内容に富んだ「アパートマンション情報」
ネットやスマホによる部屋探しがすっかり定着した今日では、物件情報誌を見る機会はすっかり減ってしまいました。たまに駅のコンコースなどに置かれているのを手に取って見るくらいです。しかし、ほんの5年、10年前までは、コンビニや書店に行けば、必ず数種類の物件情報誌が置いてありました。1月から3月の繁忙期ともなれば、山積みにされた物件情報誌が、飛ぶように売れていたのを思い出します。最盛期には全国で、200種類以上の媒体が発行されていたそうです。今回は、移り変わりの激しい不動産業界にあって一時代を築いた物件情報誌の歴史を紐解いていきたいと思います。
手元に「アパートマンション情報」という雑誌があります。6月号で、裏表紙をめくると“昭和51年6月15日発行”と書かれています。「昭和51年!?」と驚かれた方もいらっしゃるかと思います。実は物件情報誌は、今から40年以上も前からありました。では、誰がいつ、これを最初に考え出したのでしょうか。主要媒体の創刊の歴史を振り返ってみたいと思います。
まずは「アパートマンション情報」について詳しく見ていきます。発行元はハウザーという不動産会社で、本社は当時、東京都渋谷区にあったそうです。残念ながら創刊号が手元になく、発行元のハウザー自体が現存しないため雑誌の創刊年は分かりません。しかし、6月号には“11号”と“毎月2回発行”いう記載があり、このことから少なくとも発行を5カ月前まえまで遡ることができます。少なくとも昭和51年初頭には刊行されていた媒体であると推測されます。
中を見てみると、いわゆる物件情報誌とは異なることが分かります。もちろん、物件情報誌である以上、物件情報は掲載されているのですが、それ以上に、人々の私生活やインテリアの話など記事が多く載せられている印象を受けます。当時、このハウザーの賃貸管理部門に勤め、その後、独立して中央線沿線で不動産業者を営んでいた方によると、「当時は新刊が出るたび、店頭に行列ができた」そうです。今のようにネットで物件情報を手軽に見ることができない時代、物件情報誌は貴重な情報源だったことがよく分かります。
エイブル(東京都港区)も、早い時期から物件情報誌の発行を手掛けてきたは不動産会社です。1968年、大阪建設として大阪の守口市というところで誕生したエイブルが賃貸仲介を本格的に手掛けるようになったのは創立から6年後のこと。翌年に「民間賃貸住宅ニュース」(後の週刊CHINTAI)を創刊しました。現在はグループ会社であるCHINTAI(東京都港区)が主要7エリア版の発行を手掛けているようです。
東海地区最大の管理会社であるニッショー(愛知県名古屋市)は、1977年7月に「アパートニュース」を月刊紙として創刊しました。コーポレートサイトによると、東海地区初の物件情報誌だったそうです。その後、月2回発行、アパートニュース事業部の法人化などを経て、web版への移行のため、2014年3月に「アパートニュース」は休刊となったそうです。
SUUMOのルーツは41年間創刊の「住宅情報」
次に、不動産会社以外が手掛けた物件情報誌について見ていきたいと思います。現在は「SUUMO新築マンション」という名で発行されている物件情報誌。発行しているのはリクルートグループのリクルート住まい総研(東京都港区)です。ホームページの沿革を見ると、現在の形に至るまでにいくつかの変遷があるようですが、ルーツを辿ると1976年(昭和51年)に創刊された「住宅情報」(首都圏版)に行き着きます。最初は首都圏の情報のみを掲載していたようですが、順次、各地方版を創刊し、関西、倒壊、北海道、九州、東北、中国と全国を網羅していったようです。その後、「住宅情報タウンズ」や「ISIZE住宅情報」、「住宅情報マンションズ」などの媒体を発行し、現在は「SUUMO」ブランドで複数の媒体を発行しています。
アットホーム(東京都大田区)は物件情報を不動産店舗に配布して回る事業を核にスタートした会社ですが、後に「マイルームガイド」という賃貸物件に特化した情報誌を創刊しました。最初に創刊したのは福岡版で、1982年(昭和57年)のことです。最初が福岡というのは意外でしたが、1989年(昭和64年)には首都圏版も創刊しました。その後、誌名を「週刊マイルーム」「at home賃貸版」「at homeマガジン」と変更しながら、「賃貸物件マガジン」というフリーペーパーなども創刊しました。
物件情報誌と言うと、出版社やそれに近い中立的な立場の会社が発行している印象が強いです。しかし、こうして見てみると、ハウザーや大阪建設(現エイブル)、ニッショーなど、当初は不動産会社が主体となって、自社の宣伝のために発行していた媒体がいくつも存在していたようです。今回は主要媒体のみを取り上げましたが、機会があればまた、別の媒体についても紹介したいと思います。
