賢い施主になるための7つのポイント~良い工務店の選び方とは?~【後編】|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.03.19

賢い施主になるための7つのポイント~良い工務店の選び方とは?~【後編】

賢い施主になるための7つのポイント~良い工務店の選び方とは?~【後編】
こんにちは、前号に引き続き、家を建てる際に押さえておきたいポイントについて解説していきたいと思います。
【5】売上に貢献しないアドバイスもしてくれるか?

 営業担当としては、当然のことながら自社の売上向上につながる提案を、一生懸命してきます。しかし、本当に施主のことを考えると、必ずしもコストをかけなくてもできることはたくさんあります。
 例えば、前編でもふれた防犯対策がその代表です。最近では、宅配業者などの振りをして呼び鈴を押し、ドアが開いた瞬間に押し入ろうとする、いわゆる「押し込み強盗」による事件が増えています。そこで、ドアホンを設置する門扉を、玄関から遠ざけることによって、こうした犯罪を防ぐことができます。
 また、窓の位置や高さを少しずらすだけで、建物の前にある道路からの室内の見え方が変わってきます。また、植栽に使う樹種を少し変えるだけでも、近所から洗濯物が見えにくくもなります。
 こうした工夫には、ほとんど追加の費用がかかりません。このため、自社の売上だけを考えている営業担当には、全く興味のない話題ですが、本当に施主のことを考えている担当者は、一生懸命にこうした工夫にも時間をかけてくれます。
収納についても同じようなことが言えます。家族の趣味や持ち物にあわせて、棚を少し増やしたり、その幅や奥行きを少し変えたりするだけで、使い勝手が大きく向上してきます。これも、ほとんどコストはかかりません。
 提案してくれる内容の良し悪しだけでなく、それが彼らの売上に寄与するものなのかを確認しましょう。ほとんどコストアップにならないにも関わらず、自分たちのことを考えて提案してくれているのかどうかが、見極めるポイントとなります。
 これとは逆に、自分たちの売上につながることであっても、施主のためにならないことについては、「よい工務店」はそのデメリットを施主に確認してくれます。
例えば、耐震性に影響のあるデザインの住宅がその一例です。外見が良くて使い勝手が向上する間取りであっても、いざ震災がおこったときに被害が大きくなるような構造では、本末転倒です。
 例えば、2階のスペースを広げるために、1階の外壁よりもせり出した構造(「オーバーハング」と呼ばれます)は、地震の揺れにより大きな負荷がかかり、そこから倒壊することも考えられます。施入のニーズに応えるだけでなく、そうした危険性もあわせて十分に説明してくれる工務店が、よい工務と言えます。
施主が希望することに対して、「何でも対応します」という工務店は、親切なようで実は危険な場合もあるのです。

【6】よい職人を使うことを優先して考えているか?

 腕のよい職人は、当然のことながらどの工務店としてもできるだけ利用したいと考えるため、人気者です。一つの工務店専属の職人もいますが、ほとんどの場合、特に腕のよい人気者の職人さんは、複数の工務店の仕事を請け負っています。
 このため、腕のよい職人で建ててもらうためには、その空いている日程にあわせて仕事を割り振り、工事のスケジュールを作成しなくてはなりません。場合によっては、腕のよい職人さんの空き状況に合わせて、工事を多少遅らせる必要もでてきます。
 工事を依頼する前に、担当してもらえる職人さんを確認して、事前にその職人さんのいる現場に会いにいけるか聞いてみましょう。どの職人を使うか明確な答えが返ってこない工務店は、特定の職人を想定していない可能性があり、予め腕の良し悪しを把握していないような臨時の職人さんに依頼してしまう可能性があります。
 どの職人さんに依頼するか、事前に配慮をしてくれている工務店なのかどうかを見極めることによって、質の高い職人で建ててもらえるのかを確認しましょう。

【7】現場の整理整頓、職人さんの挨拶ができているか?

 よい工務店は、施主のお金で購入した建設資材を大切に扱います。依頼する工務店の候補がある程度絞られてきたら、その会社の建築現場を紹介してもらって見学をしてみましょう。
 チェックすべきポイントとしては、仮囲いがしてあり不特定多数が出入りできないようになっているか、顧客専用のスリッパが用意されているか、現場の敷地や内部を見て、ゴミが落ちていないか、資材が乱雑に置かれていないか、どこで喫煙しているかという点です。
 特に、資材の扱いが乱雑な現場では、施主のお金で購入したものであるという意識が薄く、施工精度も粗くなりがちです。また、建築中の建物の中で喫煙する職人がいるような現場をもっている工務店も避けるべきです。火災の危険性はもちろんのこと、施主の建物を大切に考えていないことの表れです。よい工務店の職人さんは、止めてある車の中で喫煙するよう指導されているものです。
 こうした、現場を美しく保っているかどうかということだけでなく、職人さんとのコミュニケーションも工務店の良し悪しを決める大きなポイントです。
一般的に、「職人さんは口下手でぶっきらぼう」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
 しかし、よい工務店はそんな職人さんの教育をしっかり指導しています。そこまですることによって、職人さんが自分たちに仕事を与えてくれている施主に対して感謝の気持ちを持つようにして、自然と仕事も丁寧になることを狙っているからです。
お互いに気心の知れた仲になると、職人さんとしては、その施主のためにいい仕事をしようという気持ちが湧いてくるものです。
 いい家を建てようとする工務店は、そこまで考えて、職人さんの「気持ち」までコントロールしています。そんな工務店を選べば、間違いのない家づくりにつながるといえます。

 みなさんも賢い消費者として、腕のいい信頼できる工務店で家を建てることを、目指してみませんか?