スタン・ハンセン氏インタビュー第2章「プロスポーツ界に学ぶ経営と事業承継③」|著名人|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
人気

2023.12.11

スタン・ハンセン氏インタビュー第2章「プロスポーツ界に学ぶ経営と事業承継③」

スタン・ハンセン氏インタビュー第2章「プロスポーツ界に学ぶ経営と事業承継③」
「収入以上の生活はしない」を守り続けてきた人生

 プロレスラーも個人事業主だ。一生できる仕事ではないだけに、引退時に備えた準備は不可欠だ。昭和、平成の日本プロレス界を支えた伝説のプロレスラー、スタン・ハンセン氏に自身の事業承継について語ってもらった。

-スタン・ハンセンさんご自身はこれまでうまくやってこられたようですが、これから跡を引き継いでいくことになるであろう息子さんたちには、「日頃から貯金をしておくように」あるいは「借り入れはするな」というような指導はされているのでしょうか。

スタン・ハンセン そうですね。借金をするなというわけではないですが、月々きちんと払えないのであれば借金はするなというようなことは言いますね。それとまずは貯金。常に質素な生活をして、「あれが欲しい」「これが欲しい」と言うのではなく、自分の稼ぎを超えないようにすることを心掛けてほしい。実際、私自身これまでそういうスタンスでやってきましたからね。

―息子さんは、あなたの言いつけをきちんと守って成長されていますか。

スタン・ハンセン 私には子どもが4人いるのですが、みんなちゃんと成長してくれました。私以上に将来に向けて経済的な計画をしっかり立てて貯蓄をしている子もいるほどです。

―みなさん、スタン・ハンセンさんの思いをしっかり受け継がれているのですね。スタン・ハンセンさんの場合、資産は商標権に関わるものと、貯金や株式などに分けられると思うのですが、どうように承継されるかはもう考えておられるのですか。

スタン・ハンセン アメリカではかなり早い段階で遺書を準備しておくのが一般的で、私もそうしています。妻、子どもたちに平等に遺産が残せるように考えています。

―もう準備されているんですね。日本人の感覚からすると早いなと思います。

スタン・ハンセン 私は仕事で年に何回か日本とアメリカを飛行機で往復する生活をしています。そうそう起こることではありませんが、もしかしたら事故に遭うこともあるかもしれません。そうしたことも踏まえて、前もって準備しています。もっとも家や不動産、貯金などについては問題ないのですが、私の名前だったり商標権についてはまさに今、どうしたら守っていけるのか、子どもたちに引き継ぐことができるのか、いろいろ調べながら準備を進めているところです。

―お子さんの中にも、商標権を扱うのが上手な子もいれば、そうでない子もいると思います。お金のように単純に分けることができないものだけに、慎重に検討する必要がありますね。

スタン・ハンセン おっしゃる通りです。その辺のことも踏まえて、誰に何を任せるべきか考えています。

―ところでアメリカのプロレス団体の事業承継はどのようになっているのかご存じでしょうか。

スタン・ハンセン もちろんわかっています。ただ私自身、ほとんど日本を拠点に活動してきたこともあり、アメリカの事業承継には興味がありません。

―今後のビジネスについてはどのように考えているのでしょうか。

スタン・ハンセン ビジネスに関してはストックマーケットの方に力を入れています。もうプロレス関係の方には興味がありません。

―プロレスビジネス自体が昔と大きく変わった気がします。

スタン・ハンセン 私が現役だった頃と比べると、今は契約が複雑になりギャランティも何倍にも跳ね上がっています。でもビジネスは変わっても本当にたくさんのお金をもらって裕福な暮らしができるのは3%くらいしかしません。一方で生活が苦しいという人は25%もいます。儲かるのはトップランクの人たちだけです。


(次号へ続く)