クーリングオフを適用して契約を解除
高齢者を狙った悪徳リフォーム詐欺が後を絶ちません。その手口は年々巧妙化しているため、注意喚起をしても、被害者の数は増える一方です。被害に遭わないためにはどうすれば良いか、事例をもとに対策について考えてみたいと思います。
千葉県船橋市にお住いの吉澤妙子さん(66)。長年連れ添ったご主人を3年前に亡くし、築42年の木造一戸建てにお一人で暮らしておられました。一人息子の彰浩さん(40)は仕事の関係で名古屋にいるため、直接会うのは年に1~2回程度。普段は1週間から2週間おきに、電話で近況を報告し合っているそうです。
そんな妙子さんのもとにある日、作業服を着た二人連れの男性が訪ねてきました。庭で花に水やりをしていた妙子さんに対し、
「このご近所に屋根の修理をしに来ている○○工務店の者です。ちょうど屋根の無料点検のキャンペーンをやっているため、ご案内に伺わせて頂きました」
と声をかけてきました。この時の男性の印象ついて妙子さんは、
「2人とも20代後半から30代前半くらいで、特に怪しい雰囲気は感じられませんでした。むしろ真面目な営業マンという感じでしたね」
と言います。結局、妙子さんは「話を聞くだけなら」と思い、二人からチラシを受け取りキャンペーンの内容について説明を受けました。一通り説明が終わると男性の一人は、
「実は、こちらに伺わせて頂いたのは、少し先から見たときに明らかに屋根が傷んでいるなと感じたからなんです。失礼ですが、建ててからそれなりに時間が経っていると思うのですが、これまで屋根の手入れをされたことはないですよね?」
男性の言う通り、42年前に新築で購入して以来、妙子さんの家は屋根はおろか、リフォームらしいリフォームは一度もしていませんでした。男性はそんな妙子さんの様子を見透かしたように、
「この辺りは築30年、40年の古いお宅が多いです。今日修理でお邪魔させて頂いているお宅も、ちょうど吉澤さんのお宅と同じか、もう少し古いくらいで、先月の大雨で雨漏りが発生したため、うちにご連絡を頂きました。今は大丈夫でも、古くなった家は何かの拍子で突然、雨漏りが発生することがあります。例えば小さな地震で屋根瓦が割れたりすることもあるんですよ」
話を聞くうちにだんだんと不安を感じてきた妙子さんは、「点検するだけならお金はかからない」という言葉を信じ、そのまま屋根の点検をしてもらうことにしました。男性らはすぐに近くに止めてあった車から梯子を持ってきて、器用に屋根の上に登って点検作業を始めました。そして20分ほどして下りてくると、
「やっぱり思った通りでした。割れた瓦はありませんでしたが、ところどころずれが生じていたり、漆喰にひびが入っているところがありました。多かれ早かれ、いずれ雨漏りが起きてもおかしくない状況です。事が起こってからでは遅いです。今のうちに何とかした方が良いかもしれませんね。今なら修理もキャンペーン価格でやらせてもらっているので、ついでにいかがですか?」
実は妙子さんは子供の頃、実家が雨漏り被害に遭って大変苦労した経験がありました。そのため男性の言葉を真に受けてしまい、
「それなら修理をおねがいしようかしら。息子にも相談したいので、とりあえず見積書を頂けますか?」
と言いました。すると男性らは、
「申し訳ありません。キャンペーンはその場で即決して頂くことが条件になります。どうしても必要な場合、いったん契約書にサインを頂いた後、改めて作成させて頂きます」
と言い、その場で契約書にサインをすることを求めてきました。仕方なく、妙子さんがサインをすると、男性らは翌日には作業を行うと言い残し、その場を引き上げていきました。
その夜、妙子さんは息子さんに電話し、日中あった出来事を報告しました。すると息子さんは、
「ちょっとおかしい。いくらなんでも『見積りが欲しいなら先に契約書にサインをしろ』だなんて、常識的にあり得ない。もし言っても○○○に相談するように」
と契約を解除することを勧めました。妙子さんは、息子さんの助言に従い、契約をいったん白紙に戻すことにしました。
翌日、朝一番で、前日にもらった名刺に書かれていた携帯番号に電話して契約の解除を申し出ると、男性は
「いったん契約した以上、解除はできなません。こちらは今日の作業のために人や物の手配をしてしまっている」
と解除を拒否しました。何度言っても埒が明かないため、妙子さんはいったん電話を切り、夕べ息子さんから言われた○○○に相談することにしました。相談先は、消費者センターでした。
結果的に、妙子さんは消費者センターのアドバイスにより、「クーリングオフ」を適用して契約を解除することができました。今回のように、自宅に訪問して勧誘を行う「訪問販売」は、契約から8日以内ならで契約を解除することができるのです。万が一、お金を支払ってしまった場合も、「クーリングオフ」を適用すれば、返金を求めることができます。
悪徳業者は、常に騙せそうな相手を探しています。詐欺の被害者にならないためにも、日頃から注意を怠らないようにして下さい。リフォームトラブルに関する相談は、お近くのリフォーム取引販売士まで。
