コロナ禍で脚光集める体験農園ビジネス
「もう歳だし、そろそろ農作をやめようと思っている。しかし、土地をそのまま放置しておいたら税金ばかりかかってしまうし、かといって先祖代々の土地を売る気にもなれない。何か良い方法はないものだろうか・・・」
農地の活用は意外と難しいものです。ハウスメーカーや不動産屋なら、「相続対策にもなりますからアパートを建てましょう」と提案するはずですが、それはあくまでもその地域に賃貸需要があることが前提です。借り手もいないのに多額の借金をしてアパートを建てても、相続対策の効果は薄れてしまいますし、空室だらけのアパートを相続することになるご家族に迷惑をかけることになりかねません。
ではどうすれば良いのか?今回は、新型コロナウイルスの流行で脚光を浴びるようになった貸農地ビジネスを取材しました。
新型コロナウイルスが流行して以来、外出の難しい状況が続いています。週末になると家族で訪れていた商業施設やレジャー施設も、今は行きにくいですし、行っても色々な制限が設けられているため、以前のようにショッピングや食事などを楽しむことはできません。そんな中で、今、にわかにブームになっているのが農業体験です。
神奈川県茅ケ崎市、横浜市内から車で、約1時間で来れるこの場所に、一つの貸農園があります。広さは約2700㎡(30区画)。所有者の山岸徹さん(仮名)はもともと、この広大な土地でいろいろな農作物を栽培していましたが、体力的な問題から、4年ほど前に農作の規模を半分ほどに縮小。代わりに空いた半分の土地を体験農園にして、一般の方々に貸し出し始めました。
土地を活用するだけなら、他にも方法はいくつかあります。それなのになぜ、山岸さんは体験農園にしたのでしょうか?その理由について山岸さんは、
「たまたま別件で区役所に行ったときに、体験農園というビジネスがあることを知りました。アパートみたいにお金もかからないし、それでいて農業以上に儲かると聞いて、興味を持ちました」
と話します。
ところでみなさんは、農業がどのくらいの売上になるのかご存知でしょうか?実際に農業をやっている方であればすぐに分かると思いますが、そうでない方にはなかなか想像がつかないと思います。全国120カ所の農地の管理・運営を行っているマイファーム(京都市下京区)の西辻一真社長によると、
「1000㎡の土地で考えた場合、お米なら10万円、野菜なら2回作れるので30万円程度の売上になります」
だそうです。これが高いか、安いかは、個々の判断にお任せしますが、少なくとも山岸さんは、体験農園にした方が儲かると判断したわけです。
実際、開園後の売上はどうなのでしょうか?山岸さんに聞いてみると、
「開園直後はそれほど知られていなかったこともあり、あまり売上は上がりませんでした。しかし、口コミでだんだん知られるようになると、訪れる方が増え、年間で250万円ほどの売上が上がるようになりました」
と、ホクホク顔で答えました。山岸さんは特色のある農作物を作っていたこともあり、農家としての収入は、普通の農家と比べるともともと若干多かったようですが、体験農の売上はそれをはるかに上回っているそうです。しかも、昨年の頭辺りから売上はさらに伸び、300万円を売り上げたそうです。
「コロナ流行後、家族連れで訪れる方が急激に増えました。もちろんマスク等の対策は必要ですが、それでも都心部に比べれば、ずっと感染のリスクが低い。家族で楽しむにはもってこいです」
山岸さんは現在も敷地の半分で農作物を作っていますが、体験農園のスペースをさらに広げるために、年内にはその面積をさらに半分程度に縮める予定だそうです。
「7月になれば、いくつか野菜が収穫できるようになります。採った野菜をその場で食べられるように、BBQスペースも設ける予定です」
コロナ禍で脚光を浴びる体験農園ビジネス。所有地の活用にお困りの方は是非、検討してみてはいかがでしょうか。
執筆:山本政之(賃貸ビジネスジャーナリスト)
