押切もえさん特別インタビュー(第2回)「仕事と家庭…そして生きる」|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2018.05.07

押切もえさん特別インタビュー(第2回)「仕事と家庭…そして生きる」

押切もえさん特別インタビュー(第2回)「仕事と家庭…そして生きる」
~成長者へ変わるきっかけとは~

 人にはそれぞれの間がある。間と言うよりも、波長と言う方が良いかも知れない。今回のような対談の時には、会って話しをして、30秒で相手の方との呼吸と心臓の音を合わせにいく。それによってお互いにストレスなく、対談が進められるからだ。
 しかし、押切さんに至っては、私が合わせにいったのではない。むしろ川のせせらぎのような空間に乗せられたのだ。

-長い間モデルという仕事されていますが、この仕事についてどう感じていらっしゃいますか。
押切 モデルの仕事は楽しいですね。始めたのは20代の頃だったのですが、同世代のファンの方たちがすごく応援してくれたというのもありましたし、やっぱり視野というか世界が広がりました。モデルになってたくさんの方と知り合えましたし、芸能のお仕事するようになってから色々なお話しを聞けるようになって、本当に感謝しています。普通に毎日、同じ職場にいたらできなかったことがたくさんあると思います。
-いきなりトップモデルで人気が出て、傍目から見ると下積みもそんなになく順風満帆には見えると思いますが、途中で辛いことや嫌なことがあって、辞めようと思ったこともたくさんあったわけですよね。
押切 大変なこともたくさんありましたよ。最初に入った事務所が突然潰れてフリーになってしまって、その時は日雇いでパン工場のアルバイトをしながら、オーディションの結果を待っていたりしましたね。事務所がないので、自分でスケジュールを組んで仕事をお願いしてた時期もありました。
-その辺りの時期が一番辛かったですか。
押切 何も見えませんでしたからね。本当に自分がやりたいと思う方向は合っているのかとか、「迷うんだったら辞めた方がいいんじゃないか」と言っている人の方が多い時期でしたね。
-それは、迷いはあるけれど、それでも気持ちは前を向いていたのですか。
押切 あの時はなぜかすごかったですね。でも自分がやるだけやってみたいというのが分かっていて、今や辞めたらきっと後悔するなって思いましたね。十代の時も、やりたいけれど何となく身にならなかったことは沢山あって、私の中では部活とか今一つ上手くできなかったのですけど、そういう性格も変えたいなと思っていて、やっぱり自分が納得するまでやってみようと思いました。
-元々、そんなに積極的な性格ではなかったんですね。
押切 すごい恥ずかしがり屋ですし、今もまだそういう部分はありますね。
-恥ずかしがり屋でもモデルという仕事はできるものなのですね。
押切 写真に撮られる時は違う自分になれたり、衣装とかヘアメイクとか場の雰囲気で自分が明るい人や強い人間になれたりするので、そういうところがすごく好きでモデルをやりたいなと思いました。
-それはスイッチが入って、別人格というか仕事の顔になる感じなんのですか?
押切 それぐらい楽しめたので不思議だなと思います。洋服のパワーとかチームワークのすごさをそこで知りましたね。

 みんな子供の頃に持つ夢があり、男の子であれば仮面ライダーやウルトラマンのように、女の子もセーラームーンのように変身願望(欲求)というものがある。でも、どこかでそれは願望と分かっているから「どうせ私は、そんな勇気もないし。話も得意ではないし…」と理由をつけて諦めてしまう。
 でも、もしもそこに、自分が変身できるマントがあったのならば、誰もが一度は着てみたいと思うだろう。

-今までモデルの仕事やってきて、辞めたいと思ったことはないのですか?
押切 モデルの仕事を辞めたいと思ったことはないですね。10年以上前ですけど、大きい怪我で入院して、3カ月半休むことになったのですけど、その時も辞めるとかはなかったですね。みんなからは「復帰できないでしょう」みたいな感じで見られましたけど。
-そこは「負けるもんか」という気持ちですか?
押切 このままみんなに迷惑かけたまま終わったらいけないし、少しでも恩返しをしていかないといけないという気持ちでいっぱいでしたね。
-我々が専門にする不動産・建築の業界では、10年残る会社が10社のうち1社と言われています。芸能界はもっと浮き沈みが激しいでしょうから、10年続くというのはすごいなと思うのですけが、何が他の方と違ったのでしょうか。
押切 私よりすごい人はいっぱいいますけど、なんでしょうね・・・。
大きいのは人との出会いを大事にすることと、これは一見すると無意味かなと思うことも大事にしてやるということだと思います。元SMAPの中居正広さんの「どんな仕事でも『やりがい』と『生きがい」』と『手応え』を大事にすると成功は約束されていないけれど、成長は約束されている」という言葉がすごく好きで、成功しろと言うのではなくて、成長が自分の中にあればOKと思うことが大事だと思うんです。
だから私もい色んなジャンルのお仕事をさせていただいていますけど、私ができることは少ししかないんじゃないのかなと思っても、その日の朝に目標を立てたり、すごい良い日にしようとか考えていくと、思わぬ収穫や私の中に変化や成長があったりとかしますよね。

 長く成功者に話を聞くと、みんな一様に「特別なことはしていない」と言う。ただし、当たり前のことをコツコツと続けている。地道な努力をし続けることが特別なことなのかもしれない。

(プロフィール)
モデル、作家。1979年生まれ。千葉県出身。
モデルにテレビ・ラジオや広告キャラクター、執筆活動と多方面で活躍中。 
2015年から3年連続で二科展絵画部門に入選し、2016年に出版した短篇連作集「永遠とは違う一日/新潮社」は山本周五郎賞候補にノミネートされた。
2016年野球選手の湧井秀章と結婚する。2018年3月第1子を出産。