タマホームで6000万円の巨額横領事件が発覚!|企業|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.11.06

タマホームで6000万円の巨額横領事件が発覚!

タマホームで6000万円の巨額横領事件が発覚!
元営業マンが顧客の支払代金から着服

-ハッピーライフ、ハッピーホーム、タマホーム♪-

 思わず口ずさみたくなるフレーズのCMで有名な東証プライム上々の大手住宅メーカー「タマホーム」(東京都港区)。今や、8大ハウスメーカーと呼ばれる大和ハウス工業、積水ハウスなどに匹敵する規模の住宅供給数を誇るその住宅会社で、大きな不祥事が発覚した。9月、週刊誌報道が「タマホームの30代の営業マンが約6000万円を横領して懲戒解雇された」と報じたのだ。「6000万円!?」、耳を疑いたくなるような金額だ。一体何が起きたのか・・・。 
 不祥事を起こしたのは同社の佐世保営業所(長崎県)に勤務していた男性営業マンA氏だ。A氏と面識があるという福岡支店に勤務する男性社員はその人物像について、

「新卒で同社に入社し、営業畑で頭角を現しました。営業所では常にトップクラスの成果を上げていたと聞いています」

と話す。どうやらかなり優秀な営業マンだったようだ。
 それにしてもA氏は6000万円もの大金をどうやって横領したのか。報道によると、A氏は8人の顧客の支払いからそれぞれ500万~1000万円を着服していたという。だがここで一つ疑問がわく。通常、家の購入代金は会社の口座に振り込まれる。1営業マンが会社の口座からお金を引き出すことなどできるはずはないので、着服は不可能だ。仮に引き出すことができたとしても履歴が残るため、すぐに会社にバレてしまう。いくらなんでもそんなヘマはしないだろう。ならばどうやって着服したのか。考えられるのは支払いを小口化して現金払いにさせる手口だ。追加工事、上下水道の施設等々、数十万円単位の工事をでっち上げ、それぞれを現金払いということにすれば、不可能ではない。少額なら、顧客もそれほど怪しむことはないだろう。
 もう一つ可能性があるとすると、架空口座ないし個人口座に振り込ませる手口だ。ただ、最近はどの金融機関も口座開設には慎重になっているため、簡単に架空口座を作ることはできない。ならば後者か。普通に考えれば、家の代金の振込先に営業マンの個人口座を指定したら怪しむはずだ。しかし、強い信頼関係ができていたらどうだろうか。改めて言うまでもなく、家は一生ものの買い物だ。営業マンは契約するまでに、何度も顧客と顔を合わせる。ときにはちょっとした相談を受けることもあるだろう。A氏は営業所でトップクラスの成績を上げるほど優秀な人物だったわけだから、コミュニケーション能力も相当高かったはずだ。個人口座に振り込ませるだけの十分な信頼関係を築くことも不可能ではないだろう。
 ところで着服したお金はどこへ消えたのか。報道ではA氏の裏の顔についても言及している。どうやらA氏は優秀な営業マンである一方、繁華街で飲み歩いたり、ギャンブルをするのが好きで、借金もあったようだ。直撃インタビューでは闇金融にまで手を出していたと発言している。借金返済のためについ手を出してしまったのだろうか。
 タマホームはこの件に関しては、すでにA氏と返済合意書を交わし、佐世保公証役場にて逸出しているためか、公表していない。だが、この行動に対しては、世間から非難の声が上がっている。証券市場に詳しい専門家は

「仮にもプライム市場に上場する企業ですから、不祥事があればすぐに公表するべきです。隠したところでいずれ明るみに出ることは、過去の例を見ても明らか。その通り今回も、週刊誌の報道で簡単に発覚してしまった。自ら公表していればそれほど非難されることもなかったのに、下手に隠したものだから痛くないところまで突っつかれるんです」

と話す。これだけ巨額の横領事件を起こしておきながら起訴されずに済んだA氏はどう思っているのだろうか。
 今年は大手による不祥事を何度報道しただろうか。とにかく不祥事が多過ぎる。本紙で取り上げたもの以外にも、大手住宅・不動産・建設会社絡みの不祥事はたくさんある。一つ一つ取り上げていたらキリがないほどだ。2023年も残すところあと2ヶ月。もう不祥事が起こらないことを祈るばかりだ。