賃貸トラブル対策講座(第2回)~アパートで雨漏りが発生し、入居者に20万円相当の被害!~|賃貸経営|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2021.11.22

賃貸トラブル対策講座(第2回)~アパートで雨漏りが発生し、入居者に20万円相当の被害!~

賃貸トラブル対策講座(第2回)~アパートで雨漏りが発生し、入居者に20万円相当の被害!~
家財などの弁償を求められたオーナーはどう対応するべきか?

 賃貸経営には、さまざまな入居者トラブルがつきものです。家賃滞納などは序の口で、中には問題を解決するために多額の賠償金を求められるケースもあります。トラブルが起こらないに越したことはありませんが、何よりも重要なのはトラブルが起きた際に、どう対応して解決を図るかです。賃貸経営におけるトラブル事例とその解決法について解説します。

「アパートで雨漏りが発生した際に、入居者から家財の一部が濡れて使えなくなってしまったから弁償してくれと連絡が入った。一体どうすれば良いのだろうか・・・」

 愛知県名古屋市で賃貸経営をする所有する大橋隆オーナーは2015年、所有するアパートで雨漏りが発生。すぐに業者を手配して雨漏りが発生した場所は修理したものの、1週間ほどしてから入居者から「家財を弁償してくれ」という連絡を受けました。
 まず、前提して覚えておかなければならないのは、雨漏りの責任が法律上、誰にあると規定されているかということです。答えは「賃貸オーナー」です。法律では、「賃貸オーナーは必要に応じて適切に物件を管理する義務を負う」と定められていています。つまり、物件に雨漏りが発生する可能性がある傷みが生じているのにもかかわらず、管理義務を怠ってそれを放置した結果、雨漏りが発生して入居者が損害を被ったのなら、それはオーナーの責任なので、弁償してあげなさいというわけです。また、台風や豪雨など、大規模な自然災害によって建物に雨漏りが発生し、その結果、入居者が被害を受けた場合も、オーナーが責任を問われることになります。もちろん、例外はあります。例えば、入居者が勝手に壁や屋根に手を加えたことが直接的な原因だという場合は、当然、責任は入居者にあるということになります。それどころか、この場合は建物を故意に傷つけたということで、オーナーは入居者に対して損害賠償を求めることもできます。
 話を戻しますが、管理義務を怠って生じた雨漏りで、入居者が何かしらの被害を被った場合、オーナーはその責任を問われることになります。
 初期対応として行わなければならないのは、原因の究明です。一体何が原因で雨漏りが発生したのかが分からないと、責任の所在をはっきりさせることができません。自分だけで判断するのではなく、必ず管理を委託している管理会社や修繕業者など、第3者を立ち会わせた上で、原因を究明して下さい。
 原因が究明できたら、次は雨漏りが発生した箇所の修理です。いつまでも放置しておくと、状況はどんどん悪化してしまいますので迅速に行って下さい。
 さて、修繕が終わったら、次は事後処理です。オーナーがまず確認しなければならないのは、発生した雨漏り被害が火災保険の適用対象となるかどうかという点です。ご存知ない方のために説明しておくと、火災保険は火災以外にも、台風や大雨、土砂崩れといった自然災害による被害も補償してくれます。当然、雨漏り補償の対象となります。
 ただし、メンテナンスの不備が原因で建物が老朽化していた場合などは、直接的な原因が支援災害だとはみなされないため、補償を受けることができません。補償を受けるためには、普段から適切なメンテナンスや管理を行っておく必要があります。
 また、免責金額を設定していた場合、修理や弁償にかかる金額がそれを下回ると、保険金はもらえません。保険金としてもらえるのは、免責金額を上回った分だけということになります。
 大橋オーナーのケースは最終的にどうなったのでしょうか。入居者は、雨漏りによって寝室にあったタンスと衣類、ベッド、布団、枕、カーペットなど、総額20万円分の弁償を主張しました。入居者が部屋に手を加えた痕跡はありませんでした。つまり責任は大橋オーナーにあるということになりました。幸い、大橋オーナーはメンテナンスを定期的に行ており、管理上の不手際はなかったことから、弁償にかかった20万円はまるまる保険金で賄うことができたそうです。迅速に対応したため、入居者もそれ以上、クレームなどをいうことはなく、その後、4年大橋さんのアパートに住み続け、結婚を機に退去したそうです。
 昨今は、各地で頻繁に豪雨が発生しています。みなさんの物件もいつ、豪雨の被害に遭うか分かりません。普段からメンテナンスを怠らず、有事の場合に備えて下さい。管理を怠たると、思わぬ入居者トラブルを引き起こす可能性があることを忘れないようにしましょう。賃貸経営に関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。