下宿人口の増加に伴い、全国へ拡大
今でこそ、アパート・マンションには当たり前のように洗濯機を設置するためのパンが置かれているのが、一昔前は、賃貸物件に洗濯機置場があるのは珍しかった。洗濯機のない物件に住む入居者は、誰もが建物の1階や近所にあるコインランドリーを利用していた。今回は、賃貸住宅と縁の深いコインランドリーの歴史についてまとめた。
発祥はロンドンにあったアパートの地下
カフェやコンビニが併設されていたり、子供を遊ばせておくためのスペースが設けられているなど、この10年でコインランドリーは目覚ましい進化を遂げた。季節の変わり目ともなれば、布団や毛布など、自宅では洗えないサイズの洗濯物を抱えた主婦たちが、順番はまだかと列をなしている光景も、珍しくなくなった。
ところで、そんなコインランドリーはいつ、どこで誕生し、そしていつ頃から日本で広まったのだろうか。
文献によると、コインランドリーは1930年代にイギリスで誕生したとされる。ロンドン市内にあったアパートの地下に、入居者のために選択設備を設置したのが始まりだそうだ。この点、かつて日本でもマンションでもよく、1階に入居者のためにコインランドリーが置かれていたのと共通している。イギリスで誕生したコインランドリーはその後、アメリカに渡って今日のコインランドリービジネスへと発展していったとされる。欧米では今もコインランドリービジネスが非常に盛んで、街のいたるところで店舗を目にする。90年近い歴史があることからも分かるように、それだけ人々の生活に浸透しているということだ。
日本でコインランドリーの前身とも言えるものが誕生したのは1953年。三洋電機から発売された「噴流式電気洗濯機」を設置した「貸洗濯機場」が登場したのが最初だと言われる。当時はまだ、乾燥機能付きの洗濯機は非常に高価でサイズも大きく、一般家庭が購入するのは難しかったことから、貸洗濯機場はある程度重宝されたようだ。その後、1963年に、東京の赤羽で、日本初の本格的なコインランドリーができたと言われる。
人々に広く認知されるようになったのは1970年代に入ってからのこと。大都市圏で下宿暮らしの若者が増えたことに伴い、コインランドリーの需要が急増した。さらに1980年代に入ると、不動産投資が過熱化し、都心部でワンルームマンションの大量供給が始まる。当時のワンルームマンションは今のものよりも狭く、防音性能も低かった。洗濯機を置くスペースのない物件の入居者はもとより、洗濯機を置いて入居者でさえ、夜間はモーター音が迷惑だからと、近隣のコインランドリーを利用するケースが多かった。日本でのコインランドリーは、賃貸住宅市場と密接にかかわりながら全国に広がっていったと言える。
WASHハウスは唯一の上場企業
コインランドリー市場では現在、多くの事業者がしのぎを削っている。次は事業者の歴史について振り返る。
コインランドリー事業者としていの一番に取り上げるべきは、モントバスクジャパンだろう。「しゃぼんチェーン」の屋号で、主に地主を対象に土地活用として提案し、全国規模でコインランドリーを展開した。残念ながら、本部はすでに実質的に解散状態だが、「しゃぼんチェーン」と冠した店舗は、今でも各地で見ることができる。
1990年代から2000年代初頭にかけて急速に店舗を増やしたのは、「コインランドリーデポ」のダイワコーポレーション(神奈川県横浜市)や東静電気(東京都品川区)、「ホワイトピア」のフジタカ(現Fujitaka:京都市下京区)など。いずれも地主、管理会社向け営業が強く、現在も積極的な事業展開を行っている。
コインランドリー業唯一の上場企業として知られるのはWASHハウス(宮崎市新栄町)。コインランドリー施設を自社開発し、投資家に販売するというビジネスモデルで店舗数を増やし、すでに全国で600店舗以上を展開している。中でも福岡は200店舗を越えていると言うのだから驚きだ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで店舗展開を進めている。
この他にも、「mammaciao(マンマチャオ)」を展開するエムアイエス(東京都港区)、「Wash&Shine」のハークスレイ(大阪市北区)、「ネオクリーン」のディーオーアイ(大阪府高槻市)、「コインランドリーピエロ」のセンカク(東京都新宿区)、「ジャンボランドリーふわふわ」のトリオマネジメント(千葉県我孫子市)など、多店舗展開を進める事業者は意外にも多い。共働き世帯の増加や健康志向の高まりを追い風に、今後もコインランドリー市場は拡大していくことは間違いないだろう。
