賃貸トラブル相談室~管理を任せた不動産会社が不真面目だった!~|賃貸経営|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2023.01.23

賃貸トラブル相談室~管理を任せた不動産会社が不真面目だった!~

賃貸トラブル相談室~管理を任せた不動産会社が不真面目だった!~
わずか半年で24室中9室が退去!

「管理会社が『競合物件が増えた影響で入居募集が大変だから』と家賃の値下げばかりを求めてくるようになったため、おかしいと思って物件を見に行ったところ、とんでもないことになっていた」

こう話すのは、神奈川県大和市に総戸数24戸の賃貸マンションを所有する吉高金男オーナー(仮名)です。
 吉高オーナーは2016年に定年退職をしたのを機に、退職金の一部を投じて賃貸マンションを購入。物件が自宅から車で1時間と、少し離れた場所にあったこと、そして賃貸経営についてはまったくのド素人であったことから、管理は地元で40年以上不動産業を営んでいるという老舗の業者に任せました。

「“老舗”なら地域の事情にも精通しているだろうし、経験も豊富だろうということで任せることにしました」

 購入した時点ですべての部屋が埋まっていたこともあり、経営は順調でした。しかし、2018年以降、状況は一変したそうです。

「その年、たまたま退去が相次ぎました。24室中4室が退去したのです。不動産会社からはすぐに埋まるでしょうと言われていたのですが、期待とは裏腹に、なかなか入居が決まりませんでした。結局、退去から2カ月近く経過しても1室も入居が決まらなかったため、家賃を7万2000円から6万9000円に下げました。それでどうにか満室になりました」

 なぜ、もともと満室稼働していたにもかかわらず、新たな入居が決まらないのか?疑問に思った吉高オーナーが管理会社に尋ねると、

「最近、近隣に新しい賃貸マンションがいくつかできました。おそらくその影響だと思います。なにせ吉高さんの物件は築25年ですから、新築物件維比べるとどうしても見劣りしますからね。まぁ、家賃を下げればどうにかなるのでご心配なさらずに」

という返事が返ってきました。

「そういうものなのか・・・」

プロが言うのだからと吉高さんは納得したそうです。
 それから1年後、吉高さんのもとにまた退去の報告が入りました。今度は5室。吉高さんは管理会社に尋ねました。

「今度は大丈夫だろうか?」

すると管理会社は

「吉高さんの物件は、周辺相場よりも4000~5000円程度安く入居募集をしています。おそらく1、2週間のうちに入居は決まると思いますよ」

吉高さんはこの言葉に安心しましたが、待てども暮らせども新しい申し込みは一向にきません。そうこうしているうちに2週間はあっという間に過ぎ、さすがに心配になった吉高佐は再び管理会社に尋ねました。すると、先日はまったく違う反応が変えてきたそうです。

「吉高さんの物件は周りの物件と比べたら確かに安いです。しかし、正直なところ築年数を考えたら安くはありません。早く満室にしたいのであればもっと家賃を下げましょう」

度重なる値下げ要求に、吉高さんは不安を感じました。そもそもなぜ、わずか半年間で9室も退去が出たのか?疑問に思った吉高さんは、家賃を下げるかどうかは後日返答すると伝え、そのまま物件に向かいました。

「実は不動産会社と管理契約を結んで以降、1度も物件に足を運んでいませんでした。プロに任せているのだから大丈夫だと思っていたからです」

 物件に到着した吉高さんは、エントランスの状況を見て愕然としました。何と、床にはチラシが散乱し、備え付けのゴミ箱からはゴミが溢れ帰っていたのです。自転車置き場もぐちゃぐちゃで、タイヤのない自転車が床に転がっているような状況でした。

「私なら、内見時にこんな状況を見たら入居しようとは思わないですね。それくらいひどい状況でした。管理会社はただ入居募集をしているだけで、物件の管理はほとんどしていなかったんです」

 吉高さんはすぐに管理会社に連絡しました。ところが管理会社の対応は冷たく、

「月に数回物件の巡回はしている。散乱しているゴミは直近の巡回の後に出たものでしょう。また、次の巡回のときに片付けておきますよ」

といって、電話を切られてしまったそうです。
 結局、吉高さんは自分でエントランスのゴミの片付けと自転車置き場の整理を含め、その日は1日かけて物件の清掃を行ったそうです。

「こんな状態なら管理を他の業者に任せると言ったのですが、契約書を交わしているためすぐに解除することができませんでした。結局、契約から1年が経過した時点で管理を他の不動産会社に切り替えました」

 新しく管理を任せた不動産業者の働きぶりのおかげで入居率はすぐに改善。現在は、ほぼ満室状態を維持できているそうです。

「新しい管理会社曰く、きちんと清掃などをしてさえいれば、値付けを間違わない限り、入居率がいきなり大幅に下がることはないそうです。結局、“老舗”というだけで管理会社を選んでしまったことや、任せきりで自分で物件を見に行かなかったことが良くなかったのだと思います」

 いくらポテンシャルのある物件でも、きちんと管理ができていなければ入居者は離れていきます。こうしたトラブルを防ぐためには、管理をプロに任せていても、任せきりにするのではなく、管理がきちんとされているかどうかを自身の目で確かめることも必要です。不備があればその都度、指摘することも大切です。賃貸経営に関するお困り事は、お近くの全国優良リフォーム会員にご相談下さい。