高齢者を狙った悪徳リフォーム詐欺が後を絶ちません。その手口は年々巧妙化しているため、注意喚起をしても、被害者の数は増える一方です。被害に遭わないためにはどうすれば良いか、事例をもとに対策について考えてみたいと思います。
千葉県船橋市にお住いの吉澤妙子さん(66)。長年連れ添ったご主人を3年前に亡くし、築42年の木造一戸建てにお一人で暮らしておられました。一人息子の彰浩さん(40)は仕事の関係で名古屋にいるため、直接会うのは年に1~2回程度。普段は1週間から2週間おきに、電話で近況を報告し合っているそうです。
そんな妙子さんのもとにある日、作業服を着た二人連れの男性が訪ねてきました。庭で花に水やりをしていた妙子さんに対し、
「このご近所に屋根の修理をしに来ている○○工務店の者です。ちょうど屋根の無料点検のキャンペーンをやっているため、ご案内に伺わせて頂きました」
と声をかけてきました。この時の男性の印象ついて妙子さんは、
「2人とも20代後半から30代前半くらいで、特に怪しい雰囲気は感じられませんでした。むしろ真面目な営業マンという感じでしたね」
と言います。結局、妙子さんは「話を聞くだけなら」と思い、二人からチラシを受け取りキャンペーンの内容について説明を受けました。一通り説明が終わると男性の一人は、
「実は、こちらに伺わせて頂いたのは、少し先から見たときに明らかに屋根が傷んでいるなと感じたからなんです。失礼ですが、建ててからそれなりに時間が経っていると思うのですが、これまで屋根の手入れをされたことはないですよね?」
男性の言う通り、42年前に新築で購入して以来、妙子さんの家は屋根はおろか、リフォームらしいリフォームは一度もしていませんでした。男性はそんな妙子さんの様子を見透かしたように、
「この辺りは築30年、40年の古いお宅が多いです。今日修理でお邪魔させて頂いているお宅も、ちょうど吉澤さんのお宅と同じか、もう少し古いくらいで、先月の大雨で雨漏りが発生したため、うちにご連絡を頂きました。今は大丈夫でも、古くなった家は何かの拍子で突然、雨漏りが発生することがあります。例えば小さな地震で屋根瓦が割れたりすることもあるんですよ」
話を聞くうちにだんだんと不安を感じてきた妙子さんは、「点検するだけならお金はかからない」という言葉を信じ、そのまま屋根の点検をしてもらうことにしました。男性らはすぐに近くに止めてあった車から梯子を持ってきて、器用に屋根の上に登って点検作業を始めました。そして20分ほどして下りてくると、
「やっぱり思った通りでした。割れた瓦はありませんでしたが、ところどころずれが生じていたり、漆喰にひびが入っているところがありました。多かれ早かれ、いずれ雨漏りが起きてもおかしくない状況です。事が起こってからでは遅いです。今のうちに何とかした方が良いかもしれませんね。今なら修理もキャンペーン価格でやらせてもらっているので、ついでにいかがですか?」
実は妙子さんは子供の頃、実家が雨漏り被害に遭って大変苦労した経験がありました。そのため男性の言葉を真に受けてしまい、
「それなら修理をおねがいしようかしら。息子にも相談したいので、とりあえず見積書を頂けますか?」
と言いました。すると男性らは、
「申し訳ありません。キャンペーンはその場で即決して頂くことが条件になります。どうしても必要な場合、いったん契約書にサインを頂いた後、改めて作成させて頂きます」
と言い、その場で契約書にサインをすることを求めてきました。仕方なく、妙子さんがサインをすると、男性らは翌日には作業を行うと言い残し、その場を引き上げていきました。
その夜、妙子さんは息子さんに電話し、日中あった出来事を報告しました。すると息子さんは、
「ちょっとおかしい。いくらなんでも『見積りが欲しいなら先に契約書にサインをしろ』だなんて、常識的にあり得ない。もし言っても○○○に相談するように」
と契約を解除することを勧めました。妙子さんは、息子さんの助言に従い、契約をいったん白紙に戻すことにしました。
翌日、朝一番で、前日にもらった名刺に書かれていた携帯番号に電話して契約の解除を申し出ると、男性は
「いったん契約した以上、解除はできなません。こちらは今日の作業のために人や物の手配をしてしまっている」
と解除を拒否しました。何度言っても埒が明かないため、妙子さんはいったん電話を切り、夕べ息子さんから言われた○○○に相談することにしました。相談先は、消費者センターでした。
結果的に、妙子さんは消費者センターのアドバイスにより、「クーリングオフ」を適用して契約を解除することができました。今回のように、自宅に訪問して勧誘を行う「訪問販売」は、契約から8日以内ならで契約を解除することができるのです。万が一、お金を支払ってしまった場合も、「クーリングオフ」を適用すれば、返金を求めることができます。
悪徳業者は、常に騙せそうな相手を探しています。詐欺の被害者にならないためにも、日頃から注意を怠らないようにして下さい。リフォームトラブルに関する相談は、お近くのリフォーム取引販売士まで。