パロマ 給湯器メーカートップを堅持|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.10.05

パロマ 給湯器メーカートップを堅持

パロマ 給湯器メーカートップを堅持
各社が軒並み業績を落とす中で売上高は前年比+4.4%を達成

 パロマ(愛知県名古屋市)の業績が好調だ。市場の成熟化や消費増税などの影響で、住設・建材メーカー各社が業績を伸ばせない中で、2020年度は前年比+4.9%となる約4560億円を売り上げた。これはもちろん、大手給湯器メーカーと呼ばれる3社(パロマ、リンナイ(愛知県名古屋市)、ノーリツ(兵庫県神戸市))の中でもダントツの数字だ。ちなみにリンナイとノーリツはともに、前年から業績を落としている(前者の売上高は前年比-2.2%の約3404億円、後者の売上高は前年比-0.7%の約2083億円)。
 なぜ、多くの住設・建材メーカーが業績不振にあえぐ中で、パロマが大きく売り上げを伸ばすことができたのか。要因の一つと考えられるのが、他社に先駆けて推進してきたグローバル戦略の成功だ。ご存知ない方もおられるだろうが、パロマは給湯器メーカーの中でもっとも海外進出に積極的で、進出国数はすでに60ヵ国を超えている。中でもアメリカでの評価はとりわけ高く、市場シェアは約50%にもなる。これは、パロマの技術力が、国際的に高い評価を得ているという何よりの証拠だろう。国内市場ではリンナイ、ノーリツと三つ巴を演じることもあるが、実は世界的に見れば、パロマは両社とは格が一つも二つも違う会社というわけだ。
 商品開発力に対する高い評価も、好調な業績と無関係ではないだろう。同社はかねてより、使い勝手や安全性を意識した独自の機能を搭載した商品の開発に、強みを発揮してきた。給湯器の配管自動洗浄や、シャワーを一度止めて再出湯したときにいきなり冷たい水が出ないようにする機能は、同社の代名詞とも言えるものだ。また、昨年発売したビルトインコンロ「AVANCE(アバンセ)」には、コンロ上に手や袖口が近づくと、ゴトクの回りに取り付けられたセンサーがその動きを察知して自動で火力を調整する、業界初の新技術「エリアセンサー」を搭載。「子どもや高齢者が、安全にコンロ使える」としてもっぱら評判だ。まさに高齢化社会を見据えた商品だと言える。市場のニーズ、そして将来性を見越した商品を開発する力は、他社の追随を許さないと言えるだろう。
 好調パロマの躍進はいつまで続くか。リンナイ、ノーリツとの差は開くばかりで、その目はすでにもっと上に向いているのかもしれない。住設・建材メーカートップ3の座に向け、視界は良好だ。