全施工物件の7割以上で不備が発覚!
-倒産はもはや時間の問題か-11月7日、そんな最悪の事態さえ考えざるを得ない衝撃のニュースが日本中を駆け巡った。建築物件の施工不備で存続の危機に瀕しているレオパレス21(東京都中野区)が、来年3月期の業績予想を大幅に下方修正し、最終的な損益が1億円の黒字から273億円の赤字に転落する見通しだと発表したのだ。昨年度も686億円の最終赤字。予想通りの結果となれば、赤字は2年連続となる。
同社が、過去に建築したアパートで耐火構造上の不備が見つかったと発表したのは昨年の5月。当初は、その数を「合計206棟」と発表していた。問題物件については速やかに補修工事を実施するとしていたことから、業績への影響は最小限で済むだろうと見られていた。しかし、時間の経過とともに、状況は改善するどころか悪化の一途を辿る。調査を進める中で新たな不備が次々と見つかり、今年4月にはついに、事態を見かねた国交省が過去に施工した約3万9000棟の全棟調査を指示。結果、10月末時点で施工不良物件の数は206棟から2万9000棟にまで膨れ上がった。驚くべきことに、全施工物件の4分の3で、何かしらの不備が見つかったことになる。
2年続けて巨額の赤字を出して、レオパレス21はもつのか。同社の現預金は昨年3月末時点で約845億円あった。それが不正発覚から3カ月後には、713億円にまで減少した。つまり、ひと月あたり約44億円のキャッシュが失われていることになる。人員削減や保有資産を売却しても、事態が当時よりもさらに悪化していることを考えれば、資金繰りはかなり切迫しているはずだ。もしかしたら、すでに底を尽きかけているかもしれない。補修工事にかかる費用も、事件発覚当初と比べると、桁違いに膨らんでいるはずだ。
苦境を脱するためには緊急的な資金調達が不可欠だ。しかし、今の同社に手を差し伸べようと考える金融機関、あるいは投資会社はあるのだろうか。通常であれば、このような大手企業の倒産は、世に与える影響があまりにも大きく、多額の貸し倒れも発生することなどから、メインバンクが中心となって経営再建に向けた援助を行う。しかし、同社の場合、これまでやってきたことがあまりにも悪質過ぎる。現時点で発表されている結果についても、そのまま鵜呑みにすることはできない。さらに事態が悪化することも考えられることから、とてもではないが支援できるような状態ではない。
一方で、管理会社によるM&Aの可能性を言及する声もある。毎月、管理料収入という確実な売上を生み出す管理会社は、経営基盤の安定につながることから、M&A市場において高い人気を誇っている。約57万室もの管理物件を要するレオパレス21が売りに出るようなことがあれば、本来は引く手あまたのはずだ。しかし、それはあくまでも管理物件の質が担保されていればの話だ。管理物件の大半が問題を抱えていると分かっていて、手を挙げる会社があるとは思えない。実際、約8万戸を管理する大手不動産会社の役員は、「管理物件が多いと言っても、今やそのほとんどは賃貸住宅の役割を果たしていないただの箱だ。修繕にかかる費用も、おそらく現時点で発表されている以上になるだろう。買っても、管理物件の数が増えるだけで、プラス要素は何一つない」と指摘する。過去に管理会社を何社かM&Aしたことがある不動産会社の役員さえも、同社の買収には全く興味を示さなかった。現状を見る限り、他の会社が救いの手を差し伸べる可能性も低そうだ。
もちろん、同社がこの難局を乗り切る可能性もないわけではない。ただし、それには、消費者の信頼回復が不可欠だ。例え計画通りに建物の修繕が行われたとしても、「レオパレス物件は危険だ」というイメージはすぐには払しょくされない。新築アパートの受注がほとんど見込めない以上、頼みの綱は管理物件だけだ。一刻も早く、入居率を事件発覚以前の水準にまで回復させないと、遅かれ早かれ資金繰りはショートするだろう。果たしてレオパレス21はもつのか?今後の動向を見守りたい。
