ウクライナ問題でリフォーム業界も大混乱|住まい|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.05.09

ウクライナ問題でリフォーム業界も大混乱

ウクライナ問題でリフォーム業界も大混乱
いつまで続く?慢性的な給湯器不足

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年以降、在宅時間の増加や衛生に対する人々の意識の高まりを背景に、好調を維持してきたリフォーム市場。しかし、ここにきて雲行きが怪しくなってきている。依然として消費者のリフォーム需要は旺盛であるものの、肝心の住宅設備が不足してきているのだ。専門家の意見をもとに最新状況をまとめた。

「管理会社から『入居者が退去したのを機に、給湯器を新しいものに交換して欲しい』という依頼を受けた。しかし、品不足で入荷までに1カ月もかかってしまった」

 こう話すのは、大阪市内で賃貸住宅のリフォームを請け負っているある工務店だ。依頼を受け、今年1月頭に給湯器を発注。当初は2週間~3週間程度で入荷すると言われていたが、結局、 手元に給湯器が届いたのは2月中旬に差し掛かる頃だったという。
 給湯器の品薄は、何も今に始まったことではない。テレビなどでも大きく取り上げられているためご存知の方も多いだろうが、最初に情報が出回ったのは昨年の夏頃だ。それ以前から噂はあったものの、新型コロナウイルスの感染拡大で、給湯器メーカーの工場があるベトナムがロックダウン状態に入ったことで、一気に加速化した。もちろん、メーカーもできるだけ商品を欠品させないように、あらかじめ在庫を確保するなどして対策は講じていた。しかし、それも昨年のうちにほぼ使い果たしてしまい、年末以降、発注しても入荷に最低でも1カ月かかりょうな状態が続いている。
 そして、この状況をさらに悪化させそうな出来事が起こってしまった。ロシアによるウクライナ侵攻だ。これにより、海外から調達していた部品の供給が滞ってしまった。住宅設備業界に詳しいある専門家は次のように話す。

「特に影響が大きいのが物流面だ。現在、ロシア方面を利用する物流ルートは完全にストップしている。いくら海外の工場が稼働していても、これでは手の打ちようがない」

 前述したように、今年の頭までは、時間はかかったものの、給湯器は供給されていた。しかし、今後は供給がまったくできない状況になる可能性さえある。
実際、給湯器を製造する各メーカーも、今の状況に頭を抱えているようだ。例えばリンナイ(愛知県名古屋市)はホームページ上に、「給湯機器と暖房機器、厨房機器、空調機器などの納期遅延に関するお詫びとご案内」を掲載。しかし、「通常よりも納品までにお時間をいただく」と書かれてはいるものの、具体的にどのくらいのお時間を要する見込みなのかについては触れていない。おそらく、まったく見通しが立てられない状況なのだろう。ノーリツ(兵庫県神戸市)の状況は似たようなもので、給湯器や厨房機器などの納期に、かなりの遅延が生じていると、公表している。ノーリツの場合はさらに一歩踏み込んでおり、原材料価格やエネルギーコスト、物流費等の上昇を理由に、7月1日受注分からの商品の値上げを発表している。これによると、給湯器関係は7%程度も値上げされる見込みだ。致し方ないこととはいえ、これではせっかく盛り上がっているリフォーム市場に、水を差しかねない。
 果たして、この状況はいつまで続くのか。どうやらウクライナ問題が終結したとしても、即座に改善する可能性は低いようだ。前出の専門家は

「ロシアとウクライナの間で停戦協定が結ばれたとしても、各国の対ロシア制裁が即座に解除されるわけではない。となると、ロシアも海空路の制限を当面は解かない。物流の回復には早くて半年、長ければ1年近くかかるかもしれない」

と指摘する。状況は我々が思っているよりもはるかに深刻なようだ。今でも入荷まで1カ月待ちが当たり前なのに、下手をすれば、その期間はもっと長くなるかもしれない。
 では、どうしても給湯器を交換しなければならないときはどうすれば良いのか?各メーカーも台数は限られるもものの、がんばって製造はしている。しかし、少ないパイを奪い合う今の状況では、早期の入荷は期待できない。もっとも可能性が高いのは、メーカーとの直接取引で、普段から大量の製品を一括購入している(一社)優良リフォーム支援協会に所属するリフォーム会社に頼むことだ。お急ぎの方、全国優良リフォーム会員に一度相談してみてはいかがだろうか?