2017年住生活業界を占う|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2017.02.06

2017年住生活業界を占う

2016年は、トランプ氏の大統領選での勝利、英EU離脱という大きな出来事がありました。国内では円安によって輸入企業にとっては耐える年となりました。しかし、円安に引っ張られる形で輸出企業の株が全体の相場を引き上げた年でした。2017年、日銀は物価上昇率2%の目標達成を2018年度にしています。
 では今年はどのような年になるのでしょうか?各業界の社長に所感を聞きました。
家電製造メーカー社長
 今年は、販売価格は底を打ち値段は上がってきます。円の価格を103円で見ておりましたが、ここ数か月で15円近く円安となりました。それと、来年は物流価格の上昇が考えられます。それらも、販売価格を押し上げる要因になります。おそらくこのままの円安水準が続くとすると、今年のTV価格の安値は3月ごろではないでしょうか?他の家電も3月末ごろが低価格商品は、底打ち時期だと思っております。

建築・リフォーム業界コンサルタント
 施工単価(人工代金)は、職人数の減少から維持とみております。商材・設備の価格に関しては維持、もしくは若干の値上がりが考えられます。一つは輸入価格が上がっている事がメーカー側の値上がり要因ですが、問屋等の販売店からすると、ネット等の流通が増えたことにより消費者が販売価格に敏感になっていることから、大きな値上がりは期待できません。今年は倒産する問屋が数多く出てくることが想定されます。
不動産会社社長
 昨年後半から銀行融資の貸出のスタンスが厳しくなりました。地域によっても差がありますが、誰でも出す、または多少の評価の足りないものは大目に見て出すといった年は終わり、今年は企業や個人の資産背景まで審査して足りないというものに関しては出さない、という本来のスタンスに戻ったと考えるべきではないでしょうか?また、タワーマンションの相続税対策も今後できなくなったり、中国をはじめとする海外投資家の購入バブルも影を潜めました。不動産業界は3月末を価格のピークとして、それからゆっくり値下がりをしていくことが考えられます。ただし、日銀の政策により現在の日本は金余りの状態ですので、そのお金のすべてが株に向かうわけではありません。価格の上昇要因は日銀の政策次第ということになると思います。

賃貸・管理会社社長
 家賃価格は、ここ数年日銀の政策とは反比例する形で下がり続けました。仮に、物価上昇により家賃価格が上がったとしても、早くて2017年末ごろになるかと思います。賃貸の家賃価格は、遅行指数になりますので、景気に1年から2年遅れて家賃に反映されます。家賃の上昇は、景気の上昇だけでなく、上向いた企業の業績が社員の給料に反映されて初めて家賃の上昇に影響が出ます。そういう意味では、国民満足度を図る一つの指標になるのではないでしょうか?