上場企業も倒産
女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の販売・運営を手掛けているスマートデイズ(東京都中央区)が、サブリース賃料の支払いができないと発表したことが大きな話題になっています。今回はサブリースによる賃料保証をウリに業績を伸ばしながらも、後にさまざまな要因で経営破綻した企業の歴史について紐解いていきたいと思います。
最初にお断りしておきたいのは、サブリースの仕組みや、それを軸にした建築受注のビジネスモデルは決して「悪」ではないということです。この仕組みによって金融機関からの借入金を計画的に返済し、悠々自適な暮らしをしている方は世の中にたくさんいますし、遠方に住んでいて直接経営にタッチできない方や、サラリーマンと兼業しているオーナーにとっては、これほど便利なものはありません。要は、賃貸経営をサポートするための仕組みという、サブリースの本来の存在意義を無視し、建築や管理を受注するためのツールとして利用するから、いったん歯車が狂いだすと停めることができなくなり、やがて家賃が払えなくなったり、最悪の場合、倒産に至ってしまうのです。
サブリースを巡る事件として、最初に世の中に大きなインパクトを与えたのは三和ホームとその子会社であるリエスタコーポレーションの経営破綻ではないでしょうか。2社は今から約20年前に経営破綻しました。建築から管理・運営までを一括して請け負う仕組みで受注を伸ばし、一時期はテレビCMなども流れていたので覚えている方も多いと思います。当時の資料を色々と読み返してみると、「なぜこんな会社が伸びたのか?」と思うほど悪評ばかり。派手にやっている会社は良く見えてしまうものなのでしょうか?今となっては何が決定的な原因となって潰れたのかは分かりませんが、最後は計画的に倒産しました。その際には入居者から預かっていた保証金や家賃などは返金されず、多くの家主が泣かされました。中にはまだアパートが完成前だったという方もいたようです。
大手企業では、2008年に民事再生を申請して倒産したキョーエイ産業(広島市安佐南区)も有名です。こちらは中国地方や福岡、大阪などで投資用の賃貸マンションの開発をメーンに活動。販売したマンションをサブリースし、管理・運営を請け負っていました。1999年に株式を店頭公開するなど、非常に勢いがあり、広島駅前に開発したマンションの屋上にも大きな看板を掲げるなど、地元では圧倒的な知名度有していました。しかし、マンション用地の仕入れなどで資金繰りが悪化し、最後はあっけなく力尽きてしまいました。幸いにも倒産後すぐに、サブリース事業をアムス・インターナショナルが引き継いだため、家賃未払いなどの被害を受けたオーナーは少なかったようです。
地方に目を向けると、兵庫県のリビングワールド(兵庫県加古川市)の経営破綻も大きなインパクトがありました。こちらは土地活用や賃貸管理、不動産開発、高齢者マンションなど、多角的な経営を行っていた会社で、加古川を代表する企業でした。経営破綻の直接の原因は、ファンドへ売却する予定で開発していたホテルが、サブプライムローン問題で暗礁に乗り上げたことだと言われています。八方手を尽くして再建の道を探ったようですが、色々な経営問題が発覚したこともあり、最後は自己破産しました。しかし、後に残された家主は、家賃や敷金・保証金の未払いなどで、かなりの苦渋を舐めさせられたそうです。
スマートデイズも含め、ここに挙げた企業はみな、建築とサブリースを一体にしたビジネスモデルで受注を伸ばしていました。しかも、少しでも見栄えや印象を良くするために、必要以上に保証金額を高めに設定していたと推測されます。普通であればそれでは利益が出ませんし、入居率が少しでも下がれば、たちまち赤字になってしまいます。ところが、こうした業者は建築で十分過ぎるくらいの利益を上げているため、サブリースで多少赤字が出ても痛くも痒くもないのです。しかし、こんなビジネスモデルが長続きするはずはありません。経済環境の変化で不動産市況が悪化すれば、たちまち資金繰りはショートします。サブリース物件の入居率が高く、こちらできちんと利益を出せていれば、建築で利益が出なくてもなんとかやっていける可能性はあります。しかし、建築も取れない、サブリースも赤字となれば、どうにもなりません。家賃収入があってもたちまち運転資金に回され、オーナーへの支払いが滞ることになります。
世の中にはすべて相場と言うものがあります。家賃やサブリースの保証金額にも相場があります。他と比べて不自然に保証家賃が高い場合は、その裏に何があるのかをきちんと見極めるようにしましょう。
建築後の不安を取り除いてあげるという意味で、こうした一体型のビジネスモデルは非常に印象が良いと思いますが、
