M&Aしたケーキ店は1年で売上が1・7倍に
前号から引き続き、企業の売り情報を得る方法について解説したいと思います。
「掲示板パターン」とは、当社の紹介文章をWEB上に掲載し、それを見て気に入った方からのアプローチを待つという方法です。例えばM&Aクラウド等がこれにあたります。こちらからも売主にアプローチする方法がありますが、こちらも月に数十件は「買ってくれませんか?」というアプローチがあります。
メリットは向こうから「買ってください」と来るため、売り手側よりも有利に話を進められるケースが多いことです。逆にデメリットは、先方は買って欲しいという相手にしかアプローチしてこないため、自社に魅力がなければアプローチは来ません。
この掲示板のパターンでは、M&Aの案件だけでなく、出資・投資の依頼も多く来ます。出資の場合は、すでに複数のベンチャーキャピタルからお金を投資してもらい、それを使い切ってしまったため、更にお金を出資してもらえるところを探しているような自転車操業のようなベンチャー企業も多くあります。出資してもらう方には、成功してもらう出資の受け入れ方というものがあります。お金を調達できるからと言って安易に出資や投資を求めるのは会社の破滅に繋がります。※出資受け入れ側の話はまた別の時に。
最後に「直接依頼紹介パターン」についても触れておきます。数多くM&Aをしていると、不動産会社や同業者他、知り合いなどからも案件の持ち込みが増えてきます。当社には最近、Facebookからも「購入してもらえませんか?」という問い合わせがあります。
こんなことがありました。私がよく利用する整体店さんがあります。担当の子が上手で週に1回ほど通っていました。
「今度、正社員になれそうなのです」
「それは良かったね。もうオープンしてから2年近くなるからね。がんばったね」
「ただ他の系列店が赤字のため、給料はあまり上がらないようです。最終的にこの店舗が近くの店舗に統合されてしまうと、店長にはなれないみたです」
「ここいくらかな?」
「140分1万6000円でさせて頂いています」
「いやいやここのお店だよ。いくらで売ってくれるかオーナーに聞いておいてもらえないかな?」
私は個人的にお店や会社を気に入ると「売ってもらえませんか?」と相対で交渉することも多々あります。
「本当ですか?オーナーに聞いてみます」
実はこの後、重大な事実が判明します。
「すみません。オーナーに聞いたらこの店次の買い手が決まっているそうです。散髪屋さんに売却したそうです。2か月後には私も他の店舗に回されるそうです…」
思ってもいない事実が判明してしまいました。その子は結局「実家に帰ります」といって、会社を辞めて東京から兵庫に帰っていきました。
何も考えずに会社を買うのはお勧めしませんが、儲かるからということだけで思い入れのない会社を買うのもいかがなものかと思います。私の場合は必ず、楽しいかやりたいかどうかで購入判断を決めています。
実際に相対で購入したものでは洋菓子屋(ケーキ屋)さんがあります。元々の紹介者は不動産会社です。
「社長、M&Aで積極的に会社を購入していましたよね?知り合いでケーキ屋さんを売りたい方がいるのですが興味はありませんか?」
「ケーキ?やったことはない業界ですが、一度お会いするくらいなら・・・」
売主のオーナーに会ってから、とんとん拍子で話が進み、1カ月後にはM&Aの決済をしました。大阪の繁華街にあるケーキ屋さん1店舗で、買値は数千万円。EBITIDAで3.5倍ほどの案件でした。売主はこの案件を売却してインバウンド広告の方に力を入れるということでした。
そのお店は、店舗坪数4坪の極狭店舗でしたが、売上は年間2400万円。坪当たりの売上が600万円の優良店でした。
当然、面白そうだなという興味があってM&Aで購入するのですが、そこにいる社員からすると、興味があるくらいの軽い感覚で会社を購入されてもたまったものではないではないでしょう。当然、私にはそこで働いている従業員とその家族の生活を守る義務が所持ますので、「やっぱりできませんでした」では許されません。
購入後、1年で年間売上は4000万円になりました。坪当たり1000万円を売り上げる会社にすることができたのです。こちらのPMIはまた後日改めてご紹介したいと思います。
たくさんM&Aをしていると、全然違う業界から購入してくれと持ち込みがあり、新しい知見を広げられることは経営者としてはありがたいことです。
