空き家の活用につながるかは未知数
京都市が独自に準備を進める「非住居住宅利用活用促進税(空き家税)」が、全国から大きな注目を集めている。すでに総務相の同意を得ており、順調にいけば2026年頃には本格的に導入される予定だという。その狙いはどこにあるのか。本紙記者が取材した。
「どの自治体も空き家対策には頭を悩ませている。それだけに今回の京都市の取り組みがどの程度の成果を生み出すか、結果が非常に気になる」
京都市が全国で初めて空き家税の導入に踏み切る。すでに発表されている骨子案によると、課税対象となるのは京都市の市街化区域内の空き家約1万5000戸の所有者。税率は各戸の固定資産税評価額に応じて別表のようになる見込みだ。賃貸用物件や京町屋などの歴史的建造物などは、一定の要件を満たせば課税対象となる。また、固定資産税評価額が100万円に満たない家屋については、制度導入後5年間、課税対象外となる予定だ。京都市の担当者によると、同税の導入により得られる年間税収は約9億5000万円になるという
同市はなぜ、このタイミングで空き家税の導入に踏みきることになったのか。主な狙いは2つあるという。
一つは人口流出に伴う税収入の減少に歯止めをかけることだ。総務省の調査において、同市は人口減少数において2020年、21年と連続で全国1位を記録した。「なぜ京都のような全国的にも有名な街が?」と思う人もいるかもしれないが、これには観光都市ならではの事情がある。ご存知ない方もおられるかもしれないが、同市は、住環境に関するさまざまな規制を設けて建物の新築やリフォームを制限している。これは、伝統の古い街並みや景観を保護することが目的で、もちろん重要な施策ではあるのだが、結果的に住宅の慢性的な不足を招き、若年層の市外流出の一因となってしまっている。人口が減れば税収も減る。財政事情が苦しい同市としては、新税の導入で空き家の活用を促し、人口流出に歯止めをかけたいというわけだ。
もう一つの狙いは空き家の増加に歯止めをかけることにある。空き家問題が叫ばれるようになって久しいが、これは京都市も例外ではない。市の調査によると、その数はすでに約1万5000戸(別荘を含む)に達し、今もまだ増え続けているという。空き家は街の景観に悪影響を与える可能性がある。同市としては新税導入により空き家の活用を促進し、これ以上市内に空き家が増えるのを防ぎたいわけだ。
「空き家の活用が増えれば、住宅不足対策にもなります。それで市内の定住者が増えれば税収入も増えるというわけです」
だが、新税導入に対して疑問の声も多い。京都市内で不動産会社を経営する男性は次のように指摘する。
「新税の導入により、空き家の活用が進むかどうかははなはだ疑問です。課税されるといっても、例えば2000万円の家でも年間12万円、月額にしてわずか1万円です。これを払うのが嫌だからと大金をかけて空き家をリフォームして賃貸しようという人は、ごくわずかだと思います」
果たして「空き家税」は期待されるほどの効果を生み出すことができるのか。全国の空き家に悩む自治体が注目しているだけに、京都市としては是が非でも一定の成果を挙げたいところだ。
京都市が独自に準備を進める「非住居住宅利用活用促進税(空き家税)」が、全国から大きな注目を集めている。すでに総務相の同意を得ており、順調にいけば2026年頃には本格的に導入される予定だという。その狙いはどこにあるのか。本紙記者が取材した。
「どの自治体も空き家対策には頭を悩ませている。それだけに今回の京都市の取り組みがどの程度の成果を生み出すか、結果が非常に気になる」
京都市が全国で初めて空き家税の導入に踏み切る。すでに発表されている骨子案によると、課税対象となるのは京都市の市街化区域内の空き家約1万5000戸の所有者。税率は各戸の固定資産税評価額に応じて別表のようになる見込みだ。賃貸用物件や京町屋などの歴史的建造物などは、一定の要件を満たせば課税対象となる。また、固定資産税評価額が100万円に満たない家屋については、制度導入後5年間、課税対象外となる予定だ。京都市の担当者によると、同税の導入により得られる年間税収は約9億5000万円になるという
同市はなぜ、このタイミングで空き家税の導入に踏みきることになったのか。主な狙いは2つあるという。
一つは人口流出に伴う税収入の減少に歯止めをかけることだ。総務省の調査において、同市は人口減少数において2020年、21年と連続で全国1位を記録した。「なぜ京都のような全国的にも有名な街が?」と思う人もいるかもしれないが、これには観光都市ならではの事情がある。ご存知ない方もおられるかもしれないが、同市は、住環境に関するさまざまな規制を設けて建物の新築やリフォームを制限している。これは、伝統の古い街並みや景観を保護することが目的で、もちろん重要な施策ではあるのだが、結果的に住宅の慢性的な不足を招き、若年層の市外流出の一因となってしまっている。人口が減れば税収も減る。財政事情が苦しい同市としては、新税の導入で空き家の活用を促し、人口流出に歯止めをかけたいというわけだ。
もう一つの狙いは空き家の増加に歯止めをかけることにある。空き家問題が叫ばれるようになって久しいが、これは京都市も例外ではない。市の調査によると、その数はすでに約1万5000戸(別荘を含む)に達し、今もまだ増え続けているという。空き家は街の景観に悪影響を与える可能性がある。同市としては新税導入により空き家の活用を促進し、これ以上市内に空き家が増えるのを防ぎたいわけだ。
「空き家の活用が増えれば、住宅不足対策にもなります。それで市内の定住者が増えれば税収入も増えるというわけです」
だが、新税導入に対して疑問の声も多い。京都市内で不動産会社を経営する男性は次のように指摘する。
「新税の導入により、空き家の活用が進むかどうかははなはだ疑問です。課税されるといっても、例えば2000万円の家でも年間12万円、月額にしてわずか1万円です。これを払うのが嫌だからと大金をかけて空き家をリフォームして賃貸しようという人は、ごくわずかだと思います」
果たして「空き家税」は期待されるほどの効果を生み出すことができるのか。全国の空き家に悩む自治体が注目しているだけに、京都市としては是が非でも一定の成果を挙げたいところだ。