わずか30分の雨漏り工事で請求額60万円!
悪徳リフォーム業者による被害が後を絶ちません。千葉県を中心に各地に多大な被害をも荒らした9月の台風直後にも、
「強引な営業で無理やり契約させられた」
「『一刻も早く何とかしたい』というこちらの心理を逆手にとって、とんでもない金額を吹っ掛けられた」
など、多数の被害が報告されています。悪質な手口に引っかからないための対策を、実例を交えながら解説します。
そもそもなぜ、これだけメディアで取りざたされているにもかかわらず、悪質業者は減るどころか、増え続けているのでしょうか?要因の一つとして考えられるのが、参入のしやすさです。
ご存じない方もいると思いますが、実はリフォーム業を行うのに許可は必要ありません。こういう言い方をすると誤解があるかもしれませんので、もう少し正確に言うと、請負金額が1500万円未満(税込)、もしくは請負金額にかかわらず延べ床面積が150㎡未満の木造住宅(半分以上が住居として使用されているもの)の建築一式工事と、請負金額が500万円未満(税込)の建築一式工事以外の建設工事には、通常、建築工事を請け負う場合に必要とされる「建設業許可」はいりません。つまり、水回りや壁紙・床材の貼り替えなど、一般家庭でよくある小規模なリフォーム工事なら、誰でも許可なくできるというわけです。もちろん、建設業許可を得ていなくても、優秀で丁寧な仕事をする真面目なリフォーム業者はたくさんいるので、許可の有無だけで業者の善し悪しを見分けることはできません。しかし、許可が不要であるがために、知識や経験、技術を伴わない、“素人同然のリフォーム業者”がいるのも事実です。契約したらあとは下請けに丸投げ、そんなリフォーム業者は注意した方がよいかもしれません。
それでは、悪徳業者の手口とはどのようなものなのでしょうか?雨漏りの修理で高額な費用を請求されたというAさんのケースを見てみましょう。
埼玉県さいたま市在住のAさんのお宅は、築28年の木造2階建て住宅。すでにご主人は他界されて、お一人で暮らしていました。二人いるお子さんはどちらも結婚して家庭を持たれて、仕事の関係で一人は大阪に、もう一人は名古屋に住んでいました。
そんなAさんは今から3年ほど前に、聞きなれないリフォーム会社の営業マンから「近くで工事をさせて頂いたついでに、みなさんにご挨拶して回っています」と、訪問を受けました。特に困っていることもなかったため、その場は「お願いするようなことは何もありません」と断ったそうですが、それから2、3週間に一度のペースでその営業マンはAさんを訪ねてくるようになりました。
はじめは「忙しいから」と言ってすぐに追い返していたAさんですが、お子さんたちとのやりとりが頻繁でなかったこともあり、次第に営業マンと会話するようになり、2、3ヶ月もした頃には、すっかり信用するようになってまっていたそうです。
そんなとき、埼玉県に大雨が降りました。近所で雨漏りや雨樋が破損するなどの被害があったことから、Aさんも自宅に問題がないかと不安を感じていました。そこに例の営業マンが現れ、
「この間の大雨で、この辺りでも何軒か雨漏りがあったみたいです。Aさんの家は大丈夫かと心配になって見に来ました。ちょうど手が空いているので、無償で点検してあげますよ」
お金がかからないと聞いて安心したAさんは、「それならば」と点検を頼みました。30分ほどして作業を終えた営業マンは、
「屋根裏部分にいくつか危なそうなところがあるので、今のうちに修理しておいた方が良いですよ。また大雨が降ったら、今度は本格的に雨漏りするかもしれません。うちの仕事のモニターになってもらえれば、通常の半額くらいの費用でやらせてもらいますがどうでしょうか?」
と言いました。「通常の半額」という言葉を聞いてAさんは、親切にしてくれた営業マンに対するお礼の意味も込めて、この提案を受けることにしました。そして数日後、工事は完了しました。Aさんも「これで大雨が降っても大丈夫」とすっかり安心しました。
