繁忙期に復活なるか?期待感が高まる
2022年が近づいてきた。年が明ければ、賃貸業界は繁忙期に突入する。ここにきてようやく、コロナ禍が鎮静に向かう気配が見えてきたところだけに、かかる期待は大きい。アパート・マンションの仲介会社はみな口を揃えて「今年の分を取り戻したい」と意気込む。
今年の繁忙期は、新型コロナウイルスが大流行した影響が大きく、リーマン・ショック直後に並ぶ低調ぶりだった。上場しているアパート関連銘柄の業績を見ても、それは明らかだ。順に見ていく。
特に業績が不振だったのは、アパート・マンションの建築や賃貸管理・仲介を主体とする銘柄だ。まずは大東建託(東京都港区)、東建コーポレーション(愛知県名古屋市)、シノケン(福岡市中央区)の昨年度の状況を見てみる。
大東建託は2021年3月期決算で、大幅な減収減益となった。売上高は対前年同期△6.1%の1兆4800億円と、減収幅をなんとか一桁台に抑えたものの、営業利益は対前年同期△32.2%の867億円、経常利益は対前年同期△31・9%の906億円と、いずれも30%を超える大幅減益となった。同社の業績がここまで落ち込んだのは、上場後初のことだ。
シノケンも状況は似たり寄ったりだ。2020年度12月期決算は、売上高が△0.5%の952億円、営業利益が△8.9%の88億円、経常利益が△5.8%の84億円と、いずれも前年度の数字を下回った。大東建託と比べれば減り幅こそ小さかったものの、苦しい1年だったことは容易に想像がつく。
同じアパート・マンションの建築を主力としながらも、東建コーポレーションの状況は2社とはかなり違うようだ。2021年4月期決算では、売上高が3098億円と、前年度から4.2%減らしたものの、営業利益と経常利益については、いずれも前年度を上回った(営業利益+21.4%155億円、経常利益+24.4%164億円)。
建築関連銘柄が業績不振に陥った最大の要因は、コロナ禍に伴う工事の延期や中止などが大きく響いたためだと考えられる。加えて、中国に生産工場をもつ住設メーカーからの製品供給が、中国で感染爆発が起きた影響でストップ、ないし大幅に遅れてしまったことも影響したはずだ。計画通りに引き渡しができなければ売上は上がらない。それでも経費だけはかかる。業績が悪化するのは当然だ。
ただ、東建コーポレーションだけは、グループ会社のナスラック(愛知県名古屋市)で設備や建材のほとんどを製造することができるため、メーカーの動向に左右されることなく利益を伸ばすことができた。今回のような状況を想定していたかどうかは分からないが、大東建託、シノケンとの状況の違いは、ここにあったように思う。他社に頼らない体制作りの効果が、最大限に発揮されたと言えるのではないか。
賃貸仲介・管理銘柄についても触れておきたい。日本管理センター(東京都千代田区)の2020年12月期は、売上高が前年比+9%の472億円、営業利益が△6.3%の20億円、経常利益が△6.7%の20億円で、増収減益だった。状況を考えれば、現役を最小限に抑えたことは評価できる。
一方、共立メンテナンス(東京都千代田区)の業績は悲惨だ。2021年3月期決算における売上高は121億円で、前年度から28.6%も減った。営業利益と経常利益にいたっては、ともに90億円の大赤字を計上した。新型コロナウイルスの影響で、主力事業の寮、ホテル、リゾートをまともに稼働させることができなかったことが響いた。他社と比べ、アパート・マンションの比重が低いため、一概に比較することはできないものの、状況は深刻だと言わざるを得ない。コロナが収束すれば業績は回復するだろうという楽観的な意見もあるようだが、寮やホテルの稼働率がすぐに元通りになるとは考えにくい。回復は極めて緩やかなものになるのではないだろうか。
コロナの状況次第で、業績不振だったアパート関連銘柄各社の業績もいずれ回復に転じることは間違いない。年明けの繁忙期にかかる期待は大きい。
