狙い目は老朽化した空室物件か?
昨年は、コロナ禍で業績が悪化した大手企業による不動産売却が大きな話題になったものの、不動産相場は予想に反して下がらず、むしろ上昇が続いている。果たして、この不動産投資家とって歯痒い状況はいつまで続くのか。自社で不動産投資も手掛けるセンチュリー21・ワールドスタイル(大阪市北区)の柴田裕治社長に、不動産投資市場の今後の見通しについて話を聞いた。
-コロナ禍で不動産価格が下がることを期待していた投資家が多くいましたが、実際にはその逆の状況になっています。
柴田 我々も当初は、業績の悪化などを理由に、所有する不動産の売却に動く不動産オーナーが増えるだろうと考えていました。ところが意外なほどそうした動きは少なく、売りに出たとしても相場よりも高いものがほとんどです。
-御社では、収益物件の販売も積極的に手掛けています。現状、不動産投資家の動きはどうでしょうか。
柴田 本当のプロの投資家は、今の状況で動くことはありません。とにかく不動産の価格が上がり過ぎていますので、ある程度落ち着くまでは静観するでしょう。今、買いに動いているのは、どちらかというと経験の浅い投資家や、節税目的などで不動産を買わなければならない企業などです。
-御社のグループでも収益物件を購入されています。今、買うのであれば、どんな物件を買いますか。
柴田 先程も申し上げたように、現状、不動産の価格は相対的に上がっています。好立地で入居状況の良い物件であればなおさらです。さすがに相場よりも高いと分かっている物件については、よほどのことがない限り、我々も手を出しません。逆に老朽化して入居率が低下し、あまり他の方が手を出さないような物件の方が、我々は興味がありますね。そうした物件であれば、比較的手頃な価格で購入することができからです。
-いくら安く購入できるとはいえ、そういった物件は収益不動産としての魅力は低いように思います。
柴田 もちろん、それをそのまま運用したのでは意味がありません。我々は不動産のプロですから、収益性を高めるためにリノベーションします。「リノベーションなするだけなら自分にもできる」と考える投資家もたくさんいますが、実際にはマーケットに関する知識や情報が必要なため、それほど簡単ではありません。結果を出すためには、経験が必要です。
-何か具体的なリノベーション事例があれば教えて下さい。
柴田 昨年7月に、天神橋筋六丁目界隈で購入した総戸数14戸のマンションが良い例です。建てられたのは平成3年で、住戸の広さはわずか15㎡でした。まったく手入れがなされておらず、外壁はボロボロなうえ漏水もありました。そのせいもあり、購入前の時点で9戸が空室でした。さすがにこれだけひどいと、素人やにわか投資家ではどうすることもできません。なかなか買い手がつかなかったところ我々に話がきたため、購入することになりました。外壁の補修やキッチンの入れ替えなど、それなりに手はかかりましたが、1カ月半で満室にすることができました。
-事例のような老朽化した収益物件はよくあるのでしょうか。
柴田 たくさんあるわけではありませんが、探せばそれなりに出てはきます。ただし、繰り返しますが素人が簡単にどうこうできるものではありません。再生させるためには、経験やノウハウが必要です。建築資材も高騰しているので、なかなか調整は難しいです。
-プロであれば、今はそういう物件に絞って投資するのも一つの選択肢になりえるということですね。
柴田 そうですね。我々としても、今は戦略的にそうした物件にも積極的に投資していきたいと考えています。うまく再生することができれば、自社で保有するだけでなく、第3者に売却するということも考えています。
-最後に、今後の不動産投資市場の展望についてご意見をお聞かせください。
柴田 大阪に関して言えば、2025年に万博開催を控えていることもあり、不動産価格はまだまだ上がりそうな気配です。今さらコロナ禍で不動産市場が左右されることもないと思います。我々にとっては、ちょっと仕事がしにくい状況が続きそうです。
昨年は、コロナ禍で業績が悪化した大手企業による不動産売却が大きな話題になったものの、不動産相場は予想に反して下がらず、むしろ上昇が続いている。果たして、この不動産投資家とって歯痒い状況はいつまで続くのか。自社で不動産投資も手掛けるセンチュリー21・ワールドスタイル(大阪市北区)の柴田裕治社長に、不動産投資市場の今後の見通しについて話を聞いた。
-コロナ禍で不動産価格が下がることを期待していた投資家が多くいましたが、実際にはその逆の状況になっています。
柴田 我々も当初は、業績の悪化などを理由に、所有する不動産の売却に動く不動産オーナーが増えるだろうと考えていました。ところが意外なほどそうした動きは少なく、売りに出たとしても相場よりも高いものがほとんどです。
-御社では、収益物件の販売も積極的に手掛けています。現状、不動産投資家の動きはどうでしょうか。
柴田 本当のプロの投資家は、今の状況で動くことはありません。とにかく不動産の価格が上がり過ぎていますので、ある程度落ち着くまでは静観するでしょう。今、買いに動いているのは、どちらかというと経験の浅い投資家や、節税目的などで不動産を買わなければならない企業などです。
-御社のグループでも収益物件を購入されています。今、買うのであれば、どんな物件を買いますか。
柴田 先程も申し上げたように、現状、不動産の価格は相対的に上がっています。好立地で入居状況の良い物件であればなおさらです。さすがに相場よりも高いと分かっている物件については、よほどのことがない限り、我々も手を出しません。逆に老朽化して入居率が低下し、あまり他の方が手を出さないような物件の方が、我々は興味がありますね。そうした物件であれば、比較的手頃な価格で購入することができからです。
-いくら安く購入できるとはいえ、そういった物件は収益不動産としての魅力は低いように思います。
柴田 もちろん、それをそのまま運用したのでは意味がありません。我々は不動産のプロですから、収益性を高めるためにリノベーションします。「リノベーションなするだけなら自分にもできる」と考える投資家もたくさんいますが、実際にはマーケットに関する知識や情報が必要なため、それほど簡単ではありません。結果を出すためには、経験が必要です。
-何か具体的なリノベーション事例があれば教えて下さい。
柴田 昨年7月に、天神橋筋六丁目界隈で購入した総戸数14戸のマンションが良い例です。建てられたのは平成3年で、住戸の広さはわずか15㎡でした。まったく手入れがなされておらず、外壁はボロボロなうえ漏水もありました。そのせいもあり、購入前の時点で9戸が空室でした。さすがにこれだけひどいと、素人やにわか投資家ではどうすることもできません。なかなか買い手がつかなかったところ我々に話がきたため、購入することになりました。外壁の補修やキッチンの入れ替えなど、それなりに手はかかりましたが、1カ月半で満室にすることができました。
-事例のような老朽化した収益物件はよくあるのでしょうか。
柴田 たくさんあるわけではありませんが、探せばそれなりに出てはきます。ただし、繰り返しますが素人が簡単にどうこうできるものではありません。再生させるためには、経験やノウハウが必要です。建築資材も高騰しているので、なかなか調整は難しいです。
-プロであれば、今はそういう物件に絞って投資するのも一つの選択肢になりえるということですね。
柴田 そうですね。我々としても、今は戦略的にそうした物件にも積極的に投資していきたいと考えています。うまく再生することができれば、自社で保有するだけでなく、第3者に売却するということも考えています。
-最後に、今後の不動産投資市場の展望についてご意見をお聞かせください。
柴田 大阪に関して言えば、2025年に万博開催を控えていることもあり、不動産価格はまだまだ上がりそうな気配です。今さらコロナ禍で不動産市場が左右されることもないと思います。我々にとっては、ちょっと仕事がしにくい状況が続きそうです。