-倒産はもはや時間の問題か-11月7日、そんな最悪の事態さえ考えざるを得ない衝撃のニュースが日本中を駆け巡った。建築物件の施工不備で存続の危機に瀕しているレオパレス21(東京都中野区)が、来年3月期の業績予想を大幅に下方修正し、最終的な損益が1億円の黒字から273億円の赤字に転落する見通しだと発表したのだ。昨年度も686億円の最終赤字。予想通りの結果となれば、赤字は2年連続となる。
同社が、過去に建築したアパートで耐火構造上の不備が見つかったと発表したのは昨年の5月。当初は、その数を「合計206棟」と発表していた。問題物件については速やかに補修工事を実施するとしていたことから、業績への影響は最小限で済むだろうと見られていた。しかし、時間の経過とともに、状況は改善するどころか悪化の一途を辿る。調査を進める中で新たな不備が次々と見つかり、今年4月にはついに、事態を見かねた国交省が過去に施工した約3万9000棟の全棟調査を指示。結果、10月末時点で施工不良物件の数は206棟から2万9000棟にまで膨れ上がった。驚くべきことに、全施工物件の4分の3で、何かしらの不備が見つかったことになる。
2年続けて巨額の赤字を出して、レオパレス21はもつのか。同社の現預金は昨年3月末時点で約845億円あった。それが不正発覚から3カ月後には、713億円にまで減少した。つまり、ひと月あたり約44億円のキャッシュが失われていることになる。人員削減や保有資産を売却しても、事態が当時よりもさらに悪化していることを考えれば、資金繰りはかなり切迫しているはずだ。もしかしたら、すでに底を尽きかけているかもしれない。補修工事にかかる費用も、事件発覚当初と比べると、桁違いに膨らんでいるはずだ。
苦境を脱するためには緊急的な資金調達が不可欠だ。しかし、今の同社に手を差し伸べようと考える金融機関、あるいは投資会社はあるのだろうか。通常であれば、このような大手企業の倒産は、世に与える影響があまりにも大きく、多額の貸し倒れも発生することなどから、メインバンクが中心となって経営再建に向けた援助を行う。しかし、同社の場合、これまでやってきたことがあまりにも悪質過ぎる。現時点で発表されている結果についても、そのまま鵜呑みにすることはできない。さらに事態が悪化することも考えられることから、とてもではないが支援できるような状態ではない。
一方で、管理会社によるM&Aの可能性を言及する声もある。毎月、管理料収入という確実な売上を生み出す管理会社は、経営基盤の安定につながることから、M&A市場において高い人気を誇っている。約57万室もの管理物件を要するレオパレス21が売りに出るようなことがあれば、本来は引く手あまたのはずだ。しかし、それはあくまでも管理物件の質が担保されていればの話だ。管理物件の大半が問題を抱えていると分かっていて、手を挙げる会社があるとは思えない。実際、約8万戸を管理する大手不動産会社の役員は、「管理物件が多いと言っても、今やそのほとんどは賃貸住宅の役割を果たしていないただの箱だ。修繕にかかる費用も、おそらく現時点で発表されている以上になるだろう。買っても、管理物件の数が増えるだけで、プラス要素は何一つない」と指摘する。過去に管理会社を何社かM&Aしたことがある不動産会社の役員さえも、同社の買収には全く興味を示さなかった。現状を見る限り、他の会社が救いの手を差し伸べる可能性も低そうだ。
もちろん、同社がこの難局を乗り切る可能性もないわけではない。ただし、それには、消費者の信頼回復が不可欠だ。例え計画通りに建物の修繕が行われたとしても、「レオパレス物件は危険だ」というイメージはすぐには払しょくされない。新築アパートの受注がほとんど見込めない以上、頼みの綱は管理物件だけだ。一刻も早く、入居率を事件発覚以前の水準にまで回復させないと、遅かれ早かれ資金繰りはショートするだろう。果たしてレオパレス21はもつのか?今後の動向を見守りたい。