インターネットが普及した1997年頃
不動産ポータルサイトが続々誕生
物件情報誌に代わって、部屋探しの重要なツールとなった不動産ポータルサイト。今でこそ、最新の空室情報をリアルタイムに入手できる便利な手段として、多くの消費者に利用されているが、これまで数え切れないほどのサイトが誕生しては消えていった。今回は、不動産ポータルサイトの変遷を紐解く。
「SUUMO(スーモ)」「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」「at home(アットホーム)」等々、インターネットをたたくとさまざまな不動産ポータルサイトが表示される。その数は、主要なものだけでも30以上。不動産会社が独自に運営しているものや、地域に特化したものまで含めると、とても把握することができない。
昔は、アパートやマンションの空き部屋探しは、駅中のキヨスクや書店、コンビニなどで売られていた物件情報誌を使ったり、不動産屋の店頭に張り出されている空室情報などを見てするのが普通だった。情報誌をめくりながら、「この部屋なら家賃が手頃だ」「ここなら学校にも近くて便利なんじゃない?」と、新生活を想像しながら部屋探しをしていた頃が懐かしい。繁忙期ともなれば、駅前や大学のキャンパス近くの仲介店舗の前には、最新号の情報誌をもった人々の長蛇の列ができたものだ。それが今ではパソコンやスマホだ。情報誌のようにかさばらず、しかもいつでも好きなときに、好きな場所で部屋を探すことができる。何より圧倒的に鮮度が良い。情報誌は印刷に時間がかかるため、例え発売直後であっても、掲載されている物件がすでに埋まってしまっていることが起こる。しかしサイトの場合は、リアルタイムで情報を更新できるため、そうした心配がない(もちろん、掲載側がきちんと情報を管理していればの話だが・・・)。情報誌がポータルサイトによって駆逐されてしまったのも、時代の流れだと言えるだろう。
さて、今や部屋探しの主役とも言える不動産ポータルサイトだが、一体いつ誕生したのだろうか。
リクルート住まいカンパニー(東京都千代田区)が運営する「SUUMO」の前身、「ISIZE(イサイズ)」が「住宅情報On The Net」としてスタートしたのは1996年のこと。当時はまだ、インターネットが一般に広がり始めた頃で、主力事業である情報紙の付帯事業としての位置付けだったと考えられる。その後、さまざまなグループ媒体とともに、ブランド統一が進められ、2009年に現在の「SUUMO」になった。翌年にはスマートフォン版もオープン、名実とともに不動産ポータルサイトのトップブランドの一つに成長した。おそらく最も知名度の高いポータルサイトと言えるだろう。
大手サイトの一つである「LIFULL HOME’S(旧HOME’S)」(LIFULL(旧ネクスト):東京都千代田区)が誕生したのは今から22年前の1997年。井上高志社長と、現在は東証一部上場の不動産会社、日本管理センター(東京都千代田区)を率いる武藤英明社長とが協力して立ち上げた。2002年に楽天と資本提携すると、その4年後に東証マザーズに上場。徐々に取り扱い分野を拡大し、今では賃貸と売買、リフォーム、投資など、幅広い不動産情報を扱う国内最大級のポータルサイトとして、高い知名度を有している。
「at home」のウェブサイトがオープンしたのは1999年。他の2サイトに比べるとオープンは遅かったものの、すでに30年以上にわたり、さまざまな不動産業者向けの支援サービスを手掛けていたこともあり、スタート時点ですでに多くの物件情報が掲載されていた。2002年には、ネクスト、リクルートとともに不動産情報サイト事業者連絡協議会を設立。今に至るまで、大手の一角として、業界の健全化にも注力している。
アドパークコミュニケーションズ(東京都中央区)が運営する「ホームアドパーク」も、大手3サイトと並ぶ老舗ポータルサイトの一つだ。オープンは1996年、「LIFULLL HOME’S」や「at home web」よりも早い。「@nifty」や「infoseek」「so-net」など、プロバイダーや検索エンジンとの連携を強化しながら情報量を増やしつつ、さまざまな業務支援システムも開発。
1992年に、エイブル(旧ダイケン)の情報誌事業を受け継ぐ形でスタートしたCHINTAI(旧賃貸住宅ニュース社)(東京都港区)が、ネット上での不動産情報公開を始めたのは1996年。エイブル物件に限らず、幅広い業者から情報掲載を募り、2004年には大証ヘラクレスに上場した(現在は廃止)。現在は、エイブルグループ本社と同じビルに入居するなど、以前よりもエイブル色を強めているが、エイブルはエイブルで自社ブランドのポータルサイトを独自に運営している。
「at home web」を除けば、主要サイトは1996年から97年にかけてオープンしていることが多い。ちょうどこの時期は、インターネットが一般家庭に広がり出した時期に重なり、各社がネット時代の到来を予見して、サービスの普及に取り組みだしたことが分かる。ここで紹介した以外にも、フランチャイズ本部や大手企業が運営するものなど、豊富な物件情報を取り揃えているポータルサイトは色々とある。機会があれば、それらの変遷についても振り返りたい。
