相続税を大幅に圧縮できる方法として多くの投資家が利用してきたタワマン節税に規制がかかった。固定資産税が見直され、今年4月以降に販売されるタワーマンションについては新しい税制が適用される。現状を探った。
ついに「待った」の声がかかったと言えるだろう。固定資産税評価の仕組みを巧みに利用した節税対策である「タワマン節税」が、平成29年税制改正により使えなくなる。一時期は関連書籍が飛ぶように売れ、投資家向けセミナーでも高い人気を誇ったが、ついにそのブームが終焉を迎えることになる。
そもそもタワマン節税とは何か。これを理解するためには、マンションの固定資産税の評価の仕組みを知っておく必要がある。これまでの制度ではまず、土地の公示価格や資産価値などをもとにマンション全体の評価額を算定。各戸の固定資産税評価はそれをもとに、床面積に応じて算出していた。評価額は住戸の広さよって上下するため、例えば面積が同じならば1階であろうと30階であろうと評価額は同じというわけだ。しかし、これは明らかにおかしい。実際には低層階よりも高層階の方が人気があり、資産としての評価も高いと認識されている。販売価格も階数が上がるにつれて高くなるというのが一般的だ。この制度の穴を突いたのがタワマン節税だ。あらかじめ将来的な相続の発生を見越してタワーマンションを購入し、相続が発生した後に売却する。相続税の評価は階層によって変わることはないが、売却価格は階層が上になればなるほど高額になる。つまり低層階よりも高い金額で売れるにもかかわらず、納める相続税は低層階と同じなのだ。したがって高層マンションになればなるほど節税効果は高まり、より多くのキャッシュを手元に残すことができるというわけだ。しかし誰もができるわけではない。タワーマンションともなれば下手をすれば億ションだ。一介のサラリーマンが買える代物ではない。要は金持ちにしかできない節税対策なのだ。資産税に詳しい生駒税理士事務所(大阪府大阪市)の生駒哲税理士は「誰もが大きな効果を得られる節税対策がないことを考えると、これは不公平だと言わざるを得ない。この不公平感をなくすために行われたのが今回の固定資産税の見直しだと言えると思います」と話す。
年内完成・引き渡し
物件は適用対象外
タワーマンションは同じ棟であっても、階層が1つ上がるごとに固定資産税が0.26%高く評価されるようになった。したがって50階の住戸は1階と比べて13%も評価が高くなることになる。高層物件を買ってもこれまでのように高い節税効果を得ることができなくなり、一方でマンション1棟の税額は変わらないため低層階ではわずかながらも減税になる見通しだという。対象となるのは今年4月以降に売買契約を締結する20階以上(60m以上)の新築マンションで、来援以降に課税対象になるもの。年内に完成して引き渡しを受けるものについてはこれまでの制度が適用されるため、変わらず大きな節税効果を得ることができる。また、すでに中古マンションを含めすでに建っているものについても現行の制度が適用されるため、節税対策としては依然として有効だ。そのため一部のタワーマンションの高層階では価格上昇の動きが見られるという話もある。
タワマン節税がごく一部、知る人ぞ知るという程度の節税方法であったならば、おそらくこれだけの早さで規制がかかることはなかったかもしれない。ビジネスにしようという動きが活発になったことで一気に世間に知られてしまったことが、税制改正の動きを速めたのかもしれない。
そもそもタワマン節税とは何か。これを理解するためには、マンションの固定資産税の評価の仕組みを知っておく必要がある。これまでの制度ではまず、土地の公示価格や資産価値などをもとにマンション全体の評価額を算定。各戸の固定資産税評価はそれをもとに、床面積に応じて算出していた。評価額は住戸の広さよって上下するため、例えば面積が同じならば1階であろうと30階であろうと評価額は同じというわけだ。しかし、これは明らかにおかしい。実際には低層階よりも高層階の方が人気があり、資産としての評価も高いと認識されている。販売価格も階数が上がるにつれて高くなるというのが一般的だ。この制度の穴を突いたのがタワマン節税だ。あらかじめ将来的な相続の発生を見越してタワーマンションを購入し、相続が発生した後に売却する。相続税の評価は階層によって変わることはないが、売却価格は階層が上になればなるほど高額になる。つまり低層階よりも高い金額で売れるにもかかわらず、納める相続税は低層階と同じなのだ。したがって高層マンションになればなるほど節税効果は高まり、より多くのキャッシュを手元に残すことができるというわけだ。しかし誰もができるわけではない。タワーマンションともなれば下手をすれば億ションだ。一介のサラリーマンが買える代物ではない。要は金持ちにしかできない節税対策なのだ。資産税に詳しい生駒税理士事務所(大阪府大阪市)の生駒哲税理士は「誰もが大きな効果を得られる節税対策がないことを考えると、これは不公平だと言わざるを得ない。この不公平感をなくすために行われたのが今回の固定資産税の見直しだと言えると思います」と話す。
年内完成・引き渡し
物件は適用対象外
タワーマンションは同じ棟であっても、階層が1つ上がるごとに固定資産税が0.26%高く評価されるようになった。したがって50階の住戸は1階と比べて13%も評価が高くなることになる。高層物件を買ってもこれまでのように高い節税効果を得ることができなくなり、一方でマンション1棟の税額は変わらないため低層階ではわずかながらも減税になる見通しだという。対象となるのは今年4月以降に売買契約を締結する20階以上(60m以上)の新築マンションで、来援以降に課税対象になるもの。年内に完成して引き渡しを受けるものについてはこれまでの制度が適用されるため、変わらず大きな節税効果を得ることができる。また、すでに中古マンションを含めすでに建っているものについても現行の制度が適用されるため、節税対策としては依然として有効だ。そのため一部のタワーマンションの高層階では価格上昇の動きが見られるという話もある。
タワマン節税がごく一部、知る人ぞ知るという程度の節税方法であったならば、おそらくこれだけの早さで規制がかかることはなかったかもしれない。ビジネスにしようという動きが活発になったことで一気に世間に知られてしまったことが、税制改正の動きを速めたのかもしれない。