ところが、リフォーム会社から送られてきた請求書を見て、Aさんは一瞬、自分の目を疑いました。そこには、「雨漏り工事代金60万円」と書かれていたからです。正規の値段なら120万円です。半額と言うからには、数万円から高くても10万円くらいで済むだろうと考えていたAさんは、慌てて営業マンに連絡しました。すると営業マンは「十分お安いですし、もう工事は終わったので払ってもらわないと困ります」と、そっけない対応。困り果てたAさんはお子さんに連絡し、状況を伝えました。
数日後、お子さんの知り合いだという設計士がAさんのお宅を訪れ、工事をしたという屋根裏を調査。ところが、いくら詳しく調べてみても、工事をしたような痕跡は発見できませんでした。不思議に思った設計士は、「作業員はどのくらいの時間屋根裏にいましたか?」とAさんに尋ねると、「30分くらい」という答えが返ってきました。
「Aさん、どうやら作業員は、屋根裏で工事をしているふりをして、ただ時間を潰していただけのようです。私が見たところ、雨漏りしそうなところはありませんでした。すぐに消費者センターに相談した方が良いですよ」
建築士のアドバイスに従い、Aさんはすぐに消費者センターに連絡。「代金を振り込まないように」との指示を受け、とりあえず状況を見守ることにしました。そして半年後、建築士から「例のリフォーム業者はいつの間にか所在が不明になり、連絡が取れなくなった。おそらく夜逃げでもしたんでしょう」という報告を受けました。後で聞いたところ、Aさんと同じような相談が他にも何件か寄せられていたそうです。
これは、悪徳業者がよく使う「モニター商法」と呼ばれる手口です。「半額にする」「大幅に値引きします」と言われると、ついお得なように感じてしまいがちですが、実際は値引き前のもともとの金額がぼったくりであることがほとんどです。お得なように見せかけて、契約を取るというやり方です。それでも、きちんと工事をすればまだマシな方です。Aさんの場合は、そもそも工事すらしていなかったので、立派な詐欺行為だと言えるでしょう。こうした悪質な詐欺の被害に遭わないためにも、その場で契約せずに、家族や知り合いなどに相談してから、決断するようにしましょう。みなさんは大丈夫でしょうか?リフォームに関する悩みや相談がある方は、お近くの全国優良リフォーム会員にお問い合わせ下さい。
悪徳リフォーム業者による被害が後を絶ちません。千葉県を中心に各地に多大な被害をも荒らした9月の台風直後にも、
「強引な営業で無理やり契約させられた」
「『一刻も早く何とかしたい』というこちらの心理を逆手にとって、とんでもない金額を吹っ掛けられた」
など、多数の被害が報告されています。悪質な手口に引っかからないための対策を、実例を交えながら解説します。
そもそもなぜ、これだけメディアで取りざたされているにもかかわらず、悪質業者は減るどころか、増え続けているのでしょうか?要因の一つとして考えられるのが、参入のしやすさです。
ご存じない方もいると思いますが、実はリフォーム業を行うのに許可は必要ありません。こういう言い方をすると誤解があるかもしれませんので、もう少し正確に言うと、請負金額が1500万円未満(税込)、もしくは請負金額にかかわらず延べ床面積が150㎡未満の木造住宅(半分以上が住居として使用されているもの)の建築一式工事と、請負金額が500万円未満(税込)の建築一式工事以外の建設工事には、通常、建築工事を請け負う場合に必要とされる「建設業許可」はいりません。つまり、水回りや壁紙・床材の貼り替えなど、一般家庭でよくある小規模なリフォーム工事なら、誰でも許可なくできるというわけです。もちろん、建設業許可を得ていなくても、優秀で丁寧な仕事をする真面目なリフォーム業者はたくさんいるので、許可の有無だけで業者の善し悪しを見分けることはできません。しかし、許可が不要であるがために、知識や経験、技術を伴わない、“素人同然のリフォーム業者”がいるのも事実です。契約したらあとは下請けに丸投げ、そんなリフォーム業者は注意した方がよいかもしれません。
それでは、悪徳業者の手口とはどのようなものなのでしょうか?雨漏りの修理で高額な費用を請求されたというAさんのケースを見てみましょう。
埼玉県さいたま市在住のAさんのお宅は、築28年の木造2階建て住宅。すでにご主人は他界されて、お一人で暮らしていました。二人いるお子さんはどちらも結婚して家庭を持たれて、仕事の関係で一人は大阪に、もう一人は名古屋に住んでいました。
