闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第22回)|インタビュー|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.10.18

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第22回)

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第22回)
10 中小企業が大企業に勝つための採用とは②

野村 あるとき、肩を強くするにはどうしたらいいのかっていろんな人に聞いたたんだけど、「足が速い」「肩が強い」「遠くへ飛ばす」・・・これは天性だと、努力しても無駄だという人がほとんどだったの。

-その話はたまに聞きますね。

野村 でも、ある人は遠投がいいんじゃないかと。遠くの投げるっていうのは前進を使うから、正しい投げ方を自然に身に付けるから遠投をコツコツやるのが一番いいじゃないかと先輩に言われたんだよ。それで同じ時期に入った熊本出身の成松っていうバカみたいに人が良い奴に、試合が終わった無人の球場で、「俺、遠投やりたいんだけど相手がいないだよな」って言ったら、ライバルなのに「俺がやってやるよ」って言ってくれたから、2人で遠投始めたの。それで1ヶ月くらいやっていたけど全然距離が伸びないので、やっぱりみんなが言うように天性なのかなと思いかけたわけ。そんなとき一軍の練習の手伝いをしていると、櫻井数男さんていうレフトやっていたレギュラーの方にキャッチボールを一緒にやってくれって言われたの。緊張するじゃない。レギュラーで5番バッターだから。取りにくそうに「真っ直ぐ投げろよ、コラー!!!」って怒られた。

-最初はうまく投げれなかったんですね。

野村 「ボールをどう握っているんだ、見せてみろ」って言われたから見せたら、「バカ垂れ!!!ボールの握り方も知らないのか!!!」ってまた怒られた。そんなの教えてもらったことないから、学生時代もボールはどう握るのかなんて、ちゃんと教えてくれる人は誰もいないから、自分で変化球の握りをしていたんだよ。それで初めて正しい握り方を教わって投げてみたら良い球が投げれたんだよ。俺は握り方を間違っていたんだと、初めてプロで教わった。それから遠投も伸びた。キャッチャーは肩が強くて、セカンドへの送球がいいのが一番の条件だからね。

-いよいよキャッチャー野村が誕生するわけですね。

野村 それでコツコツやって2年目のシーズンが終わってキャッチャーに戻してくれって、そこまで言うならやれって、ボールがビューンっていい球がいくんだよ。監督がビックリして「えっぇ!!!お前どうしたんや」って。でもこっちは笑うだけ。「お前、本当に良いボール投げるようになったなぁー」って。その二軍の監督もキャッチャー出身なんだよ。それで球場で「構えはこうだ!」「足の動かし方はこうだ!」「腕の動かし方はこうだ!」って教えてくれるようになった。そういう過程を経て徐々に信頼が付いてきて、2年目に一軍が優勝したんだよ。

※櫻井数男 南海軍2年連続でベストテン入りした中軸選手。強肩の左翼手として知られる。