女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の販売・運営を手掛けているスマートデイズ(東京都中央区)が、サブリース賃料の支払いができないと発表したことが大きな話題になっています。今回はサブリースによる賃料保証をウリに業績を伸ばしながらも、後にさまざまな要因で経営破綻した企業の歴史について紐解いていきたいと思います。
最初にお断りしておきたいのは、サブリースの仕組みや、それを軸にした建築受注のビジネスモデルは決して「悪」ではないということです。この仕組みによって金融機関からの借入金を計画的に返済し、悠々自適な暮らしをしている方は世の中にたくさんいますし、遠方に住んでいて直接経営にタッチできない方や、サラリーマンと兼業しているオーナーにとっては、これほど便利なものはありません。要は、賃貸経営をサポートするための仕組みという、サブリースの本来の存在意義を無視し、建築や管理を受注するためのツールとして利用するから、いったん歯車が狂いだすと停めることができなくなり、やがて家賃が払えなくなったり、最悪の場合、倒産に至ってしまうのです。
サブリースを巡る事件として、最初に世の中に大きなインパクトを与えたのは三和ホームとその子会社であるリエスタコーポレーションの経営破綻ではないでしょうか。2社は今から約20年前に経営破綻しました。建築から管理・運営までを一括して請け負う仕組みで受注を伸ばし、一時期はテレビCMなども流れていたので覚えている方も多いと思います。当時の資料を色々と読み返してみると、「なぜこんな会社が伸びたのか?」と思うほど悪評ばかり。派手にやっている会社は良く見えてしまうものなのでしょうか?今となっては何が決定的な原因となって潰れたのかは分かりませんが、最後は計画的に倒産しました。その際には入居者から預かっていた保証金や家賃などは返金されず、多くの家主が泣かされました。中にはまだアパートが完成前だったという方もいたようです。
大手企業では、2008年に民事再生を申請して倒産したキョーエイ産業(広島市安佐南区)も有名です。こちらは中国地方や福岡、大阪などで投資用の賃貸マンションの開発をメーンに活動。販売したマンションをサブリースし、管理・運営を請け負っていました。1999年に株式を店頭公開するなど、非常に勢いがあり、広島駅前に開発したマンションの屋上にも大きな看板を掲げるなど、地元では圧倒的な知名度有していました。しかし、マンション用地の仕入れなどで資金繰りが悪化し、最後はあっけなく力尽きてしまいました。幸いにも倒産後すぐに、サブリース事業をアムス・インターナショナルが引き継いだため、家賃未払いなどの被害を受けたオーナーは少なかったようです。
地方に目を向けると、兵庫県のリビングワールド(兵庫県加古川市)の経営破綻も大きなインパクトがありました。こちらは土地活用や賃貸管理、不動産開発、高齢者マンションなど、多角的な経営を行っていた会社で、加古川を代表する企業でした。経営破綻の直接の原因は、ファンドへ売却する予定で開発していたホテルが、サブプライムローン問題で暗礁に乗り上げたことだと言われています。八方手を尽くして再建の道を探ったようですが、色々な経営問題が発覚したこともあり、最後は自己破産しました。しかし、後に残された家主は、家賃や敷金・保証金の未払いなどで、かなりの苦渋を舐めさせられたそうです。
スマートデイズも含め、ここに挙げた企業はみな、建築とサブリースを一体にしたビジネスモデルで受注を伸ばしていました。しかも、少しでも見栄えや印象を良くするために、必要以上に保証金額を高めに設定していたと推測されます。普通であればそれでは利益が出ませんし、入居率が少しでも下がれば、たちまち赤字になってしまいます。ところが、こうした業者は建築で十分過ぎるくらいの利益を上げているため、サブリースで多少赤字が出ても痛くも痒くもないのです。しかし、こんなビジネスモデルが長続きするはずはありません。経済環境の変化で不動産市況が悪化すれば、たちまち資金繰りはショートします。サブリース物件の入居率が高く、こちらできちんと利益を出せていれば、建築で利益が出なくてもなんとかやっていける可能性はあります。しかし、建築も取れない、サブリースも赤字となれば、どうにもなりません。家賃収入があってもたちまち運転資金に回され、オーナーへの支払いが滞ることになります。
世の中にはすべて相場と言うものがあります。家賃やサブリースの保証金額にも相場があります。他と比べて不自然に保証家賃が高い場合は、その裏に何があるのかをきちんと見極めるようにしましょう。
建築後の不安を取り除いてあげるという意味で、こうした一体型のビジネスモデルは非常に印象が良いと思いますが、