ネットやスマホによる部屋探しがすっかり定着した今日では、物件情報誌を見る機会はすっかり減ってしまいました。たまに駅のコンコースなどに置かれているのを手に取って見るくらいです。しかし、ほんの5年、10年前までは、コンビニや書店に行けば、必ず数種類の物件情報誌が置いてありました。1月から3月の繁忙期ともなれば、山積みにされた物件情報誌が、飛ぶように売れていたのを思い出します。最盛期には全国で、200種類以上の媒体が発行されていたそうです。今回は、移り変わりの激しい不動産業界にあって一時代を築いた物件情報誌の歴史を紐解いていきたいと思います。
手元に「アパートマンション情報」という雑誌があります。6月号で、裏表紙をめくると“昭和51年6月15日発行”と書かれています。「昭和51年!?」と驚かれた方もいらっしゃるかと思います。実は物件情報誌は、今から40年以上も前からありました。では、誰がいつ、これを最初に考え出したのでしょうか。主要媒体の創刊の歴史を振り返ってみたいと思います。
まずは「アパートマンション情報」について詳しく見ていきます。発行元はハウザーという不動産会社で、本社は当時、東京都渋谷区にあったそうです。残念ながら創刊号が手元になく、発行元のハウザー自体が現存しないため雑誌の創刊年は分かりません。しかし、6月号には“11号”と“毎月2回発行”いう記載があり、このことから少なくとも発行を5カ月前まえまで遡ることができます。少なくとも昭和51年初頭には刊行されていた媒体であると推測されます。
中を見てみると、いわゆる物件情報誌とは異なることが分かります。もちろん、物件情報誌である以上、物件情報は掲載されているのですが、それ以上に、人々の私生活やインテリアの話など記事が多く載せられている印象を受けます。当時、このハウザーの賃貸管理部門に勤め、その後、独立して中央線沿線で不動産業者を営んでいた方によると、「当時は新刊が出るたび、店頭に行列ができた」そうです。今のようにネットで物件情報を手軽に見ることができない時代、物件情報誌は貴重な情報源だったことがよく分かります。
エイブル(東京都港区)も、早い時期から物件情報誌の発行を手掛けてきたは不動産会社です。1968年、大阪建設として大阪の守口市というところで誕生したエイブルが賃貸仲介を本格的に手掛けるようになったのは創立から6年後のこと。翌年に「民間賃貸住宅ニュース」(後の週刊CHINTAI)を創刊しました。現在はグループ会社であるCHINTAI(東京都港区)が主要7エリア版の発行を手掛けているようです。
東海地区最大の管理会社であるニッショー(愛知県名古屋市)は、1977年7月に「アパートニュース」を月刊紙として創刊しました。コーポレートサイトによると、東海地区初の物件情報誌だったそうです。その後、月2回発行、アパートニュース事業部の法人化などを経て、web版への移行のため、2014年3月に「アパートニュース」は休刊となったそうです。
SUUMOのルーツは41年間創刊の「住宅情報」
次に、不動産会社以外が手掛けた物件情報誌について見ていきたいと思います。現在は「SUUMO新築マンション」という名で発行されている物件情報誌。発行しているのはリクルートグループのリクルート住まい総研(東京都港区)です。ホームページの沿革を見ると、現在の形に至るまでにいくつかの変遷があるようですが、ルーツを辿ると1976年(昭和51年)に創刊された「住宅情報」(首都圏版)に行き着きます。最初は首都圏の情報のみを掲載していたようですが、順次、各地方版を創刊し、関西、倒壊、北海道、九州、東北、中国と全国を網羅していったようです。その後、「住宅情報タウンズ」や「ISIZE住宅情報」、「住宅情報マンションズ」などの媒体を発行し、現在は「SUUMO」ブランドで複数の媒体を発行しています。
アットホーム(東京都大田区)は物件情報を不動産店舗に配布して回る事業を核にスタートした会社ですが、後に「マイルームガイド」という賃貸物件に特化した情報誌を創刊しました。最初に創刊したのは福岡版で、1982年(昭和57年)のことです。最初が福岡というのは意外でしたが、1989年(昭和64年)には首都圏版も創刊しました。その後、誌名を「週刊マイルーム」「at home賃貸版」「at homeマガジン」と変更しながら、「賃貸物件マガジン」というフリーペーパーなども創刊しました。
物件情報誌と言うと、出版社やそれに近い中立的な立場の会社が発行している印象が強いです。しかし、こうして見てみると、ハウザーや大阪建設(現エイブル)、ニッショーなど、当初は不動産会社が主体となって、自社の宣伝のために発行していた媒体がいくつも存在していたようです。今回は主要媒体のみを取り上げましたが、機会があればまた、別の媒体についても紹介したいと思います。