福岡という地では、日本の歴史に名を刻む優れた起業家たちによって多くの事業が生み出されている。もちろん、賃貸に絡む事業も、数多く誕生している。今回は福岡発祥の賃貸ビジネスについてまとめた。
賃貸管理がビジネスとして定着したのは、1960年代の終わりから1970年代の初頭だと言われている。つまり誕生からまだ50年ないし60年しか経っていない、歴史の浅いビジネスというわけだ。実際には、明治・大正期には、すでに賃貸管理をビジネスとして展開していた事業者が日本各地に点在していたが、当時は収益構造や事業内容は事業者ごとにマチマチで、これといった明確な基準は存在しなかった。中には帝国信栄(兵庫県神戸市 ※現存する最古の賃貸管理会社。詳細は「真説賃貸管理の歴史 第1回」に記載)のように、当時から管理手数料5%を謳い、先進的な管理事業を展開していた事業者もあるが、それは極めて稀なケースだといえる。1960年代以前の事業者は、どちらかというと御用聞き的な位置付で、そもそも大半が管理料すら徴収していなかった。
そうした当時の事業者の状況を改善しようと、近代的な賃貸管理を提唱したのが福岡の三好不動産(福岡市中央区)と不動産中央情報センター(福岡県北九州市)だ。両社が主宰したセミナーに参加しようと、全国から多くの不動産業者が集まり、福岡は瞬く間に賃貸業界の最重要地域となった。福岡は、先進的な賃貸管理が発祥した地と言えるわけだ。
今では全国的に珍しくなくなったロフト付きのアパートも、発祥の地は福岡だと言われている。実際には、他の地域でも建てられていた可能性はあるものの、業界に広めたという意味では、間違いなく福岡という地が果たした役割は大きかった。
最初にロフト付きアパートを商品化したのは新日本不動産(福岡市早良区)だ。多くの大学キャンパスが点在し、九州全域から学生が集まってくる福岡で、このロフト付きアパートは爆発的にヒットし、瞬く間に県内全域に広まった。当然、この売れ行きを見て同じような商品を作って販売に乗り出す事業者も相次いだ。ロフト付きアパート最大手のシノケン(福岡市中央区)の創業者である篠原英明氏も、新日本不動産出身だ。成斗工務店やサイフォ、インベスターズ、功史朗建設、アイケンジャパンといった福岡発祥のアパート業者はみな、もともと別のアパート業者の下請けや従業員だったと言われている。
2005年頃に突如としてブームになったキューブ型の戸建賃貸住宅も、もとは福岡で生まれたものだ。最初にこの特徴的なデザインの戸建賃貸住宅を設計したのは、県内のある設計事務所だったと言われている。完成するや否や、その斬新なフォルムが評判となり、瞬く間に各地に似たような戸建賃貸が建築されていった。ハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)を筆頭に、建築ノウハウのパッケージ販売に乗り出す企業も次々に登場した。福岡発祥の大手住宅会社タマホーム(東京都港区)も、一時期子会社を作ってキューブ型戸建賃貸の加盟店ネットワークを運営していた。しかし、ブームは5年ほどで終焉し、戸建賃貸が話題に上ることはほとんどなくなった。パッケージ販売に乗り出した企業も、多くが事業から撤退している。
宅配ボックスが当たり前のように賃貸住宅に導入されるようになったのは、この7、8年ほどのことだ。それまでは賃貸住宅には身分不相応のイメージが強く、高級物件以外で目にする機会はほとんどなかった。メーカー側も、以前は賃貸向けの販売にそれほど熱心ではなく、分譲向けをメーンにしていたところがほとんどだった。そんな中でいち早く賃貸市場に目をつけ、宅配ボックスの売込みを行っていたのは福岡の東亜テクノという会社だ。それこそ、20年近く前に、賃貸住宅にも宅配ロッカーを普及させようと、専門展示会などに積極的に参加してPRを行った。しかし、当時はまだ時代が追い付いてこず、数年後に経営破綻してしまった。フルタイムシステムや日本宅配システムといった主要メーカーも、当時から賃貸向け商品をもってはいたが、東亜テクノほど積極的に販売しようという姿勢ではなかった。もしメーカー各社が足並みを揃えて賃貸市場への普及に努めていたら、東亜テクノの運命も変わっていたかもしれない。
