修理には適用されません。また、自然災害は不可抗力の事故とみなされるため、重大な過失がない限り、賠償責任が生じる可能性も低いです。

⑥強風で割れた窓ガラスの破片でケガをした
→火災保険は人を補償の対象に含んでいないため、風災でけがをしても保険金はおりません。


 いかがでしたでしょうか?風災と一言でいっても、保険金をもらえるかもらえないかはケースによりさまざまです。台風が増えるこの時期、万が一の場合に備えて、火災保険の契約内容について見直すとともに、経年による劣化がないか、ご自宅の点検をされてはいかがでしょうか?自然災害で被害を受けたご自宅の修理は、お近くの全国優良リフォーム会員にご相談下さい。