今や賃貸経営をする上で欠かすことのできない存在となった家賃債務保証。サービスを提供する会社の数は年々増え続け、今や全国で200社を超えると言われている。商品内容もこの数年で大きく進化した。家賃債務保証サービスの最新動向を取材した。
家賃債務保証は、今や賃貸経営に携わる者で知らぬ者はいないと言われるほど業界内に普及しているサービスだ。賃貸仲介店舗や管理会社の店頭にはほぼ間違いなく、3つ折りのチラシが設置されている。中には数社分のチラシが並べられている店舗もある。一方で、ここ数年の利用率の伸びもすさまじい。（公財）日本賃貸住宅管理協会が昨年6月に発表した調査（1558社へのインターネット調査の結果に基づく。回収率は19.6％）によると、17年1月～12月の利用率は74.5％で、前年調査から5.8％も上昇した。新規入居者4人のうち3人が利用するほど高い利用率を示したことになる。
それではなぜ、家賃債務保証サービスの利用率はここ数年、急激に伸びているのか。一つの契機となったのは、今から10年前に発生したリーマンショック後の不景気だ。全国的に会社の倒産やリストラが頻発した影響で家賃滞納リスクが高まったため、家主や管理会社は一斉に、新規の入居者に対して家賃債務保証サービスへの加入を呼びかけるようになった。サービスの存在は一般消費者にも広く知られるようになり、需要の高まりを受けて参入する企業も増えた。
また、入居者獲得競争の激化に伴う賃貸仲介会社の収益力低下も、利用率を高める一因になったと考えられる。物件の大量供給、空室率の上昇、家賃の下落、宣伝広告費の高騰など、賃貸業界を取り巻く環境は日に日に厳しくなり、賃貸仲介業は昔のように左手に団扇で儲かるビジネスではなくなってしまった。仲介手数料だけで食べていくのは難しいため、ついでに色々な商品・サービスを販売して、手数料を稼がなければならない。家賃債務保証サービスもそうした付帯商品の一つだ。案内の際に契約を獲れば、それだけで家賃債務保証会社から数千～数万円の手数料をもらうことができる。景気悪化の影響で加入を勧めやすくなったこともあり、家賃債務保証サービスへの加入を積極的に勧める仲介会社が急増した。
一方で、需要の拡大に伴う家賃債務保証会社間の競争激化は、商品内容を大きく進化させることになった。“滞納家賃の立て替え”に始まった家賃債務保証は、各社が他社との差別化を図る目的で使いやすさを追求していった結果、補償範囲を原状回復やハウスクリーニング、残置物の撤去などにも拡大し、さらには24時間緊急対応サービスや粗大ごみ回収など、生活にかかわるさまざまなサービスと連携するようになっていった。今や家賃債務保証サービスは、滞納した家賃を代わりに立て替えるだけのものではない。入居生活のあらゆる困りごとを解決し、快適な暮らしを実現するための総合的な生活支援サービスへと進化した。ますます競争が激化する中で、サービス内容が今後どこまで広がっていくかは分からないが、今以上に使いやすいものに進化すれば利用率はさらに上昇するかもしれない。賃貸仲介・管理会社にとっても、サイドビジネスとしての重要性は高まるだろう。
話題の家賃債務保証サービス 家財保険、駆付けサービスなどの加入手続き一本化
「付帯商品はできるだけ多く取り扱いのだけど、その分業務負担が増えて大変だからどうしようか悩んでいる」
現在、家賃債務保証サービスをはじめ、5つの付帯商品を取り扱っている管理会社A社の担当者は、こう話す。入居時に売る商品・サービスは、多ければ多いほど利益につながる。しかし、商品が異なれば契約書も違う。その都度、手続きをしなければならないため、営業マンにとっても入居者にとっても面倒だ。手間がかかるがゆえに、入居者に嫌がられて結局売れなかったでは、まったく意味がない。そんな業務負担に対する不安を解消してくれるのが、クレデンス（東京都千代田区）の「スケットフル」だ。
これは家賃債務保証サービスや家財保険、収納代行、駆付けサービス（オプション）、孤独死保険（オプション）などを一つにパッケージ化した総合支援サービスだ。全部がまとまっているから契約業務は1回きり。しかも家財保険の更新業務も不要なため、「いつの間にか保険の期限が切れていた」なんてこともない。また、不動産業者の作業の手間を軽減するだけでなく、オーナーにとっても色々なメリットがある。例えば孤独死保険を使えば、高齢者の入居に伴うさまざまなリスクも解消できるため、空室対策としても役立つ。これまでの家賃債務保証のイメージを覆した画期的な商品だ。
煩雑な申込作業やマンションの空室に頭を悩まされている方は一度、お近くの全国優良リフォーム会員に相談してみてはいかがでしょうか。
