大和ハウス工業 過去最高売上高だったリフォーム分野は一転、大幅減収へ|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.07.06

大和ハウス工業 過去最高売上高だったリフォーム分野は一転、大幅減収へ

大和ハウス工業 過去最高売上高だったリフォーム分野は一転、大幅減収へ
今期の業績見通しを発表

 新型コロナウイルスの感染拡大が、住宅業界にも深刻なダメージを与えていることが明らかになってきた。ここにきて、大手各社は次々に2020年度業績予想の下方修正を発表。4月に始まった今期についても、計画未達を見込む企業が相次いでいる。果たして、市場全体の売上はどこまで落ち込むのか、状況は予断を許さない。

 5月14日、大和ハウス工業(大阪市北区)が2021年3月期の業績について、連結純利益が前期比55%減の1050億円になる見通しを発表した。減収減益となるのは、戸建住宅、賃貸住宅、マンション、住宅ストックなど、主要事業のすべて。一向に収束しない新型コロナウイルスの感染拡大に伴う営業自粛が、業績を直撃した格好だ。
 特に大きな影響を受けると見られるのが、リフォームや中古住宅流通などを含む住宅ストック事業部門だ。売上高は昨年同期に過去最高となる約1450億円を達成していたが、新型コロナウイルスの影響を鑑み、前期比24.5%減の1100億円に留めた。
また、主力事業である賃貸住宅も今期は散々な結果になりそうな気配だ。顧客開拓に欠かせないセミナーイベントは三密を避けるために開催できず、さらに商談も延期せざるを得ない状況が続いた。受注件数が大幅に減少した結果、営業利益は49%減となる見通しとなった。住宅・リフォーム業界に詳しい専門家は、「コロナだけでなく、昨年発覚した施工不備問題による信用不安や、消費税増税の駆け込み需要の反動、さらには金融機関の融資厳格化なども影響しているのでは」との見解を示した。
 先行きも不透明だ。計画自体、9月までにコロナが収束することを想定して作られているため、数字を達成できるかどうかは今の時点で判断しづらい。感染拡大がさらに長引くようなことがあれば、業績のさらなる悪化は避けられないだろう。仮にこれからコロナが収束したとしても、冬に再び流行する可能性があると指摘する専門家もいるだけに、計画自体を不安視する声も多い。
 リフォーム売上業界2位の住友不動産の業績も芳しくない。4月に始まった2021年度の売上高は現時点で前期比25%減の900億円と、計画を大幅に下回っている。コロナの影響ももちろんあるだろうが、消費税増税の反動で受注が大幅に減少していることも大きく響いているようだ。
 突如現れた新型コロナウイルスの影響で、リフォームに対する消費者のマインドは明らかに低下している。このような状況の中では、リフォーム各社の業績が低迷するのも致し方のないことなのかもしれない。しかし一方で、テレワークの普及によって、新しいリフォーム需要が生まれたことも見逃すことはできない。こうしたビジネスチャンスにいかにして素早く対応するかが、今後の各社の業績を分けるポイントになるかもしれない。