オープンハウスGが 元社長の黒い交際発覚の「三栄建築設計」買収へ|企業|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.09.04

オープンハウスGが 元社長の黒い交際発覚の「三栄建築設計」買収へ

オープンハウスGが 元社長の黒い交際発覚の「三栄建築設計」買収へ
住宅ローンの不正利用指示など、いわくつきの会社オープンハウスG

 格安住宅メーカーとして知られるオープンハウス(東京都千代田区)の複数の顧客が同社の営業マンから、「住宅ローンを組んで購入した家を賃貸に貸し出す“住宅ローンの不正利用”」を勧められたと某週刊誌に告発したことは、既に本紙でも報じた。そんないわくつきの同社グループが8月16日に開催した取締役会で、ある企業の買収に乗り出すことを決議した。ある企業とは「三栄建築設計(東京都杉並区)」。8月15日に元社長による暴力団員への金銭供与を認めた不動産会社だ。

-いわくつきの会社によるいわくつきの会社の買収-

その全貌を追った。

「創業者で元代表取締役である小池信三及び小池氏の配偶者が代表を務め、議決権のすべてを所有するレイチェルが所有する株式と、一般株主の所有する株式を取得し、三栄建築設計を100%子会社とする」

 8月16日、オープンハウスグループの取締役会社で、三栄建築設計の子会社化が決議された。
 なぜ東証プライム市場に上場する三栄建築設計がオープンハウスGに買収されるに至ったのか。原因は三栄建築設計創業者の元社長、小池信三氏の“黒い交際”が発覚したためだ。
 事件が公になったのは昨年9月。同社は、2020年に小池元社長が暴力団員の指定した業者に建物の解体工事を発注し、その代金として業者と暴力団員にそれぞれ小切手を振り出すように指示したことが会社法違反(特別背任)に当たるとして、警視庁の捜査を受けた。今年6月には東京都公安委員会から、都の暴力団排除条例第27条に基づき、暴力団関係者に利益供与しないようにと勧告を受け、第三者委員会を設置。約2ヶ月にわたる調査を行い、8月15日に、

「元社長は小切手が暴力団員にわたることを認識しつつこれに協力したことを認めることができる」

と、元社長による暴力団員への金銭供与が事実だった公表した。
事件発覚後、元社長は「金銭が渡ったとされる当該男性が暴力団幹部とは知らなかった」と証言していたものの、第三者委員会は報告書で「元社長と暴力団員の付き合いは20年以上」と指摘し、元社長の証言を全面的に否定。黒い交際が長期にわたることが明らかになり、同社の社会的信用は失墜。株価は一時的に大幅に下落するなど、業績にも大きな影響が出ていた。
今回のオープンハウスグループの買収決定は、危機的な状況に陥っている同社にとってはこれ以上にない救いの手だと言えるだろう。しかし、世間的には冷ややかな意見が少なくない。というのも、オープンハウス自体にいろいろな疑惑が出ているからだ。その一つが本紙が先月号で取り上げた住宅ローンの不正利用指示だ。要は、住宅ローンを組んで購入した同社の新築物件を、ローン返済中に金融機関に無断で賃貸するように顧客に勧めていたというものだが、これは契約違反に該当するご法度行為だ。住宅営業に携わる人間なら誰でも知っている常識だけに、知らなかったでは済まされる問題ではない。営業マンの口車に乗せられて同行為を行い、それが金融機関にバレでもしたら大変なことになる。即刻全額返済を求められるばかりか、住宅ローンを組むことは二度とできなくなる。そんなリスクの高い違反行為を、平気で顧客に勧めていたというのだから呆れるばかりだ。同社を巡っては欠陥住宅トラブルも多発している。
そんないわくつきのオープンハウスが、元社長の黒い交際が発覚したばかりの三栄建築設計を買収しようというのだから、世間の反応は冷たくて当然だ。住宅業界に詳しい専門家は「今回の買収によって三栄建築設計の信用が回復する可能性はどれくらいあるのか」という本紙の質問に対し、次のように回答した。

「元社長と暴力団員の関係が20年以上に続いていたとなると、金銭供与が過去にも行われていた可能性も出てくる。過去の取引まですべてチェックした上で、元社長と繋がりの深い人物を経営陣から完全に排除するなどしないと、おそらく世間は納得しないでしょう。信用回復にはかなりの時間がかかるのではないかと見ています」

 相次ぐ大手企業の不祥事。本紙としてはもう少し明るい話題を報道したいところだ。一連の報道でオープンハウスG自体の評判も微妙な時期だけに、両社の今後の動向に注目が集まる。