今でこそ、アパート・マンションには当たり前のように洗濯機を設置するためのパンが置かれているのが、一昔前は、賃貸物件に洗濯機置場があるのは珍しかった。洗濯機のない物件に住む入居者は、誰もが建物の1階や近所にあるコインランドリーを利用していた。今回は、賃貸住宅と縁の深いコインランドリーの歴史についてまとめた。
発祥はロンドンにあったアパートの地下
カフェやコンビニが併設されていたり、子供を遊ばせておくためのスペースが設けられているなど、この10年でコインランドリーは目覚ましい進化を遂げた。季節の変わり目ともなれば、布団や毛布など、自宅では洗えないサイズの洗濯物を抱えた主婦たちが、順番はまだかと列をなしている光景も、珍しくなくなった。
ところで、そんなコインランドリーはいつ、どこで誕生し、そしていつ頃から日本で広まったのだろうか。
文献によると、コインランドリーは1930年代にイギリスで誕生したとされる。ロンドン市内にあったアパートの地下に、入居者のために選択設備を設置したのが始まりだそうだ。この点、かつて日本でもマンションでもよく、1階に入居者のためにコインランドリーが置かれていたのと共通している。イギリスで誕生したコインランドリーはその後、アメリカに渡って今日のコインランドリービジネスへと発展していったとされる。欧米では今もコインランドリービジネスが非常に盛んで、街のいたるところで店舗を目にする。90年近い歴史があることからも分かるように、それだけ人々の生活に浸透しているということだ。
日本でコインランドリーの前身とも言えるものが誕生したのは1953年。三洋電機から発売された「噴流式電気洗濯機」を設置した「貸洗濯機場」が登場したのが最初だと言われる。当時はまだ、乾燥機能付きの洗濯機は非常に高価でサイズも大きく、一般家庭が購入するのは難しかったことから、貸洗濯機場はある程度重宝されたようだ。その後、1963年に、東京の赤羽で、日本初の本格的なコインランドリーができたと言われる。
人々に広く認知されるようになったのは1970年代に入ってからのこと。大都市圏で下宿暮らしの若者が増えたことに伴い、コインランドリーの需要が急増した。さらに1980年代に入ると、不動産投資が過熱化し、都心部でワンルームマンションの大量供給が始まる。当時のワンルームマンションは今のものよりも狭く、防音性能も低かった。洗濯機を置くスペースのない物件の入居者はもとより、洗濯機を置いて入居者でさえ、夜間はモーター音が迷惑だからと、近隣のコインランドリーを利用するケースが多かった。日本でのコインランドリーは、賃貸住宅市場と密接にかかわりながら全国に広がっていったと言える。
WASHハウスは唯一の上場企業
コインランドリー市場では現在、多くの事業者がしのぎを削っている。次は事業者の歴史について振り返る。
コインランドリー事業者としていの一番に取り上げるべきは、モントバスクジャパンだろう。「しゃぼんチェーン」の屋号で、主に地主を対象に土地活用として提案し、全国規模でコインランドリーを展開した。残念ながら、本部はすでに実質的に解散状態だが、「しゃぼんチェーン」と冠した店舗は、今でも各地で見ることができる。
1990年代から2000年代初頭にかけて急速に店舗を増やしたのは、「コインランドリーデポ」のダイワコーポレーション(神奈川県横浜市)や東静電気(東京都品川区)、「ホワイトピア」のフジタカ(現Fujitaka:京都市下京区)など。いずれも地主、管理会社向け営業が強く、現在も積極的な事業展開を行っている。
コインランドリー業唯一の上場企業として知られるのはWASHハウス(宮崎市新栄町)。コインランドリー施設を自社開発し、投資家に販売するというビジネスモデルで店舗数を増やし、すでに全国で600店舗以上を展開している。中でも福岡は200店舗を越えていると言うのだから驚きだ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで店舗展開を進めている。
この他にも、「mammaciao(マンマチャオ)」を展開するエムアイエス(東京都港区)、「Wash&Shine」のハークスレイ(大阪市北区)、「ネオクリーン」のディーオーアイ(大阪府高槻市)、「コインランドリーピエロ」のセンカク(東京都新宿区)、「ジャンボランドリーふわふわ」のトリオマネジメント(千葉県我孫子市)など、多店舗展開を進める事業者は意外にも多い。共働き世帯の増加や健康志向の高まりを追い風に、今後もコインランドリー市場は拡大していくことは間違いないだろう。