闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第50回)|知識・教養|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2024.04.01

闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第50回)

闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第50回)
22 ID経営-考えさせる社員教育とは

-野村監督と奥様の夫婦円満の秘訣を聞きたいなと思っていたんですけど。

野村 なんだろ、わかんない。

苦い顔をした。私は違う話に切り替える。

-監督は、息子さん(克則さん)に対して、自分がやりたいようにやるように教育したのですか?選手に対する指導の仕方とは違ったのでしょうか?

野村 無関心。

ポツリと言う。これまでにも何度か家族の話をしたことがある。無関心という言葉、本当の無関心ではない。父親として至らなかったということも含めて、自分への戒めも含めて出た言葉だと思った。
 息子さんは中学までは家にいたが、野球をやっていたおかげで高校、大学の7年間は野球部の寮に入っていた。つまり一番大事な時期を人に育ててもらったということだ。

-中学までは厳しく育てたのですか?

野村 好き放題だな

-野球に対しては厳しいイメージがあります。

野村 そんなことないよ。指示は出すけどほとんどコーチ任せ。全然厳しくない。俺の後をやった星野は厳しかったけどね。阪神では結構厳しく指導したみたいよ。叱られる奴は決まっているんだよ。叱りやすい奴と叱りにくい奴がいるんだろうね。中日から阪神にやってきた元チームメートの矢野は叱られることはなかったけど、もともと阪神にいた山田は無茶苦茶叱られたみたいだよ。俺は人を殴ったことがないからわかんないけど、殴ったこともあるんじゃないかな。

-やっぱり見せしめだったんですかね?こいつを殴っとけば周りもそういう環境になるとか?

野村 怖い監督というイメージを作りたかったんじゃないの?少年野球のレベルだよ。俺は逆なんだよ。プロでやる気がないのはほっときゃいいって思うの。自分で自分の首を絞めるわけだし、変わりはいくらでもいるんだから。プロなんだから、野球を仕事としてやっている以上、結果が出なければ全部自分に降りかかってくるんだから。

-この選手やる気なくなっているなと思うと、一応諭したりはするのですか?

野村 ほったらかし。ダメになっていくのも自由。うまくなっていくのも自由。そういう考えだね。

-プロですからね。学校じゃないですからね。

野村 子どもじゃあるまいし。

(次号へ続く)