素性の分からない人に家族の話するのは禁物
今の生活をより快適なものにしたいと、ご自宅のリフォームを考えている方は多いのではないでしょうか?しかし、焦りは禁物です。リフォーム業者の中には、そうした消費者心理を逆手にとって詐欺まがいの手法で契約を結ぼうとする悪質な業者もいます。業者選びは慎重に行わなければなりません。今回もリフォームを巡るトラブル事例を取材してきました。
神奈川県大和市にお住いの深田利美さん(仮名)は2017年に、高齢者を狙った悪質なリフォーム詐欺の被害に遭いました。当時利美さんは75歳、長年連れ添ったご主人を3年前に亡くし、市内で一人暮らしをされていました。息子さん夫婦は横浜市内で暮らしており、1ヶ月に1回、多いときで2回利美さんの様子を見に尋ねて来ていました。
そんな利美さんのもとにある日、地元に新しく営業所を出したというS工務店というリフォーム会社の営業マンが訪ねてきました。
「S工務店の営業をしているものです。ご近所で挨拶周りをしているのでこちらにもよらせて頂きました。どんなに細かいことでも良いので、何か困りごとがあればぜひうちにご相談ください」
とはいえ、利美さん宅はちょうど3年前にバリアフリー化の工事をしたばかりで、特に生活に不便を感じるところはありませんした。
「ごめんなさいね。少し前にリフォームしたばかりで、すぐに何か頼めることがないの。お役に立てなくて申し訳ありません」
丁寧に断りを入れると男性は、
「いえいえ、お気になさらずに。こうして営業で回っていると、みなさんの暮らしに役立ちそうな情報がいろいろ入ってきますので、そうした世間話でもしに、たまに顔を出させてもらいます」と言って、その場を去っていきました。
それから2週間後、利美さんのお宅に再び男性が訪ねてきました。
「実はノベルティーで作ったタオルがたくさん余ってしまったので、みなさんにお裾分けしています。良かったら何枚かもらっていただけませんか?」
先日あったばかりの人から物をもらうのは気が引けると、最初は断ろうとした利美さんでしたが、「配り終わらないと会社に戻れない」という話を聞いて不憫に感じ、仕方なくタオルを3枚受け取りました。以後、男性は
「近くまで来たついでにお顔を見に寄らせてもらいました」
「思ったよりも早く商談が終わってしまったので、時間つぶしをさせて欲しい」
とさまざまな理由を付けて、利美さん宅を訪ねてくるようになりました。利美さんの方も1カ月に1回しか顔を出さない息子さんよりも良い話し相手になると、段々気を許していったそうです。
しかし、2ヶ月ほどしたある日、事態は急転しました。その日、珍しく夜20時を過ぎてから訪ねてきた男性は、利美さんに対して次のように言いました。
「もうずいぶんと話し相手になってあげましたよね。そろそろ何か契約をしてくれてもいいんじゃないですか?」
今日もいつものように世間話をして帰るものだと思っていた利美さんは、男性の豹変ぶりにとても驚いたそうです。それから約2時間にわたり、男性にしつこく契約を迫られたそうです。
「こちらが呼んだのではなく、そちらから訪ねて来たんでしょうと言っても全然聞いてくれませんでした。2時間近くもそうしたやりとりをしているうちにこちらも疲れてしまい、最後は『契約するからもう帰って下さい』と言ってしまいました」
結局、利美さんはトイレのリフォームを約50万円でするという契約書にサインをさせられてしまいました。
しかし、幸いにもそれから2日後に、利美さんの息子さんが訪ねてきました。利美さんから一部始終を聞いた息子さんはすぐにS工務店に電話し、契約のキャンセルを申し出ました。しかし、電話に応対した男性は簡単には手を引こうとしません。
「冗談じゃない。こっちだって1ヶ月以上もかけて丁寧に説明して契約してもらったんだ。契約に至る過程に不備はない。すでに工事のための材料も発注してしまったからキャンセルはできない。このまま工事させてもらう」
このままでは埒が明かないと感じた息子さんは、すぐに消費者センターに連絡。アドバイスに従い、クーリング・オフ制度を利用して何とか契約をキャンセルすることに成功したそうです。
今回のように、最初からいきなり営業の話をせず、世間話などで信頼関係を築いてから契約をしようとするやり方は、詐欺の常套手段です。悪徳業者は世間話をしている間にも、Aさんの家族構成や関係性などについて、細かく情報法収集しているのです。素性が分からない人には、家族のことについて詳しく話をするのは禁物です。
高齢者を狙う悪質リフォーム業者は、街中至る所にいます。みなさんもご注意ください。リフォームに関するトラブルは、お近くのリフォーム販売取引士にご相談ください。
