相続はタイミングが重要です。ベストなタイミングを逃せば高額な贈与税を課せられるばかりか、時期を見定めているうちに親が認知症になり、不動産をはじめとする資産の売却ができなくなってしまうこともあります。こうした事態を避けるためにはどうすれば良いのでしょうか。最近話題の「信託」について、やなぎ総合法務事務所(大阪市)のに解説してもらいました。
「信託」という制度をご存知でしょうか。これは大切な財産の運用や管理、継承を信頼できる第3者に託して行ってもらう仕組みで、財産の相続や分割を円滑に進めるために利用されます。最近は、相続トラブルを防ぐ目的で活用する方も多いようです。
それでは、この制度を利用するとどのようなメリットがあるのか、Aさんの事例を見ながら解説したいと思います。まず状況について確認しておきます。
・Aさんのお母様は72歳。大阪の吹田市でマンションを購入し、一人暮らしをしている
・Aさんは旦那さんや子供と関東で暮らしているため、同居して介護するのが難しい。そのため介護が必要なったときには、ヘルパーの利用を考えている
・介護が必要になったときは、自宅を売却して高齢者住宅や施設などに入ることを考えている
・貯金はお母様の生活のために利用したい
・お母様は、これから住宅を購入する予定の三女夫妻に、住宅資金の贈与をしたいと考えていて、これに子供たちは賛成している。ただし、物件はまだ見つかっていない。
・今はまだ大丈夫だが、認知症になった場合に贈与やマンション(不動産資産)の売却ができなくなるのではないかと心配している
以上のような状況の下で、どのようにすればAさんの家族にとってベストな準備ができるのか。私どもは民事信託によって不動産の名義をAさんに変更し、株式や投資信託などについてはすべて現金化し、普段から利用して銀行で“委託者母受託者娘信託口”の普通預金口座を開設してもらう方法をご提案しました。お母様の生活費については、毎月定額を信託口座から送金するようにします。これによって得られるメリットは以下になります。
①贈与税がかからない
②贈与よりも低い登録免許税で名義移転することができる
③信託で預けているだけの状態のため、名義移転の際に不動産取得税がかからない
④売却する際にお母様が認知症になっていても、Aさんの契約と印鑑で売却することができる
⑤売却代金は介護費用としてAさんが管理できる
⑥三女の購入物件が見つかった場合、特例によって贈与税を払わずに住宅資金の一括贈与を行うことができる
⑦住宅資金の一括贈与などを通じて相続税を節税できる
⑧認知症発症後の口座の凍結を最小限にとどめることができる
Aさんの不安はすべて、信託で解決できるということがお分かりになるかと思います。しかもおれには高い節税効果も期待できます。
冒頭にも書きましたが、相続はタイミングが重要です。「まだ元気だから今はいいや」と思って油断して準備を怠っていると、いざという時に大変な苦労をしなければならなくなります。相続や事業承継等についてお悩みの方は、お近くの全国優良リフォーム会員にご相談下さい。
執筆協力:やなぎ総合法務事務所
それでは、この制度を利用するとどのようなメリットがあるのか、Aさんの事例を見ながら解説したいと思います。まず状況について確認しておきます。
・Aさんのお母様は72歳。大阪の吹田市でマンションを購入し、一人暮らしをしている
・Aさんは旦那さんや子供と関東で暮らしているため、同居して介護するのが難しい。そのため介護が必要なったときには、ヘルパーの利用を考えている
・介護が必要になったときは、自宅を売却して高齢者住宅や施設などに入ることを考えている
・貯金はお母様の生活のために利用したい
・お母様は、これから住宅を購入する予定の三女夫妻に、住宅資金の贈与をしたいと考えていて、これに子供たちは賛成している。ただし、物件はまだ見つかっていない。
・今はまだ大丈夫だが、認知症になった場合に贈与やマンション(不動産資産)の売却ができなくなるのではないかと心配している
以上のような状況の下で、どのようにすればAさんの家族にとってベストな準備ができるのか。私どもは民事信託によって不動産の名義をAさんに変更し、株式や投資信託などについてはすべて現金化し、普段から利用して銀行で“委託者母受託者娘信託口”の普通預金口座を開設してもらう方法をご提案しました。お母様の生活費については、毎月定額を信託口座から送金するようにします。これによって得られるメリットは以下になります。
①贈与税がかからない
②贈与よりも低い登録免許税で名義移転することができる
③信託で預けているだけの状態のため、名義移転の際に不動産取得税がかからない
④売却する際にお母様が認知症になっていても、Aさんの契約と印鑑で売却することができる
⑤売却代金は介護費用としてAさんが管理できる
⑥三女の購入物件が見つかった場合、特例によって贈与税を払わずに住宅資金の一括贈与を行うことができる
⑦住宅資金の一括贈与などを通じて相続税を節税できる
⑧認知症発症後の口座の凍結を最小限にとどめることができる
Aさんの不安はすべて、信託で解決できるということがお分かりになるかと思います。しかもおれには高い節税効果も期待できます。
冒頭にも書きましたが、相続はタイミングが重要です。「まだ元気だから今はいいや」と思って油断して準備を怠っていると、いざという時に大変な苦労をしなければならなくなります。相続や事業承継等についてお悩みの方は、お近くの全国優良リフォーム会員にご相談下さい。
執筆協力:やなぎ総合法務事務所