賃貸管理がビジネスとして定着したのは、1960年代の終わりから1970年代の初頭だと言われている。つまり誕生からまだ50年ないし60年しか経っていない、歴史の浅いビジネスというわけだ。実際には、明治・大正期には、すでに賃貸管理をビジネスとして展開していた事業者が日本各地に点在していたが、当時は収益構造や事業内容は事業者ごとにマチマチで、これといった明確な基準は存在しなかった。中には帝国信栄(兵庫県神戸市 ※現存する最古の賃貸管理会社。詳細は「真説賃貸管理の歴史 第1回」に記載)のように、当時から管理手数料5%を謳い、先進的な管理事業を展開していた事業者もあるが、それは極めて稀なケースだといえる。1960年代以前の事業者は、どちらかというと御用聞き的な位置付で、そもそも大半が管理料すら徴収していなかった。
そうした当時の事業者の状況を改善しようと、近代的な賃貸管理を提唱したのが福岡の三好不動産(福岡市中央区)と不動産中央情報センター(福岡県北九州市)だ。両社が主宰したセミナーに参加しようと、全国から多くの不動産業者が集まり、福岡は瞬く間に賃貸業界の最重要地域となった。福岡は、先進的な賃貸管理が発祥した地と言えるわけだ。
今では全国的に珍しくなくなったロフト付きのアパートも、発祥の地は福岡だと言われている。実際には、他の地域でも建てられていた可能性はあるものの、業界に広めたという意味では、間違いなく福岡という地が果たした役割は大きかった。
最初にロフト付きアパートを商品化したのは新日本不動産(福岡市早良区)だ。多くの大学キャンパスが点在し、九州全域から学生が集まってくる福岡で、このロフト付きアパートは爆発的にヒットし、瞬く間に県内全域に広まった。当然、この売れ行きを見て同じような商品を作って販売に乗り出す事業者も相次いだ。ロフト付きアパート最大手のシノケン(福岡市中央区)の創業者である篠原英明氏も、新日本不動産出身だ。成斗工務店やサイフォ、インベスターズ、功史朗建設、アイケンジャパンといった福岡発祥のアパート業者はみな、もともと別のアパート業者の下請けや従業員だったと言われている。
2005年頃に突如としてブームになったキューブ型の戸建賃貸住宅も、もとは福岡で生まれたものだ。最初にこの特徴的なデザインの戸建賃貸住宅を設計したのは、県内のある設計事務所だったと言われている。完成するや否や、その斬新なフォルムが評判となり、瞬く間に各地に似たような戸建賃貸が建築されていった。ハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)を筆頭に、建築ノウハウのパッケージ販売に乗り出す企業も次々に登場した。福岡発祥の大手住宅会社タマホーム(東京都港区)も、一時期子会社を作ってキューブ型戸建賃貸の加盟店ネットワークを運営していた。しかし、ブームは5年ほどで終焉し、戸建賃貸が話題に上ることはほとんどなくなった。パッケージ販売に乗り出した企業も、多くが事業から撤退している。
宅配ボックスが当たり前のように賃貸住宅に導入されるようになったのは、この7、8年ほどのことだ。それまでは賃貸住宅には身分不相応のイメージが強く、高級物件以外で目にする機会はほとんどなかった。メーカー側も、以前は賃貸向けの販売にそれほど熱心ではなく、分譲向けをメーンにしていたところがほとんどだった。そんな中でいち早く賃貸市場に目をつけ、宅配ボックスの売込みを行っていたのは福岡の東亜テクノという会社だ。それこそ、20年近く前に、賃貸住宅にも宅配ロッカーを普及させようと、専門展示会などに積極的に参加してPRを行った。しかし、当時はまだ時代が追い付いてこず、数年後に経営破綻してしまった。フルタイムシステムや日本宅配システムといった主要メーカーも、当時から賃貸向け商品をもってはいたが、東亜テクノほど積極的に販売しようという姿勢ではなかった。もしメーカー各社が足並みを揃えて賃貸市場への普及に努めていたら、東亜テクノの運命も変わっていたかもしれない。