今の生活をより快適なものにしたいと、ご自宅のリフォームを考えている方は多いのではないでしょうか?しかし、焦りは禁物です。リフォーム業者の中には、そうした消費者心理を逆手にとって詐欺まがいの手法で契約を結ぼうとする悪質な業者もいます。業者選びは慎重に行わなければなりません。今回もリフォームを巡るトラブル事例を取材してきました。
神奈川県大和市にお住いの深田利美さん(仮名)は2017年に、高齢者を狙った悪質なリフォーム詐欺の被害に遭いました。当時利美さんは75歳、長年連れ添ったご主人を3年前に亡くし、市内で一人暮らしをされていました。息子さん夫婦は横浜市内で暮らしており、1ヶ月に1回、多いときで2回利美さんの様子を見に尋ねて来ていました。
そんな利美さんのもとにある日、地元に新しく営業所を出したというS工務店というリフォーム会社の営業マンが訪ねてきました。
「S工務店の営業をしているものです。ご近所で挨拶周りをしているのでこちらにもよらせて頂きました。どんなに細かいことでも良いので、何か困りごとがあればぜひうちにご相談ください」
とはいえ、利美さん宅はちょうど3年前にバリアフリー化の工事をしたばかりで、特に生活に不便を感じるところはありませんした。
「ごめんなさいね。少し前にリフォームしたばかりで、すぐに何か頼めることがないの。お役に立てなくて申し訳ありません」
丁寧に断りを入れると男性は、
「いえいえ、お気になさらずに。こうして営業で回っていると、みなさんの暮らしに役立ちそうな情報がいろいろ入ってきますので、そうした世間話でもしに、たまに顔を出させてもらいます」と言って、その場を去っていきました。
それから2週間後、利美さんのお宅に再び男性が訪ねてきました。
「実はノベルティーで作ったタオルがたくさん余ってしまったので、みなさんにお裾分けしています。良かったら何枚かもらっていただけませんか?」
先日あったばかりの人から物をもらうのは気が引けると、最初は断ろうとした利美さんでしたが、「配り終わらないと会社に戻れない」という話を聞いて不憫に感じ、仕方なくタオルを3枚受け取りました。以後、男性は
「近くまで来たついでにお顔を見に寄らせてもらいました」
「思ったよりも早く商談が終わってしまったので、時間つぶしをさせて欲しい」
とさまざまな理由を付けて、利美さん宅を訪ねてくるようになりました。利美さんの方も1カ月に1回しか顔を出さない息子さんよりも良い話し相手になると、段々気を許していったそうです。
しかし、2ヶ月ほどしたある日、事態は急転しました。その日、珍しく夜20時を過ぎてから訪ねてきた男性は、利美さんに対して次のように言いました。
「もうずいぶんと話し相手になってあげましたよね。そろそろ何か契約をしてくれてもいいんじゃないですか?」
今日もいつものように世間話をして帰るものだと思っていた利美さんは、男性の豹変ぶりにとても驚いたそうです。それから約2時間にわたり、男性にしつこく契約を迫られたそうです。
「こちらが呼んだのではなく、そちらから訪ねて来たんでしょうと言っても全然聞いてくれませんでした。2時間近くもそうしたやりとりをしているうちにこちらも疲れてしまい、最後は『契約するからもう帰って下さい』と言ってしまいました」
結局、利美さんはトイレのリフォームを約50万円でするという契約書にサインをさせられてしまいました。
しかし、幸いにもそれから2日後に、利美さんの息子さんが訪ねてきました。利美さんから一部始終を聞いた息子さんはすぐにS工務店に電話し、契約のキャンセルを申し出ました。しかし、電話に応対した男性は簡単には手を引こうとしません。
「冗談じゃない。こっちだって1ヶ月以上もかけて丁寧に説明して契約してもらったんだ。契約に至る過程に不備はない。すでに工事のための材料も発注してしまったからキャンセルはできない。このまま工事させてもらう」
このままでは埒が明かないと感じた息子さんは、すぐに消費者センターに連絡。アドバイスに従い、クーリング・オフ制度を利用して何とか契約をキャンセルすることに成功したそうです。
今回のように、最初からいきなり営業の話をせず、世間話などで信頼関係を築いてから契約をしようとするやり方は、詐欺の常套手段です。悪徳業者は世間話をしている間にも、Aさんの家族構成や関係性などについて、細かく情報法収集しているのです。素性が分からない人には、家族のことについて詳しく話をするのは禁物です。
高齢者を狙う悪質リフォーム業者は、街中至る所にいます。みなさんもご注意ください。リフォームに関するトラブルは、お近くのリフォーム販売取引士にご相談ください。