そのリフォームちょっと待った!~リフォーム取引販売士に聞きました~②|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2019.05.27

そのリフォームちょっと待った!~リフォーム取引販売士に聞きました~②

そのリフォームちょっと待った!~リフォーム取引販売士に聞きました~②
大雑把な内容の見積書には注意が必要!
高齢者を狙った悪徳リフォーム業者にご用心


 悪質業者によるリフォームトラブルが増えています。特に一人暮らしの高齢者や老夫婦のお宅を狙った悪質なケースが多く、関係の相談窓口には日々、多くの相談が寄せられています。もしかしたらみなさんのお宅も狙われているかもしれません。詐欺に遭いそうになったらどうすれば良いのか?事例とともに対策について考えてみたいと思います。

 リフォームトラブルの中で被害額が大きくなりがちなのは外壁塗装に絡んだものです。100万円を超えることも珍しくないため、何か不審な点があるなと思った場合は、特に慎重に対処しなければなりません。その手口とは一体どんなものなのか。

 ご紹介するには、宮城県仙台市に住むAさんのお母様が遭われたリフォームトラブルです。Aさんのお母様はもうすぐ70歳で、神奈川県川崎市にある一戸建てにお一人で住んでおられます。離れて暮らしているためしょっちゅう会いに行くというわけにはいきませんが、それでもお盆や正月の休暇に加え、仕事で東京に行った際にはできるだけ様子を見に行くようにしておられるそうです。
そんなAさんは昨年、仕事の関係で海外に長期出張することになりました。長期と言っても期間は約1ヶ月半。すぐに帰国するつもりで、お母様には「1ひと月半ほど仕事で海外に行ってくる」とだけ伝えていたそうです。ところが仕事に思ったより時間がかかってしまい、Aさんの帰国は半月ほど伸びてしまいました。東京の本社に仕事の報告に行った足で実家を訪問したところ、Aさんは驚きの事実を目の当たりにしました。

「出張から帰って2ヶ月ぶりに実家に行って驚きました。何と家の外壁がキレイに塗り替えられていたのです」

 Aさんは何事かとお母さんに確認したところ、1ヶ月半ほど前にX社という会社の営業マンがやってきて「壁の塗装が古くなっているのですぐに塗り替えた方が良い」と提案されたとのこと。しかも「今ならキャンペーン期間で通常よりもかなり安く工事ができる」と熱心に営業され、お母様は数日後、言われるままに契約してしまったそうです。もちろん、事前にAさんに相談しようとも思ったそうですが、あいにく出張中でしばらく連絡を取ることができません。営業マンが親切だったこともあり、すっかり信用してしまったそうです。
 Aさんはまずいくらかかったのか確認しました。お母様が出してきた見積り書を見て、Aさんはとても驚いたそうです。
 リフォーム業者は普通、工事の金額がいくらになるのか事前に見積りを提出するのが普通です。工事内容や材料ごとに「数量」や「単価」「金額」を示し、その合計額を見積り額として提案します。ところがたまに詳細な内訳は一切記載せずに、“〇〇工事一式”で〇〇万円という大雑把な見積りを出してくる業者がいます。Aさんが手にした見積り書がまさにこれでした。そこには、そこには「外壁塗装工事一式200万円」とだけ書かれていたそうです。これの何が問題なのかと言うと、何にどれだけの費用がかかるのかがさっぱり分からないことです。使う材料も、どこのメーカーの何という商品なのか不明です。これでは見積りの金額が高いのか、安いのかも判断できません。今どき、こんな大雑把な見積りを出してくる業者はほとんどいません。
 工事代金の支払いがまだだったため、AさんはとりあえずX社に連絡を取り、工事の内容を詳しく教えて欲しいと伝えました。ところがX社の返答は、「忙しいから対応できない」というものでした。これでは埒が明かないと思ったAさんは、工務店で働く知人に頼んで、200万円という金額が妥当なのかどうか、見てもらうことにしました。知人の見立ては、

「どんな塗料を使って塗装したかまでは分からないが、この家の規模ならどんないに良い塗料を使ってもせいぜい100万円が相場だろう。いくらなんでも200万円は高過ぎる。もしかしたら一人暮らしだと分かって、高い金額を吹っ掛けたのかもしれない」

というものでした。Aさんは現在も、X社に対して工事の詳細を教えてくれるように連絡をしていまが、状況は改善されていません。こうしたケースでは施主やその関係者が何度も業者のもとに足を運ばなくてはならなくなるため、無駄な労力と時間がかかります。ご両親が高齢でかつ一人暮らしをしている、遠方に住んでいてすぐに会いに行くことができないという方は、普段から注意を喚起しておくことを進めします。リフォームに関するトラブルお困りの方は、お近くのリフォーム取引販売士に相談してみてはいかがでしょうか?