人手不足のリフォーム会社・工務店経営者に朗報!
「外国人は生活習慣が日本人とは違うし、そもそもすぐ辞めてしまうイメージがある。言葉を含めたコミュニケーション能力も不安だ。いくら人手が足りてないとはいえ、雇うのには抵抗がある・・・」
建設・建築業界は慢性的な人手不足に悩まされています。外国人に解決策を見出そうとする動きもあるものの、冒頭のコメントにもあるように、ネガティブなイメージを抱く人も少なくなく、今のところ一部に留まっています。この状況を打開すべく立ち上がったのが、アプライズ(東京都品川区)の岩堀克英社長です。同社の事業内容や外国人雇用が抱える問題点などについて岩堀社長に話を伺いました。
-岩堀社長は、以前は事業戦略のコンサルティングやベンチャー投資などを手掛けるドリームインキュベーターの執行役員や、その子会社の社長などを務められていたそうですね。現在は、建設業界向けのベトナム人派遣を行うアプライズの代表をされていますが、そもそも何がきっかけでこの会社を立ち上げたのでしょうか。
岩堀 ドリームインキュベーター在籍時に、とある縁でベトナム協会と親しくなりました。それでいろいろ話をしていく中で、“留学斡旋ブローカー”と呼ばれる不埒な連中が存在することを知りました。彼らは「日本で仕事を紹介するから」と言って、留学生たちから多額の紹介料を徴収しています。紹介3件で40万円、採用されなかった場合は本人に問題があるからだといって、逆に迷惑料まで取られるケースもあるようです。もっとも、紹介料は人を雇用する側からもらうというのがルールなので、実際には紹介料とは言わず、履歴書の書き方を教えるレクチャー料とかの名目にしているわけですが、本質的には紹介料と一緒です。これらの話を聞いたときに「こんなひどい連中をのさばらせていては駄目だ。改善して、会社から紹介料をもらう本来の形にしよう」と思い、この会社を立ち上げました。どちらかというと、社会貢献の意味合いが強かったですね。
-ベトナム人派遣を始めた当初は、想定していなかったこともいろいろあったと思います。
岩堀 想定外のことばかりでした。中でも特に驚いたのは替え玉です。私は企業面接の前に一度、語学力やコミュニケーション能力などを確認するための面談を行うようにしています。事前にフィルターにかけることで、企業への負担を減らそうというわけです。ところが事業を始めたばかりの頃は、私の面談した人間と、実際に企業の面接に行った人間が違うということがよくありました。別に何か手違いがあったからではなく、私が会ったのは面談をパスするためだけに送り込まれた替え玉だったんです。「これはマズイ」と思って替え玉防止策を打ったら、今度は日本語が喋れる人がなかなか集まらない。もう大変でしたね。結果的に、日本語ができなくても働ける物流センターへの派遣事業を始めるきっかけになったので良かったですが・・・。他にもいろいろありましたが、とにかく一つ一つ問題を解決して、今のビジネスモデルに辿り着きました。
-具体的にどんなビジネスモデルになっているのでしょうか。
岩堀 外国人留学生を雇用するための仕組みとしては、技能実習制度がよく知られています。ただ、この制度を利用するには、実習生に支払う賃金とは別に、監理団体への入会費や年会費、資格申請、保険、渡航費などで、最大120万円を企業が負担しなければなりません。大金ですよね。とてもじゃありませんが、中小企業にこれだけの金額をポンと出せる余裕などあるはずがありません。ではどうすればよいか。当社は特定技能制度に目をつけました。こちらなら、企業が負担するのは月給2ヶ月分相当の紹介料とビザの申請費用だけで済むうえ、キャリアアップ助成金ももらえます。例えば給料が23万円の場合、紹介料とビザ代(12万円)を合わせると58万円になりますが、キャリアアップ助成金として60万円が還付されるため、トータルでは2万円のプラスになります。しかも東京都内だとさらに24万円が支給されます。工務店やリフォーム会社でも安心して利用できます。
-紹介料が給与の2カ月分とは、ずいぶんリーズナブルな価格設定ですね。
岩堀 そうだと思います。一般的には紹介1件につき70万円から120万円が相場だと言われていますからね。ボランティア的な発想から始まった事業なので、必要以上に儲けようという気がないんです。
-外国人に対して「すぐ辞める」「平気で遅刻をする」というネガティブな印象を持っている方がいます。
岩堀 当社は優秀できちんと戦力化できる人材だけを送り込めるように、企業面接の前に面談を行っているため、離職率は非常に低いです。直近1年で辞めた方は一人もいませんし、3年間で見ても2人だけです。そもそも日本人にもすぐに仕事を辞める人はいくらでもいます。外国人に対してそういう先入観をもつのは間違いですし、私はそういうイメージを変えていきたいと思っています。
-現在、御社を利用している建設会社はどのくらいあるのですか。
岩堀 20社です。1社あたり、平均2、3名を正社員として送り込んでいます。他の業種も含めると、約70社と取引きしています。東京から始まって、今では大阪や北海道、沖縄にも特定技能での派遣ができるようになりました。今後も順次エリアを広げていきたいと思っています。また、ベトナムの建設学部を持っている大学とも連携して、インターシップで人材を確保する取り組みにもチャレンジしていく予定です。
建設業界、リフォーム業界で深刻化している人手不足問題。同社の今後の活躍が問題解決の糸口になるかもしれない。
