時代を象徴する会社潰れる
新型コロナウイルス関連の経営破綻が増えている。今のところ、不動産業界では目立った倒産はないものの、家賃の減額や支払い猶予、マンション販売の落ち込みなど、さまざまな影響が出ていることから、それも時間の問題だと心配する声が各方面から上がっている。過去を振り返れば、経済が大きく落ち込んだ時には必ず大手不動産会社が倒産している。果たして今回はどうなるのか。バブル崩壊、リーマン・ショック時の不動産業界を振り返る。
バブル経済は“土地神話”なくして語ることはできない。不動産の価格は必ず値上がりすると信じられ、実際にバブル最盛期はそれが現実のものとして起こっていた。-今日買った土地が明日には倍の値で売れる-冷静に考えれば明らかに異常だが、当時はそんな取引が当たり前のように行われていた。
首都圏で始まった地価の高騰はやがて全国へと拡大し、地方の不動産業者も続々とゴルフ場やリゾート開発に乗り出した。ほんの少し前まで地場の一不動産屋に過ぎなかった会社が、バブルの波に乗って瞬く間に全国区へとのし上がり、そしてバブル崩壊とともに消えていった。カブトデコム、末野興産、第一不動産、朝日住建等々、例を挙げ出したらキリがない。残された負の遺産は、今も各地に取り残されたままだ。
リーマン・ショックの時はどうだったか。バブル世代にとっては、ネームバリューはバブル崩壊時に倒産した会社の方が大きいだろうが、バブルを経験していない世代からすれば、リーマン・ショックで倒産した会社もなかなかインパクトがある。平成バブルの兆児ともてはやされたエスグラントコーポレーションや、当時最も勢いのある不動産会社と目されていたアーバンコーポレイションの経営破綻は、相当に印象深い。首都園ではダイナシティやHuman21、地方では広島のキョーエイ産業や章栄不動産、愛媛のジョー・コーポレーションの倒産もなかなか衝撃的だった。
これらの会社に共通しているのは、いずれも積極的に不動産開発を行っていた点だ。デベロッパーと末野興産のような不動産賃貸業者では業務の内容は微妙に異なるものの、金融機関から多額の融資を受けて物件を購入し、転売を繰り返すことで売上を伸ばしていた点は共通する。しかし、こうしたビジネスモデルは、転売で得られる利益が莫大なだけに、一度始めたらなかなかブレーキをかけることができない。しかも不動産の価格はどんどん高騰していくため、借入金は雪だるま式に膨らんでいく。それでも景気が良い間は、金融機関が融資してくれるからまだ何とかなる。だが、始まりがあれば必ず終りもある。融資が受けられなくなれば資金繰りは一気に悪化し、損を覚悟で物件を売却するしかない。こうなったらあとは時間の問題だ。いずれ借りたお金を返すことができなくなり、経営は破綻する。バブルとリーマン・ショックとでは、そのメカニズムは大きく異なるが、不動産会社が倒産するに至る過程については共通するところが多い。
今回のコロナはどうか。すでに景気にも影響が出始めているが、本格的にはこれからだろう。バブル崩壊やリーマン・ショックの時との共通点を見てみると、今回もコロナが流行する直前まで不動産価格は値上がりし続けていた。言うまでもなく、今年開催予定だった東京オリンピックの影響だ。これがコロナ終息後にどうなるかが重要になってくる。専門家の間では、徐々に値下がっていくだろうという意見が多い。事実、万博開催が決まっている大阪でさえ、すでに値下がり始めているという。インバウンド頼みだったホテル業界もコロナの影響で大打撃を受け、物件の売却に動く業者が出始めている。一部では、すでに複数の物件をまとめたバルクセールも行われているという。これが本格的になれば不動産価格は一気に下落するかもしれない。
-歴史は繰り返す-ローマの歴史家クルチュウス=ルーフスの有名な言葉だ。不動産業界でも再び同じことが起こるのか。今後の動向から目を離せない。