「もう歳だし、そろそろ農作をやめようと思っている。しかし、土地をそのまま放置しておいたら税金ばかりかかってしまうし、かといって先祖代々の土地を売る気にもなれない。何か良い方法はないものだろうか・・・」
農地の活用は意外と難しいものです。ハウスメーカーや不動産屋なら、「相続対策にもなりますからアパートを建てましょう」と提案するはずですが、それはあくまでもその地域に賃貸需要があることが前提です。借り手もいないのに多額の借金をしてアパートを建てても、相続対策の効果は薄れてしまいますし、空室だらけのアパートを相続することになるご家族に迷惑をかけることになりかねません。
ではどうすれば良いのか?今回は、新型コロナウイルスの流行で脚光を浴びるようになった貸農地ビジネスを取材しました。
新型コロナウイルスが流行して以来、外出の難しい状況が続いています。週末になると家族で訪れていた商業施設やレジャー施設も、今は行きにくいですし、行っても色々な制限が設けられているため、以前のようにショッピングや食事などを楽しむことはできません。そんな中で、今、にわかにブームになっているのが農業体験です。
神奈川県茅ケ崎市、横浜市内から車で、約1時間で来れるこの場所に、一つの貸農園があります。広さは約2700㎡(30区画)。所有者の山岸徹さん(仮名)はもともと、この広大な土地でいろいろな農作物を栽培していましたが、体力的な問題から、4年ほど前に農作の規模を半分ほどに縮小。代わりに空いた半分の土地を体験農園にして、一般の方々に貸し出し始めました。
土地を活用するだけなら、他にも方法はいくつかあります。それなのになぜ、山岸さんは体験農園にしたのでしょうか?その理由について山岸さんは、
「たまたま別件で区役所に行ったときに、体験農園というビジネスがあることを知りました。アパートみたいにお金もかからないし、それでいて農業以上に儲かると聞いて、興味を持ちました」
と話します。
ところでみなさんは、農業がどのくらいの売上になるのかご存知でしょうか?実際に農業をやっている方であればすぐに分かると思いますが、そうでない方にはなかなか想像がつかないと思います。全国120カ所の農地の管理・運営を行っているマイファーム(京都市下京区)の西辻一真社長によると、
「1000㎡の土地で考えた場合、お米なら10万円、野菜なら2回作れるので30万円程度の売上になります」
だそうです。これが高いか、安いかは、個々の判断にお任せしますが、少なくとも山岸さんは、体験農園にした方が儲かると判断したわけです。
実際、開園後の売上はどうなのでしょうか?山岸さんに聞いてみると、
「開園直後はそれほど知られていなかったこともあり、あまり売上は上がりませんでした。しかし、口コミでだんだん知られるようになると、訪れる方が増え、年間で250万円ほどの売上が上がるようになりました」
と、ホクホク顔で答えました。山岸さんは特色のある農作物を作っていたこともあり、農家としての収入は、普通の農家と比べるともともと若干多かったようですが、体験農の売上はそれをはるかに上回っているそうです。しかも、昨年の頭辺りから売上はさらに伸び、300万円を売り上げたそうです。
「コロナ流行後、家族連れで訪れる方が急激に増えました。もちろんマスク等の対策は必要ですが、それでも都心部に比べれば、ずっと感染のリスクが低い。家族で楽しむにはもってこいです」
山岸さんは現在も敷地の半分で農作物を作っていますが、体験農園のスペースをさらに広げるために、年内にはその面積をさらに半分程度に縮める予定だそうです。
「7月になれば、いくつか野菜が収穫できるようになります。採った野菜をその場で食べられるように、BBQスペースも設ける予定です」
コロナ禍で脚光を浴びる体験農園ビジネス。所有地の活用にお困りの方は是非、検討してみてはいかがでしょうか。
執筆:山本政之(賃貸ビジネスジャーナリスト)