話題の空室対策=二等立地でもできるセルフエステに注目~|土地活用|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
Pick Up

2022.05.30

話題の空室対策=二等立地でもできるセルフエステに注目~

話題の空室対策=二等立地でもできるセルフエステに注目~
人手いらずの空室活用ビジネス

 世の中には、空室対策に適したさまざまな空間ビジネスがある。コロナ禍になって以降は、人々が非接触を強く意識するようになったこともあり、その中でも「無人」や「少人数」を謳ったビジネスが大いに注目されるようになった。今回は、最近、急激にその数を増やしているセルフエステビジネスについて取材した。

 最近、街中で『セルフエステ』を書かれた看板をよく目にするようになった。人と接することがないため、コロナを気にせずに利用できるらしい・・・」

 エステティックサロンは、技術を持ったスタッフが直接、顔や体などに施術を行うのがこれまでのスタイルだ。一方で「セルフエステ」は、利用者が一人で個室に入り、そこに置かれたエステマシンを自ら操作して施術を行う。操作はいたって簡単で、普段、機械にあまり触れていない人でも問題なく扱えるようになっている。以前は、受付に入会対応や機械の操作説明をするためのスタッフを置くセルフサロンも多かったが、最近はそれすらいない、完全無人型の店舗が増えている。
 エステティックサロン市場は売上規模を拡大させ続けてきた数少ない有望市場の一つだ。しかし、2019年度に3616億8000万円を記録したのを境に、コロナ禍でいったん縮小に転じた。2021年度は、前年度比97.6%の3270億円になる見込みだ。しかし、これはあくまでもコロナ対策で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出され、多くの店舗が休業ないし時短営業をしたことが原因であり、エステに対する需要が減少したからではない。つまり、事態が収束しさえすれば、再び市場は拡大に転ずるはずだ。市場調査を行っている矢野経済研究所も、2022年度は前年度比100.1%の3272億円になるだろうという予測を出している。
 中でも大きな飛躍が期待されるのがメンズエステだ。2021年度時点では、女性向けの施術が2181億円を見込むのに対し、メンズエステは93億円と、市場全体に占める割合は決して大きくはない。しかし、男性の利用者はこのところ急速に増えていて、男性利用も可能、あるいは男性専用を謳うエステサロンも各地で次々にオープンしている。中には、特に男性専用にしているわけではないのに、女性客よりも男性客の比率の方が大きいサロンもあるほどだ。とにかく、今後の期待も大きい市場であることは、このことからも明らかだ。
 セルフエステを空室対策の一手として推すのは、将来の見通しが明るいからだけでない。いわゆる二等立地、三等立地と言われるような場所でも、ビジネスが成り立つことも理由の一つだ。セルフエステ利用者は、その利用動機に「人と接したくないから」を挙げることが多い。極端な話、入店時、退店時も人に会わずに済むのであればそれに越したことはないということだ。これは、人通りの多い一等立地では難しい。結局、人と会うことを前提にし、行きも帰りも化粧まですることになる。利用者からすればこんな面倒くさいことはない。施術後は、できれば化粧などせず、すぐに家に帰りたいというのが本音だろう。人通りが比較的少ない二等立地、あるいは三等立地ならこれが可能だ。近くの駐車場があるような場所ならなお良い。終わったらそのまま車に乗って家に帰ることができる。どこでもとまでは言わないが、一見すると集客に降りそうな場所でもビジネスが成り立つのは、こうした事情からだ。
 無人ビジネスである点にも改めて触れておく必要がある。これは言い換えれば、オーナーが店頭に立つ必要もなければ、エステの技術を身に付ける必要もないということだ。開業さえしてしまえば、あとは定期清掃さえしておけば良い。無人のため24時間365日営業できるし、人件費もかからない。受付にスタッフを置く場合も、エステシャンである必要はなく、普通に接客できる程度のアルバイトで十分だ。エステ業界は人手不足が深刻なため、技術を持った人を雇うとするとどうしても高いコストがかかるが、その心配もない。だからおのずと収益性は高くなる。言ってみれば、コインランドリーのような感覚で経営できるビジネスだと言える。
 現在、セルフエステを展開する業者はかなりの数ある。当然、その中にはフランチャイズの形を採っている業者もある。もし、ビルやマンションの空室を利用してこのビジネスを始めたという方は、フランチャイズを利用するのが良いだろう。エステといっても、フェイシャル、瘦身、脱毛など、いろいろなジャンルがある。どれか一つのジャンルに特化するか、あるいはいろいろなものを取りそろえた総合的なサロンにするかはオーナーの判断次第だ。当然、メニューを増やせば増やすほど、開業にかかる費用は増えるし、店舗も大きくしなければならない。逆に、どれか一つに特化するのであれば、10~15坪程度で開業することもできる。空室でお困りの方は一度検討してみてはいかがだろうか。