タカラスタンダード 四半期決算は2期連続で大幅減収減益|企業|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.12.07

タカラスタンダード 四半期決算は2期連続で大幅減収減益

タカラスタンダード 四半期決算は2期連続で大幅減収減益
リフォーム分野の不振重く、業績回復の兆し見えず

 11月4日、住宅設備大手のタカラスタンダード(大阪市城東区)が、2021年3月期第2四半期決算を発表した。大方の予想通り、3月に発表された第1四半期決算に続き、散々な結果に終わった。前年同期と比べて、売上高は10.6%減って903億円、営業利益にいたっては約57%も減り、36億円の低水準に留まった。
 資料によると、新築戸建て、集合住宅向けは前年並みで推移したという。つまり、業績不振の原因は、新型コロナの影響でリフォームの需要が伸びなかったことにあると言っているわけだ。確かに、浴室部門は前年同期比18.4%減と、目も当てられない状況だが、業績不振の理由を、すべてコロナだけに押し付けるのはいかがなものか。そもそも新築は、契約を済ませてから実際に売上に反映されるまでに時間がかかる。今回の決算で計上されたのは、大半が昨年のうちに仕込みが済んでいた分だと考えられ、実際にコロナの感染拡大が深刻化して以降の営業分は、ほとんど反映されていないのではないか。一方でリフォームは、地場のリフォーム会社がリアルタイムで営業をかけているケースが多く、受注から売上に計上されるまでのタイムラグが、新築と比べるとかなり短い。4月から9月を対象にした今回の四半期決算にも、コロナによる自粛期間中のリフォーム営業の成果はもろに反映されているはずだ。「新築は前年並み」としているが、それは結局、昨年の営業活動の貯金があったからどうにか体裁を保てているだけであって、純粋に今年に入ってからの営業売上を見れば、状況はリフォームとさして変わらないのではないだろうか。
 もっとも、これはタカラスタンダードに限ったことではない。同じように、コロナ禍で業績不振に陥った住設メーカーは少なくない。投資家の手前、コロナを言い訳にしたい気持ちも分からなくはない。しかし一方で、パロマ(愛知県名古屋市)のように、コロナなどどこ吹く風とばかりに、売上を伸ばしている会社もある。同社の場合、ライバルであるリンナイとノーリツがともに業績を落としている中で、前年比4.9%増の4560億円を売り上げたのだからすごい。他社に先駆けて取り組んできた海外展開と、消費者のニーズに応えるために技術力を磨き続けてきたことが、ここにきて結果となって現れたのだろう。
 結局のところ、大事なのは営業戦略だ。単に消費者のニーズを捉えた商品を開発するだけでなく、それを適正な価格で市場に流通させなければ、顧客の心はいずれ離れてしまう。タカラスタンダードのキッチンは、「新築向けは安いのに、リフォーム向けは高い」という話をよく耳にする。これは、“ホーロー”という特殊な素材にこだわる同社の営業戦略なのだろうが、いくら良い品とはいえ、他社と比べて明らかに値段の高い製品に簡単に飛びつくほど、今の消費者は甘くない。コロナで財布の紐がかなり固くなっていることを考えれば、営業は今後ますます難しくなるだろう。
 タカラスタンダードは今期の連結業績予想を、売上高1880億円(前期比6.7%減)、営業利益68億円(前期比46.2%減)としているが、果たしてどうなるか。業界の動向に詳しい専門家によると、「第3四半期以降の業績には、コロナ禍の新築営業の成果も反映される。これまでの動向を見る限り、想像以上に厳しい結果に終わるメーカーは多いはずだ。今の時点の業績予想は、その場しのぎに過ぎない」と厳しい。前途は多難だ。