そんなAさんは今から3年ほど前に、聞きなれないリフォーム会社の営業マンから「近くで工事をさせて頂いたついでに、みなさんにご挨拶して回っています」と、訪問を受けました。特に困っていることもなかったため、その場は「お願いするようなことは何もありません」と断ったそうですが、それから2、3週間に一度のペースでその営業マンはAさんを訪ねてくるようになりました。
はじめは「忙しいから」と言ってすぐに追い返していたAさんですが、お子さんたちとのやりとりが頻繁でなかったこともあり、次第に営業マンと会話するようになり、2、3ヶ月もした頃には、すっかり信用するようになってまっていたそうです。
そんなとき、埼玉県に大雨が降りました。近所で雨漏りや雨樋が破損するなどの被害があったことから、Aさんも自宅に問題がないかと不安を感じていました。そこに例の営業マンが現れ、
「この間の大雨で、この辺りでも何軒か雨漏りがあったみたいです。Aさんの家は大丈夫かと心配になって見に来ました。ちょうど手が空いているので、無償で点検してあげますよ」
お金がかからないと聞いて安心したAさんは、「それならば」と点検を頼みました。30分ほどして作業を終えた営業マンは、
「屋根裏部分にいくつか危なそうなところがあるので、今のうちに修理しておいた方が良いですよ。また大雨が降ったら、今度は本格的に雨漏りするかもしれません。うちの仕事のモニターになってもらえれば、通常の半額くらいの費用でやらせてもらいますがどうでしょうか?」
と言いました。「通常の半額」という言葉を聞いてAさんは、親切にしてくれた営業マンに対するお礼の意味も込めて、この提案を受けることにしました。そして数日後、工事は完了しました。Aさんも「これで大雨が降っても大丈夫」とすっかり安心しました。
ところが、リフォーム会社から送られてきた請求書を見て、Aさんは一瞬、自分の目を疑いました。そこには、「雨漏り工事代金60万円」と書かれていたからです。正規の値段なら120万円です。半額と言うからには、数万円から高くても10万円くらいで済むだろうと考えていたAさんは、慌てて営業マンに連絡しました。すると営業マンは「十分お安いですし、もう工事は終わったので払ってもらわないと困ります」と、そっけない対応。困り果てたAさんはお子さんに連絡し、状況を伝えました。
数日後、お子さんの知り合いだという設計士がAさんのお宅を訪れ、工事をしたという屋根裏を調査。ところが、いくら詳しく調べてみても、工事をしたような痕跡は発見できませんでした。不思議に思った設計士は、「作業員はどのくらいの時間屋根裏にいましたか?」とAさんに尋ねると、「30分くらい」という答えが返ってきました。
「Aさん、どうやら作業員は、屋根裏で工事をしているふりをして、ただ時間を潰していただけのようです。私が見たところ、雨漏りしそうなところはありませんでした。すぐに消費者センターに相談した方が良いですよ」
建築士のアドバイスに従い、Aさんはすぐに消費者センターに連絡。「代金を振り込まないように」との指示を受け、とりあえず状況を見守ることにしました。そして半年後、建築士から「例のリフォーム業者はいつの間にか所在が不明になり、連絡が取れなくなった。おそらく夜逃げでもしたんでしょう」という報告を受けました。後で聞いたところ、Aさんと同じような相談が他にも何件か寄せられていたそうです。
これは、悪徳業者がよく使う「モニター商法」と呼ばれる手口です。「半額にする」「大幅に値引きします」と言われると、ついお得なように感じてしまいがちですが、実際は値引き前のもともとの金額がぼったくりであることがほとんどです。お得なように見せかけて、契約を取るというやり方です。それでも、きちんと工事をすればまだマシな方です。Aさんの場合は、そもそも工事すらしていなかったので、立派な詐欺行為だと言えるでしょう。こうした悪質な詐欺の被害に遭わないためにも、その場で契約せずに、家族や知り合いなどに相談してから、決断するようにしましょう。みなさんは大丈夫でしょうか?リフォームに関する悩みや相談がある方は、お近くの全国優良リフォーム会員にお問い合わせ下さい。