2022年が近づいてきた。年が明ければ、賃貸業界は繁忙期に突入する。ここにきてようやく、コロナ禍が鎮静に向かう気配が見えてきたところだけに、かかる期待は大きい。アパート・マンションの仲介会社はみな口を揃えて「今年の分を取り戻したい」と意気込む。
今年の繁忙期は、新型コロナウイルスが大流行した影響が大きく、リーマン・ショック直後に並ぶ低調ぶりだった。上場しているアパート関連銘柄の業績を見ても、それは明らかだ。順に見ていく。
特に業績が不振だったのは、アパート・マンションの建築や賃貸管理・仲介を主体とする銘柄だ。まずは大東建託(東京都港区)、東建コーポレーション(愛知県名古屋市)、シノケン(福岡市中央区)の昨年度の状況を見てみる。
大東建託は2021年3月期決算で、大幅な減収減益となった。売上高は対前年同期△6.1%の1兆4800億円と、減収幅をなんとか一桁台に抑えたものの、営業利益は対前年同期△32.2%の867億円、経常利益は対前年同期△31・9%の906億円と、いずれも30%を超える大幅減益となった。同社の業績がここまで落ち込んだのは、上場後初のことだ。
シノケンも状況は似たり寄ったりだ。2020年度12月期決算は、売上高が△0.5%の952億円、営業利益が△8.9%の88億円、経常利益が△5.8%の84億円と、いずれも前年度の数字を下回った。大東建託と比べれば減り幅こそ小さかったものの、苦しい1年だったことは容易に想像がつく。
同じアパート・マンションの建築を主力としながらも、東建コーポレーションの状況は2社とはかなり違うようだ。2021年4月期決算では、売上高が3098億円と、前年度から4.2%減らしたものの、営業利益と経常利益については、いずれも前年度を上回った(営業利益+21.4%155億円、経常利益+24.4%164億円)。
建築関連銘柄が業績不振に陥った最大の要因は、コロナ禍に伴う工事の延期や中止などが大きく響いたためだと考えられる。加えて、中国に生産工場をもつ住設メーカーからの製品供給が、中国で感染爆発が起きた影響でストップ、ないし大幅に遅れてしまったことも影響したはずだ。計画通りに引き渡しができなければ売上は上がらない。それでも経費だけはかかる。業績が悪化するのは当然だ。
ただ、東建コーポレーションだけは、グループ会社のナスラック(愛知県名古屋市)で設備や建材のほとんどを製造することができるため、メーカーの動向に左右されることなく利益を伸ばすことができた。今回のような状況を想定していたかどうかは分からないが、大東建託、シノケンとの状況の違いは、ここにあったように思う。他社に頼らない体制作りの効果が、最大限に発揮されたと言えるのではないか。
賃貸仲介・管理銘柄についても触れておきたい。日本管理センター(東京都千代田区)の2020年12月期は、売上高が前年比+9%の472億円、営業利益が△6.3%の20億円、経常利益が△6.7%の20億円で、増収減益だった。状況を考えれば、現役を最小限に抑えたことは評価できる。
一方、共立メンテナンス(東京都千代田区)の業績は悲惨だ。2021年3月期決算における売上高は121億円で、前年度から28.6%も減った。営業利益と経常利益にいたっては、ともに90億円の大赤字を計上した。新型コロナウイルスの影響で、主力事業の寮、ホテル、リゾートをまともに稼働させることができなかったことが響いた。他社と比べ、アパート・マンションの比重が低いため、一概に比較することはできないものの、状況は深刻だと言わざるを得ない。コロナが収束すれば業績は回復するだろうという楽観的な意見もあるようだが、寮やホテルの稼働率がすぐに元通りになるとは考えにくい。回復は極めて緩やかなものになるのではないだろうか。
コロナの状況次第で、業績不振だったアパート関連銘柄各社の業績もいずれ回復に転じることは間違いない。年明けの繁忙期にかかる期待は大きい。