全国各地で大きな地震が相次いで発生している。6月18日に大阪北部を震源として発生した直下型地震は記憶に新しいが、以降もかなりの数の地震が各地で観測されている。その数、実に100回以上・・・。ほとんど毎日にように日本のどこかで地震が発生しているのだ。
しかし、このような危機的な状況にあるにもかかわらず、既存住宅の耐震化は進んでいない。政府は2025年までに、既存の住宅のほぼすべての耐震化を完了させることを目標に掲げているが、今のところ「目標達成は難しいのでは」との見方が強い。なぜ耐震改修は広がらないのか。
大阪で累計300棟の耐震改修工事を手掛けてきたA社によると、最大の要因は「耐震改修が高額」なことにあるという。平成18年から10年間で耐震工事された木造住宅約2万3000棟に対して行われた調査によると、施工費用の平均は約152万円。旧耐震基準の建物に限ると約175万円で、新耐震基準の約133万円を大きく上回る。古い建物ほど、工事にかかる費用は高くなる。いくら安全のためとはいえ、すぐに用意できる金額ではない。「いつどこで、どのくらいの規模で発生するかも分からない地震のために、これだけの費用をかけるとなると、それなりの覚悟が必要だ。
こうした負担を減らすために各自治体は耐震改修工事に対して補助金制度を設けている。しかし、制度の存在そのものを知らないという人は意外と多くいるようだ。A社は、「過去に工事した案件の6割は補助金制度を知らなかったため、うちから提案して利用するようにお勧めした」という。耐震改修の普及には、まずは周知活動を今以上に徹底する必要があるようだ。
認知度は十分とは言えないものの、使い勝手を向上させるため、制度の改定は毎年行われている。例えば名古屋市では、平成29年度の補助金額は一般住宅の場合で上限が90万円だった。しかも補助率は対象工事費の2分の1以内とされていたため、満額をもらうためには180万円以上の工事をする必要があった。90万円をかけて耐震工事を行っても、もらえる金額は最大で45万円。全額を補助金で賄うことはできない。これが今年度は、上限が100万円に引き上げられ、補助率も工事費の5分の4以内に変更された。これによって、125万円の工事がわずか25万円の自己負担でできるようになった。
とはいえ、補助金ははじめにもらえるわけではない。自治体からの支払いは、工事が完了してからとなるため、施主は工事にかかる全費用をいったん自分で用意しなければならない。A社によると、耐震改修がなかなか普及しない原因はここにもあるという。耐震改修をしたいと思っていても、まとまった金額が用意できずに諦めてしまう人も多いようだ。
ただし、一部の自治体で設けられている「代理受領制度」を利用すれば、こうした問題も解決する。通常の場合と違い、この制度を利用すると、施主が工事業者に支払うのは、工事費用から補助金を差し引いた額となる。つまり、名古屋で125万円の工事をした場合、普通は業者に125万円を支払った後で補助金100万円を受け取るが、この制度を実施している地域では業者には25万円のみを支払えば良いというわけだ。補助金の100万円は、工事費の支払いが確認できた段階で自治体から業者に支払われる。ちなみに「代理店受領制度」は多くの市で設けられているので、一時的なものとはいえ、経済的な負担が少なくて済むため、できるだけ利用することお勧めしたい。
必要だと分かっていても、資金面の問題でなかなかできない耐震改修。今回紹介した補助金制度以外にも、金融機関による特別な融資制度などもうまく利用することで格段に取り組みやすくなる。また、補助の対象や補助金額は自治体ごとに異なるため、興味のある方はお近くの全国優良リフォーム会員に相談してみてはいかがだろうか。
しかし、このような危機的な状況にあるにもかかわらず、既存住宅の耐震化は進んでいない。政府は2025年までに、既存の住宅のほぼすべての耐震化を完了させることを目標に掲げているが、今のところ「目標達成は難しいのでは」との見方が強い。なぜ耐震改修は広がらないのか。
大阪で累計300棟の耐震改修工事を手掛けてきたA社によると、最大の要因は「耐震改修が高額」なことにあるという。平成18年から10年間で耐震工事された木造住宅約2万3000棟に対して行われた調査によると、施工費用の平均は約152万円。旧耐震基準の建物に限ると約175万円で、新耐震基準の約133万円を大きく上回る。古い建物ほど、工事にかかる費用は高くなる。いくら安全のためとはいえ、すぐに用意できる金額ではない。「いつどこで、どのくらいの規模で発生するかも分からない地震のために、これだけの費用をかけるとなると、それなりの覚悟が必要だ。
こうした負担を減らすために各自治体は耐震改修工事に対して補助金制度を設けている。しかし、制度の存在そのものを知らないという人は意外と多くいるようだ。A社は、「過去に工事した案件の6割は補助金制度を知らなかったため、うちから提案して利用するようにお勧めした」という。耐震改修の普及には、まずは周知活動を今以上に徹底する必要があるようだ。
認知度は十分とは言えないものの、使い勝手を向上させるため、制度の改定は毎年行われている。例えば名古屋市では、平成29年度の補助金額は一般住宅の場合で上限が90万円だった。しかも補助率は対象工事費の2分の1以内とされていたため、満額をもらうためには180万円以上の工事をする必要があった。90万円をかけて耐震工事を行っても、もらえる金額は最大で45万円。全額を補助金で賄うことはできない。これが今年度は、上限が100万円に引き上げられ、補助率も工事費の5分の4以内に変更された。これによって、125万円の工事がわずか25万円の自己負担でできるようになった。
とはいえ、補助金ははじめにもらえるわけではない。自治体からの支払いは、工事が完了してからとなるため、施主は工事にかかる全費用をいったん自分で用意しなければならない。A社によると、耐震改修がなかなか普及しない原因はここにもあるという。耐震改修をしたいと思っていても、まとまった金額が用意できずに諦めてしまう人も多いようだ。
ただし、一部の自治体で設けられている「代理受領制度」を利用すれば、こうした問題も解決する。通常の場合と違い、この制度を利用すると、施主が工事業者に支払うのは、工事費用から補助金を差し引いた額となる。つまり、名古屋で125万円の工事をした場合、普通は業者に125万円を支払った後で補助金100万円を受け取るが、この制度を実施している地域では業者には25万円のみを支払えば良いというわけだ。補助金の100万円は、工事費の支払いが確認できた段階で自治体から業者に支払われる。ちなみに「代理店受領制度」は多くの市で設けられているので、一時的なものとはいえ、経済的な負担が少なくて済むため、できるだけ利用することお勧めしたい。
必要だと分かっていても、資金面の問題でなかなかできない耐震改修。今回紹介した補助金制度以外にも、金融機関による特別な融資制度などもうまく利用することで格段に取り組みやすくなる。また、補助の対象や補助金額は自治体ごとに異なるため、興味のある方はお近くの全国優良リフォーム会員に相談してみてはいかがだろうか。