「外国人は生活習慣が日本人とは違うし、そもそもすぐ辞めてしまうイメージがある。言葉を含めたコミュニケーション能力も不安だ。いくら人手が足りてないとはいえ、雇うのには抵抗がある・・・」
建設・建築業界は慢性的な人手不足に悩まされています。外国人に解決策を見出そうとする動きもあるものの、冒頭のコメントにもあるように、ネガティブなイメージを抱く人も少なくなく、今のところ一部に留まっています。この状況を打開すべく立ち上がったのが、アプライズ(東京都品川区)の岩堀克英社長です。同社の事業内容や外国人雇用が抱える問題点などについて岩堀社長に話を伺いました。
-岩堀社長は、以前は事業戦略のコンサルティングやベンチャー投資などを手掛けるドリームインキュベーターの執行役員や、その子会社の社長などを務められていたそうですね。現在は、建設業界向けのベトナム人派遣を行うアプライズの代表をされていますが、そもそも何がきっかけでこの会社を立ち上げたのでしょうか。
岩堀 ドリームインキュベーター在籍時に、とある縁でベトナム協会と親しくなりました。それでいろいろ話をしていく中で、“留学斡旋ブローカー”と呼ばれる不埒な連中が存在することを知りました。彼らは「日本で仕事を紹介するから」と言って、留学生たちから多額の紹介料を徴収しています。紹介3件で40万円、採用されなかった場合は本人に問題があるからだといって、逆に迷惑料まで取られるケースもあるようです。もっとも、紹介料は人を雇用する側からもらうというのがルールなので、実際には紹介料とは言わず、履歴書の書き方を教えるレクチャー料とかの名目にしているわけですが、本質的には紹介料と一緒です。これらの話を聞いたときに「こんなひどい連中をのさばらせていては駄目だ。改善して、会社から紹介料をもらう本来の形にしよう」と思い、この会社を立ち上げました。どちらかというと、社会貢献の意味合いが強かったですね。
-ベトナム人派遣を始めた当初は、想定していなかったこともいろいろあったと思います。
岩堀 想定外のことばかりでした。中でも特に驚いたのは替え玉です。私は企業面接の前に一度、語学力やコミュニケーション能力などを確認するための面談を行うようにしています。事前にフィルターにかけることで、企業への負担を減らそうというわけです。ところが事業を始めたばかりの頃は、私の面談した人間と、実際に企業の面接に行った人間が違うということがよくありました。別に何か手違いがあったからではなく、私が会ったのは面談をパスするためだけに送り込まれた替え玉だったんです。「これはマズイ」と思って替え玉防止策を打ったら、今度は日本語が喋れる人がなかなか集まらない。もう大変でしたね。結果的に、日本語ができなくても働ける物流センターへの派遣事業を始めるきっかけになったので良かったですが・・・。他にもいろいろありましたが、とにかく一つ一つ問題を解決して、今のビジネスモデルに辿り着きました。
-具体的にどんなビジネスモデルになっているのでしょうか。
岩堀 外国人留学生を雇用するための仕組みとしては、技能実習制度がよく知られています。ただ、この制度を利用するには、実習生に支払う賃金とは別に、監理団体への入会費や年会費、資格申請、保険、渡航費などで、最大120万円を企業が負担しなければなりません。大金ですよね。とてもじゃありませんが、中小企業にこれだけの金額をポンと出せる余裕などあるはずがありません。ではどうすればよいか。当社は特定技能制度に目をつけました。こちらなら、企業が負担するのは月給2ヶ月分相当の紹介料とビザの申請費用だけで済むうえ、キャリアアップ助成金ももらえます。例えば給料が23万円の場合、紹介料とビザ代(12万円)を合わせると58万円になりますが、キャリアアップ助成金として60万円が還付されるため、トータルでは2万円のプラスになります。しかも東京都内だとさらに24万円が支給されます。工務店やリフォーム会社でも安心して利用できます。
-紹介料が給与の2カ月分とは、ずいぶんリーズナブルな価格設定ですね。
岩堀 そうだと思います。一般的には紹介1件につき70万円から120万円が相場だと言われていますからね。ボランティア的な発想から始まった事業なので、必要以上に儲けようという気がないんです。
-外国人に対して「すぐ辞める」「平気で遅刻をする」というネガティブな印象を持っている方がいます。
岩堀 当社は優秀できちんと戦力化できる人材だけを送り込めるように、企業面接の前に面談を行っているため、離職率は非常に低いです。直近1年で辞めた方は一人もいませんし、3年間で見ても2人だけです。そもそも日本人にもすぐに仕事を辞める人はいくらでもいます。外国人に対してそういう先入観をもつのは間違いですし、私はそういうイメージを変えていきたいと思っています。
-現在、御社を利用している建設会社はどのくらいあるのですか。
岩堀 20社です。1社あたり、平均2、3名を正社員として送り込んでいます。他の業種も含めると、約70社と取引きしています。東京から始まって、今では大阪や北海道、沖縄にも特定技能での派遣ができるようになりました。今後も順次エリアを広げていきたいと思っています。また、ベトナムの建設学部を持っている大学とも連携して、インターシップで人材を確保する取り組みにもチャレンジしていく予定です。
建設業界、リフォーム業界で深刻化している人手不足問題。同社の今後の活躍が問題解決の糸口になるかもしれない。