損をしない住まいづくりとは?賢い補助金制度の使い方|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2020.11.16

損をしない住まいづくりとは?賢い補助金制度の使い方

損をしない住まいづくりとは?賢い補助金制度の使い方
耐震診断の結果が倒壊する可能性大の「0.5」
補助金を活用したリフォームで「1.1」に大幅アップ

 リフォームに補助金が下りることをご存知でしょうか?もちろん、補助の対象になるためには、補助金制度ごとに定められている要件を満たす必要がありますが、それさえクリアできれば、100万円を超える補助が出ることもあります。知らないと損ですよね?補助金を活用したリフォーム事例を取材しました。

「古い家なので自治体の無料診断を受けてみたところ、倒壊の恐れがあるという結果が出て驚いた。耐震補強工事であれば助成金が出るという話を聞いたので、慌てて地元の工務店に工事を頼みました」

こう話すのは、千葉県柏市に在住の横峯大蔵(仮名)。2015年に、当時築45年の自宅の耐震補強工事を行いました。
 横峯さん宅は、延べ床面積100㎡の木造2階建て。それまでリフォーム工事は一切行っておらず、建築当初のままの状態で45年が経っていました。依頼を受けた工務店は早速、横峯邸を調査。どこに問題があるかを徹底的に洗い出し、それに基づいて改修プランを作成することにしました。
 実際に現場を見てみると、状況は想像以上にひどく、さまざまな箇所に問題が見つかりました。その最たる例が基礎の部分で、鉄筋が入っていないだけでなく、数カ所に大きなひび割れが確認されました。調査の担当者は、

「全体的にかなり傷んでいました。基礎だけなく、梁や柱にも若干ではありますがヒビが確認されました。直感的にかなりしっかりした改修工事が必要だと感じましたね」

と当時、抱いた印象を振り返りました。
 基礎については、ヒビの入った部分にエポキシ樹脂を注入した補修した後、周囲に鉄筋コンクリートの基礎を増し打ちして補強。さらに、梁や柱については接合部分を耐震金具で補強。壁については内側には耐震壁を入れ、外側は筋交いと構造用合板を使って補強を行いました。
 また、横峯さん宅の屋根はもともと瓦屋根だったのですが、この重みが家の構造にかなりの負担をかけていると判断されたため、軽く、それでいて丈夫なガルバリウム鋼板のものに交換しました。壁の補強工事と屋根材の変更で、建物の印象はだいぶ変わりました。
 耐震補強に関する工事はここまでで、高峰さん宅は同時に、水回りの改修も行いました。特にこだわったのは浴室で、古いお宅でよく見かけるタイル貼りの在来工法のものから、最新式のユニットバスに交換しました。使い心地には大満足の様子で、

「以前の浴室は、冬はとにかく寒くて、入浴が億劫でした。リフォーム後の浴室は暖房まで入れられるので、冬に寒いなんてことはまったくなく、バスタイムが楽しみになりました。妻なんて毎日、1時間くらい入浴していますよ」

 改修にかかった費用は総額で約280万円。そのうち耐震補強関連の費用は約180万円でした。このうち40万円を耐震補強工事向けの補助金で賄うことができたので、高峰さんの実施的な負担額は240万円でした。
 工事前の耐震診断では、0.5(倒壊する可能性が高い)と判定されていましたが、工事後は1.1(一応倒壊しない)となり、高峰さんも「これで安心だ」と胸を撫でおろされたそうです。
 耐震補強工事だけでなく、省エネやバリアフリー化など、リフォーム向けの補助金にはいろいろな種類があります。何を実施しているかは自治体ごとに異なり、また、それぞれ予算枠もあるので、申請すれば必ずもらえるというわけではありませんが、リフォームを検討する際には、何か利用できる補助金制度がないか、事前に確認することをお勧めします。リフォームに関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。