夢ではなく現実を見ることが大切
失敗④経営・資金
総額1,500万円の投資である。そのうち借り入れは800万円。実際、商売の失敗の原因はいろいろあるだろうが、一番の失敗は気の緩みである。
新しいことを始める=夢が叶う瞬間である。実際はそこがスタートラインなのだが、そのときは100%成功する夢しか見えていないので、結果、事業に失敗すると
「前オーナーに騙された」
「良いことばかり聞かされていた…」
と後で言い訳ばかりする。良いことばかり聞かされていたのではなく、良いことしか聞かなかったのである。
少し考えればわかる話である。
「こんなに儲かっている会社をなぜ売るのだろうか?」
「息子さんはまだ若いのになぜ息子さんに後を継がせないのだろうか?」
「社長の引退は、息子が後を継がないということだが、現在59歳で60歳の引退は早すぎるのではないだろうか?」
「来年近くに大型ショッピングモールが出来ると聞いたが、そちらにお客様が取られる可能性はないのだろうか?」
「最近、昔からいた従業員が急に2名ほど退職しているが、何か原因があるのだろうか?」
失敗を想定して購入すれば失敗はしない。購入価格の決定は、運転資金・資金繰りを想定して行うべきだ。購入後の経営・資金繰りから逆算して購入価格を決めるべきであり、これはデューデリジェンスでは行われない。だが、これこそが成功のポイントだ。
失敗⑤経営計画の立て方(プラス面から考えた場合)
自分で会社を購入したあとの夢ばかりを追ってしまうのは危険である。
「新しいアイディアの料理を出したらお客さんは増えるはずだ」
「オリジナルデザートも出せば女性客も取り込めて売上も上がるはずだ」
「近所には今までしてこなかったデリバリーも始めたい」
「週末は、友人などにも声をかけて楽しく仕事をしたい」
「来年にはもう一店舗出して、売上を倍にしたい…」
夢は夢である。プロがしても撤退する店舗もあれば失敗することもある。
失敗④経営計画の立て方(マイナス面から考えた場合)
では、失敗しない方法はどうしたらよかったのだろうか?夢を見ないで現実を見ることである。
「お客様の来客数が現オーナーの言っていることの話半分だとしても、パート雇用であれば人件費を削れるため、最低人数の5名だけお客様が来ればお店は維持できる」
「仕入れ先も現在は1社に集中しているため、今後のことを考えて仕入れ先は3社に増やしてコスト削減をしておきたい」
「現在の維持費は理解したが、急な出費が出るとその月は赤字になってしまう。事前に今の業務用冷蔵庫や空調設備等の大きなものの機器がしばらく持つのか確認しておきたい」
「アルバイトの入れ替わりが多いようだが、事前に求人費用も確認しておきたい。最悪、軌道に乗るまでは妻のパートは維持しながら、忙しくなったらパートの回数を減らしてこちらにシフトしてもらおう…」
押さえるべき点は数多くある。賢明な読者ならもうお分かりだろう。現実を直視して経営計画を立てた方が、成功の確率はぐんと高まるのだ。夢を追いたくなる気持ちも分からなくはないが、それは失敗の素なのである。
(次号へ続く)
(プロフィール)
藤田精(ふじた・たくみ)
M&A・不動産・経営コンサルタント。現在、DMMのオンラインサロンで『M&A買収王と組む 営業利益1億円を目指す 投資・経営サロン』を運営中。著者「闘将野村 弱小企業を一流へと導く新経営論」(幻冬舎)。2022年、NHKで M&A の買収王としてテレビで紹介される。2021 年は、1 年間で 11 社約 50 億円の購入実績があり、毎年投資予算100 億円を目標に買収と事業承継・経営支援を行っている。
(サロン概要)
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失敗④経営・資金
総額1,500万円の投資である。そのうち借り入れは800万円。実際、商売の失敗の原因はいろいろあるだろうが、一番の失敗は気の緩みである。
新しいことを始める=夢が叶う瞬間である。実際はそこがスタートラインなのだが、そのときは100%成功する夢しか見えていないので、結果、事業に失敗すると
「前オーナーに騙された」
「良いことばかり聞かされていた…」
と後で言い訳ばかりする。良いことばかり聞かされていたのではなく、良いことしか聞かなかったのである。
少し考えればわかる話である。
「こんなに儲かっている会社をなぜ売るのだろうか?」
「息子さんはまだ若いのになぜ息子さんに後を継がせないのだろうか?」
「社長の引退は、息子が後を継がないということだが、現在59歳で60歳の引退は早すぎるのではないだろうか?」
「来年近くに大型ショッピングモールが出来ると聞いたが、そちらにお客様が取られる可能性はないのだろうか?」
「最近、昔からいた従業員が急に2名ほど退職しているが、何か原因があるのだろうか?」
失敗を想定して購入すれば失敗はしない。購入価格の決定は、運転資金・資金繰りを想定して行うべきだ。購入後の経営・資金繰りから逆算して購入価格を決めるべきであり、これはデューデリジェンスでは行われない。だが、これこそが成功のポイントだ。
失敗⑤経営計画の立て方(プラス面から考えた場合)
自分で会社を購入したあとの夢ばかりを追ってしまうのは危険である。
「新しいアイディアの料理を出したらお客さんは増えるはずだ」
「オリジナルデザートも出せば女性客も取り込めて売上も上がるはずだ」
「近所には今までしてこなかったデリバリーも始めたい」
「週末は、友人などにも声をかけて楽しく仕事をしたい」
「来年にはもう一店舗出して、売上を倍にしたい…」
夢は夢である。プロがしても撤退する店舗もあれば失敗することもある。
失敗④経営計画の立て方(マイナス面から考えた場合)
では、失敗しない方法はどうしたらよかったのだろうか?夢を見ないで現実を見ることである。
「お客様の来客数が現オーナーの言っていることの話半分だとしても、パート雇用であれば人件費を削れるため、最低人数の5名だけお客様が来ればお店は維持できる」
「仕入れ先も現在は1社に集中しているため、今後のことを考えて仕入れ先は3社に増やしてコスト削減をしておきたい」
「現在の維持費は理解したが、急な出費が出るとその月は赤字になってしまう。事前に今の業務用冷蔵庫や空調設備等の大きなものの機器がしばらく持つのか確認しておきたい」
「アルバイトの入れ替わりが多いようだが、事前に求人費用も確認しておきたい。最悪、軌道に乗るまでは妻のパートは維持しながら、忙しくなったらパートの回数を減らしてこちらにシフトしてもらおう…」
押さえるべき点は数多くある。賢明な読者ならもうお分かりだろう。現実を直視して経営計画を立てた方が、成功の確率はぐんと高まるのだ。夢を追いたくなる気持ちも分からなくはないが、それは失敗の素なのである。
(次号へ続く)
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藤田精(ふじた・たくみ)
M&A・不動産・経営コンサルタント。現在、DMMのオンラインサロンで『M&A買収王と組む 営業利益1億円を目指す 投資・経営サロン』を運営中。著者「闘将野村 弱小企業を一流へと導く新経営論」(幻冬舎)。2022年、NHKで M&A の買収王としてテレビで紹介される。2021 年は、1 年間で 11 社約 50 億円の購入実績があり、毎年投資予算100 億円を目標に買収と事業承継・経営支援を行っている。
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