不動産ポータルサイトが続々誕生
物件情報誌に代わって、部屋探しの重要なツールとなった不動産ポータルサイト。今でこそ、最新の空室情報をリアルタイムに入手できる便利な手段として、多くの消費者に利用されているが、これまで数え切れないほどのサイトが誕生しては消えていった。今回は、不動産ポータルサイトの変遷を紐解く。
「SUUMO(スーモ)」「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」「at home(アットホーム)」等々、インターネットをたたくとさまざまな不動産ポータルサイトが表示される。その数は、主要なものだけでも30以上。不動産会社が独自に運営しているものや、地域に特化したものまで含めると、とても把握することができない。
昔は、アパートやマンションの空き部屋探しは、駅中のキヨスクや書店、コンビニなどで売られていた物件情報誌を使ったり、不動産屋の店頭に張り出されている空室情報などを見てするのが普通だった。情報誌をめくりながら、「この部屋なら家賃が手頃だ」「ここなら学校にも近くて便利なんじゃない?」と、新生活を想像しながら部屋探しをしていた頃が懐かしい。繁忙期ともなれば、駅前や大学のキャンパス近くの仲介店舗の前には、最新号の情報誌をもった人々の長蛇の列ができたものだ。それが今ではパソコンやスマホだ。情報誌のようにかさばらず、しかもいつでも好きなときに、好きな場所で部屋を探すことができる。何より圧倒的に鮮度が良い。情報誌は印刷に時間がかかるため、例え発売直後であっても、掲載されている物件がすでに埋まってしまっていることが起こる。しかしサイトの場合は、リアルタイムで情報を更新できるため、そうした心配がない(もちろん、掲載側がきちんと情報を管理していればの話だが・・・)。情報誌がポータルサイトによって駆逐されてしまったのも、時代の流れだと言えるだろう。
さて、今や部屋探しの主役とも言える不動産ポータルサイトだが、一体いつ誕生したのだろうか。
リクルート住まいカンパニー(東京都千代田区)が運営する「SUUMO」の前身、「ISIZE(イサイズ)」が「住宅情報On The Net」としてスタートしたのは1996年のこと。当時はまだ、インターネットが一般に広がり始めた頃で、主力事業である情報紙の付帯事業としての位置付けだったと考えられる。その後、さまざまなグループ媒体とともに、ブランド統一が進められ、2009年に現在の「SUUMO」になった。翌年にはスマートフォン版もオープン、名実とともに不動産ポータルサイトのトップブランドの一つに成長した。おそらく最も知名度の高いポータルサイトと言えるだろう。
大手サイトの一つである「LIFULL HOME’S(旧HOME’S)」(LIFULL(旧ネクスト):東京都千代田区)が誕生したのは今から22年前の1997年。井上高志社長と、現在は東証一部上場の不動産会社、日本管理センター(東京都千代田区)を率いる武藤英明社長とが協力して立ち上げた。2002年に楽天と資本提携すると、その4年後に東証マザーズに上場。徐々に取り扱い分野を拡大し、今では賃貸と売買、リフォーム、投資など、幅広い不動産情報を扱う国内最大級のポータルサイトとして、高い知名度を有している。
「at home」のウェブサイトがオープンしたのは1999年。他の2サイトに比べるとオープンは遅かったものの、すでに30年以上にわたり、さまざまな不動産業者向けの支援サービスを手掛けていたこともあり、スタート時点ですでに多くの物件情報が掲載されていた。2002年には、ネクスト、リクルートとともに不動産情報サイト事業者連絡協議会を設立。今に至るまで、大手の一角として、業界の健全化にも注力している。
アドパークコミュニケーションズ(東京都中央区)が運営する「ホームアドパーク」も、大手3サイトと並ぶ老舗ポータルサイトの一つだ。オープンは1996年、「LIFULLL HOME’S」や「at home web」よりも早い。「@nifty」や「infoseek」「so-net」など、プロバイダーや検索エンジンとの連携を強化しながら情報量を増やしつつ、さまざまな業務支援システムも開発。
1992年に、エイブル(旧ダイケン)の情報誌事業を受け継ぐ形でスタートしたCHINTAI(旧賃貸住宅ニュース社)(東京都港区)が、ネット上での不動産情報公開を始めたのは1996年。エイブル物件に限らず、幅広い業者から情報掲載を募り、2004年には大証ヘラクレスに上場した(現在は廃止)。現在は、エイブルグループ本社と同じビルに入居するなど、以前よりもエイブル色を強めているが、エイブルはエイブルで自社ブランドのポータルサイトを独自に運営している。
「at home web」を除けば、主要サイトは1996年から97年にかけてオープンしていることが多い。ちょうどこの時期は、インターネットが一般家庭に広がり出した時期に重なり、各社がネット時代の到来を予見して、サービスの普及に取り組みだしたことが分かる。ここで紹介した以外にも、フランチャイズ本部や大手企業が運営するものなど、豊富な物件情報を取り揃えているポータルサイトは色々とある。機会があれば、それらの変遷についても振り返りたい。