(次号に続く)
前号から引き続き、企業の売り情報を得る方法について解説したいと思います。
「掲示板パターン」とは、当社の紹介文章をWEB上に掲載し、それを見て気に入った方からのアプローチを待つという方法です。例えばM&Aクラウド等がこれにあたります。こちらからも売主にアプローチする方法がありますが、こちらも月に数十件は「買ってくれませんか?」というアプローチがあります。
メリットは向こうから「買ってください」と来るため、売り手側よりも有利に話を進められるケースが多いことです。逆にデメリットは、先方は買って欲しいという相手にしかアプローチしてこないため、自社に魅力がなければアプローチは来ません。
この掲示板のパターンでは、M&Aの案件だけでなく、出資・投資の依頼も多く来ます。出資の場合は、すでに複数のベンチャーキャピタルからお金を投資してもらい、それを使い切ってしまったため、更にお金を出資してもらえるところを探しているような自転車操業のようなベンチャー企業も多くあります。出資してもらう方には、成功してもらう出資の受け入れ方というものがあります。お金を調達できるからと言って安易に出資や投資を求めるのは会社の破滅に繋がります。※出資受け入れ側の話はまた別の時に。
最後に「直接依頼紹介パターン」についても触れておきます。数多くM&Aをしていると、不動産会社や同業者他、知り合いなどからも案件の持ち込みが増えてきます。当社には最近、Facebookからも「購入してもらえませんか?」という問い合わせがあります。
こんなことがありました。私がよく利用する整体店さんがあります。担当の子が上手で週に1回ほど通っていました。
「今度、正社員になれそうなのです」
「それは良かったね。もうオープンしてから2年近くなるからね。がんばったね」
「ただ他の系列店が赤字のため、給料はあまり上がらないようです。最終的にこの店舗が近くの店舗に統合されてしまうと、店長にはなれないみたです」
「ここいくらかな?」
「140分1万6000円でさせて頂いています」
「いやいやここのお店だよ。いくらで売ってくれるかオーナーに聞いておいてもらえないかな?」
私は個人的にお店や会社を気に入ると「売ってもらえませんか?」と相対で交渉することも多々あります。
「本当ですか?オーナーに聞いてみます」
実はこの後、重大な事実が判明します。
「すみません。オーナーに聞いたらこの店次の買い手が決まっているそうです。散髪屋さんに売却したそうです。2か月後には私も他の店舗に回されるそうです…」
思ってもいない事実が判明してしまいました。その子は結局「実家に帰ります」といって、会社を辞めて東京から兵庫に帰っていきました。
何も考えずに会社を買うのはお勧めしませんが、儲かるからということだけで思い入れのない会社を買うのもいかがなものかと思います。私の場合は必ず、楽しいかやりたいかどうかで購入判断を決めています。
実際に相対で購入したものでは洋菓子屋(ケーキ屋)さんがあります。元々の紹介者は不動産会社です。
「社長、M&Aで積極的に会社を購入していましたよね?知り合いでケーキ屋さんを売りたい方がいるのですが興味はありませんか?」
「ケーキ?やったことはない業界ですが、一度お会いするくらいなら・・・」
売主のオーナーに会ってから、とんとん拍子で話が進み、1カ月後にはM&Aの決済をしました。大阪の繁華街にあるケーキ屋さん1店舗で、買値は数千万円。EBITIDAで3.5倍ほどの案件でした。売主はこの案件を売却してインバウンド広告の方に力を入れるということでした。
そのお店は、店舗坪数4坪の極狭店舗でしたが、売上は年間2400万円。坪当たりの売上が600万円の優良店でした。
当然、面白そうだなという興味があってM&Aで購入するのですが、そこにいる社員からすると、興味があるくらいの軽い感覚で会社を購入されてもたまったものではないではないでしょう。当然、私にはそこで働いている従業員とその家族の生活を守る義務が所持ますので、「やっぱりできませんでした」では許されません。
購入後、1年で年間売上は4000万円になりました。坪当たり1000万円を売り上げる会社にすることができたのです。こちらのPMIはまた後日改めてご紹介したいと思います。
たくさんM&Aをしていると、全然違う業界から購入してくれと持ち込みがあり、新しい知見を広げられることは経営者としてはありがたいことです。
(次号に続く)