新型コロナウイルス関連の経営破綻が増えている。今のところ、不動産業界では目立った倒産はないものの、家賃の減額や支払い猶予、マンション販売の落ち込みなど、さまざまな影響が出ていることから、それも時間の問題だと心配する声が各方面から上がっている。過去を振り返れば、経済が大きく落ち込んだ時には必ず大手不動産会社が倒産している。果たして今回はどうなるのか。バブル崩壊、リーマン・ショック時の不動産業界を振り返る。
バブル経済は“土地神話”なくして語ることはできない。不動産の価格は必ず値上がりすると信じられ、実際にバブル最盛期はそれが現実のものとして起こっていた。-今日買った土地が明日には倍の値で売れる-冷静に考えれば明らかに異常だが、当時はそんな取引が当たり前のように行われていた。
首都圏で始まった地価の高騰はやがて全国へと拡大し、地方の不動産業者も続々とゴルフ場やリゾート開発に乗り出した。ほんの少し前まで地場の一不動産屋に過ぎなかった会社が、バブルの波に乗って瞬く間に全国区へとのし上がり、そしてバブル崩壊とともに消えていった。カブトデコム、末野興産、第一不動産、朝日住建等々、例を挙げ出したらキリがない。残された負の遺産は、今も各地に取り残されたままだ。
リーマン・ショックの時はどうだったか。バブル世代にとっては、ネームバリューはバブル崩壊時に倒産した会社の方が大きいだろうが、バブルを経験していない世代からすれば、リーマン・ショックで倒産した会社もなかなかインパクトがある。平成バブルの兆児ともてはやされたエスグラントコーポレーションや、当時最も勢いのある不動産会社と目されていたアーバンコーポレイションの経営破綻は、相当に印象深い。首都園ではダイナシティやHuman21、地方では広島のキョーエイ産業や章栄不動産、愛媛のジョー・コーポレーションの倒産もなかなか衝撃的だった。
これらの会社に共通しているのは、いずれも積極的に不動産開発を行っていた点だ。デベロッパーと末野興産のような不動産賃貸業者では業務の内容は微妙に異なるものの、金融機関から多額の融資を受けて物件を購入し、転売を繰り返すことで売上を伸ばしていた点は共通する。しかし、こうしたビジネスモデルは、転売で得られる利益が莫大なだけに、一度始めたらなかなかブレーキをかけることができない。しかも不動産の価格はどんどん高騰していくため、借入金は雪だるま式に膨らんでいく。それでも景気が良い間は、金融機関が融資してくれるからまだ何とかなる。だが、始まりがあれば必ず終りもある。融資が受けられなくなれば資金繰りは一気に悪化し、損を覚悟で物件を売却するしかない。こうなったらあとは時間の問題だ。いずれ借りたお金を返すことができなくなり、経営は破綻する。バブルとリーマン・ショックとでは、そのメカニズムは大きく異なるが、不動産会社が倒産するに至る過程については共通するところが多い。
今回のコロナはどうか。すでに景気にも影響が出始めているが、本格的にはこれからだろう。バブル崩壊やリーマン・ショックの時との共通点を見てみると、今回もコロナが流行する直前まで不動産価格は値上がりし続けていた。言うまでもなく、今年開催予定だった東京オリンピックの影響だ。これがコロナ終息後にどうなるかが重要になってくる。専門家の間では、徐々に値下がっていくだろうという意見が多い。事実、万博開催が決まっている大阪でさえ、すでに値下がり始めているという。インバウンド頼みだったホテル業界もコロナの影響で大打撃を受け、物件の売却に動く業者が出始めている。一部では、すでに複数の物件をまとめたバルクセールも行われているという。これが本格的になれば不動産価格は一気に下落するかもしれない。
-歴史は繰り返す-ローマの歴史家クルチュウス=ルーフスの有名な言葉だ。不動産業界でも再び同じことが起こるのか。今後の動向から目を離せない。