迷走する大手企業  ヤマダ電機の大塚家具子会社化に疑問符|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.01.06

迷走する大手企業  ヤマダ電機の大塚家具子会社化に疑問符

迷走する大手企業  ヤマダ電機の大塚家具子会社化に疑問符
「経営再建のノウハウはない」との厳しい意見も

 家電量販店最大手のヤマダ電機が、昨年12月12日に発表した大塚家具の子会社化。このニュースに「なぜ今さら!」「あんなお荷物を抱え込んで、ヤマダ電機は大丈夫か!?」と、疑問を抱いた方も多かったのではないだろうか。中には「利するのは大塚家具だけで、ヤマダ電機が期待するようなメリットは得られないのではないか」という厳しい意見もある。

シナジー効果は本当にあるのか?

 -売上高は5年連続で減収、営業赤字も6年連続-大塚家具の、ここ数年の業績の落ち込みは激しく、未だに復調の気配は見えない。11月に発表した2019年第3四半期(1~9月期)決算は、売上高が前年同期比23.2%減の210億300万円、営業損益は前年同期よりやや上向いたものの29億1800万円の赤字、純損益は前年同期とほぼ同じ30億6200万円の赤字と、大方の予想通り、散々な結果だった。「経営破綻は時間の問題」と見る専門家も多い。そんな危機的状況にある大塚家具を、ヤマダ電機は40億円もの資金を投じて子会社化した。出資比率は50%を超える。資本・業務提携する貸会議室大手のティーケーピーやヨドバシカメラですら見放した大塚家具を、なぜこのタイミングで傘下に収めたのか。
 ヤマダ電機の山田昇会長は記者会見で、「大塚家具を取り込むことで、ヤマダ電機のインテリア商品が充実する。シナジー効果は高いと見ている」と話した。各種メディアの見方もおおむね一致しているが、果たして本当にシナジー効果はあるのだろうか。
 例えばテレビ台は、テレビを買う際に同時に購入されるケースが多い。実際、家電量販店ではすでに、テレビ売り場でたくさんのテレビ台を陳列し、販売している。大型テレビの販売が好調な今なら、ある程度の相乗効果は見込めるかもしれない。しかし、これはあくまでも特殊なケースだ。他に、家電と一緒に購入されそうな家具があるかと言われても、まったく思い浮かばない。冷蔵庫を買ったついでに食卓を買ったり、テレビを買ったついでソファも購入するという人はまずいないだろう。家電売り場に家具を並べたところで、相乗効果はほとんどないのではないか。
 そもそも、大塚家具の商品が売れないのは、高級家具として鳴らしてきたブランドのイメージが、先のお家騒動をきっかけに大きく毀損してしまったからだ。売り場がどうこうという問題ではない。一生物である家具を、実の父と娘が骨肉の争いを演じたような会社からわざわざ買おうと思う人は少ないはずだ。縁起が悪過ぎる。本気で大塚家具の商品を売りたいのであれば、まずはこのマイナスイメージを払しょくすることが先決だ。また、それをせずに、家具を陳列するために家電売り場を縮小したりすれば、むしろ逆効果になるだろう。

過去のM&Aはことごとく失敗

 今回のヤマダ電機による大塚家具の子会社化について、専門家はどう見ているのか。ある経済アナリストは「『またか』という感が否めない。これまでの経験があまり活かされていないのではないか」と話す。どういうことか。実はヤマダ電機は大手家電量販店の中で、とりわけ会社買収に積極的だ。過去には、住宅メーカーのエス・バイ・エル(現ヤマダ・エスバイエルホーム)や住設メーカーのハウステックホールディングス(現ハウステック)、リフォーム会社のナカヤマなどを次々と子会社化してきた。いずれも本業である家電販売とのシナジー効果を見込んでのものだが、これまでのところ、どれも期待されたような成果を上げられていない。むしろ、業績だけ見れば、足を引っ張ってすらいるような状況だ。見る目がないと言えばそれまでだが、「そもそも同社には経営再建のノウハウはない」との厳しい見方もある。今回の大塚家具は、これまで傘下に収めてきたどの会社よりも状況はさらに厳しい。しかも社長は同社を苦境に陥れた張本人である大塚久美子氏が続投する。普通ではありえないことだ。「グループの足を引っ張らなければいいが・・・」と心配する声が出るのも仕方のないことだろう。
 果たして、ヤマダ電機は子会社化した大塚家具を再建することができるのか。過去の失敗の二の舞を踏まないことを期待したい。