リフォーム取引販売士に聞きました~施工不良で補修を求めたら 後になって追加料金を請求された!~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.05.29

リフォーム取引販売士に聞きました~施工不良で補修を求めたら 後になって追加料金を請求された!~

リフォーム取引販売士に聞きました~施工不良で補修を求めたら 後になって追加料金を請求された!~
いい加減な工事をされたらどうするべきか!?

 ごまんといるリフォーム業者の中には、工事がいい加減だったり、マナーの悪い業者がたくさんいます。運悪くそうした業者に工事を頼んでしまうと、後々とんでもないトラブルに巻き込まれ、気分も新たに始めようとしていた新生活が台無しになってしまいます。トラブルは誰の身にも起こりえます。実例を取材しました。

「ポストに入っていたチラシにきれいな事例がたくさん載っていたので『ここなら安心だ』と思って工事を頼みました。でも引き渡された家を見て愕然としました。壁紙の一部が剥がれかけていたり、既存のフローリングにキズが付いていたり・・・」

 東京都墨田区に在住の西田兼弘さん(仮名)は、2021年の7月に当時築30年の中古住宅を購入し、入居前にリフォームを行いました。工事を依頼したのは、区内を中心に多数のリフォーム工事を手掛けてきたというA社。コメントにあるように、ポストに投函されていたチラシを見て問い合わせしたそうです。

「打ち合わせの段階では何の問題もありませんでした。すごく親切にあれこれ説明してくれましたし、いろいろな提案もしてくれました」

 工事内容は1階リビングの床とクロスの張り替え、キッチン、浴室の交換など。予算の都合上、廊下や2階は現状のままとすることにしたそうです。
工事は7月2日から始まり、完成は1カ月後の8月1日を予定していました。しかし、予定の日になっても工事は終わらず、西田さんが物件の引き渡しを受けたのは予定から10日後の8月11日でした。事前に何の説明もなく工事が遅れたことに対し、西田さんは疑問を抱いたそうですが、一方で業界事情を知らないため「そういうものなのか・・・」という思いもあり、A社を問いただすことはしませんでした。
ただ、問題はこれだけでは終わりませんでした。引き渡し当日、奥さんを伴って工事個所の確認をしてみると、あちらこちらに施工不良が見つかったのです。

「張り替えてもらったクロスに皺が寄っていたり、端の部分がわずかにめくれ上がったりしていました。また、現状のままとしていた廊下のフローリングに、数個のキズが付いていました。おそらく養生をしないで工事道具を置いていたのだと思います」

 西田さんは「いくらなんでも工事が雑過ぎる」と言って、不具合が見つかった箇所の補修を求めました。このときA社は「申し訳ありません。数日中にすべて直しておきます」と補修を約束したため、西田さんはそれ以上は何も言わず、その場を後にしました。
 しかし、それから3日後、補修完了の報告もないまま、西田さんの手元に請求書が送られてきました。なんとそこには、発注時に契約した金額に加え、引き渡し時に求めた補修工事が追加費用として上乗せされていました。西田さんはすぐにA社に連絡をし、一体どういうことかと問い質しました。しかしA社は

「誰も無料でやるとは言ってませんよ。当社はあくまでも追加工事の依頼を受けたという認識です。請求書通り、代金をお支払いください」

の1点張りでまったく話になりませんでした。納得のできない西田さんは契約時に取り決めていた代金のみを振り込み、追加分として上乗せされた分は支払いませんでした。すると振り込みから1週間後、支払いを拒否した補修分の費用に、さらに遅延金が上乗せされた請求書が西田さんの手元に送られてきました。これでは埒が明かないと思った西田さんは消費者センターに連絡して助言を求めました。

「経緯をまとめた書面を作成し、消費者センターに相談したことを相手に伝えるようにとアドバイスを受けました。すぐに支持された通りにすると、以降、請求書が送られてくること貼りませんでした。チラシを鵜呑みにして自分でちゃんと調べなかったことを後悔しましたね」

 トラブルから1年半が経過した現在、西田さんとトラブルになったA社はもうないそうです。

「去年の夏頃にA社の事務所前を通ったら看板が外されていました。気になって調べてみたら、2022年の初めに倒産したようです。そりゃそうですよね」

 一般的に、リフォーム契約では瑕疵担保責任期間というものが設けられています。もしこの期間中に補修の請求があった場合は、業者は無償でこれに対応しなければなりません。今回の西田さんのケースを見てみると、契約書にはきちんと瑕疵担保期間に関する記載がありました。したがって、A社は追加費用無しで、西田さんの請求に対応しなければなりませんでした。また、工事が遅れたことに関しても、実損があった場合は遅延金を請求することができます。
 みなさんもリフォーム工事でトラブルに巻き込まれた場合は、まず契約書を確認し、貸し瑕疵担保期間や遅延損害金に関する取り決めがどうなっているかを確認してください。リフォームトラブルに関するご相談はお近くの全国優良リフォーム会員まで。