賃貸経営トラブル相談室~理不尽な言いがかりをつけてくるモンスタークレーマー~|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.10.09

賃貸経営トラブル相談室~理不尽な言いがかりをつけてくるモンスタークレーマー~

賃貸経営トラブル相談室~理不尽な言いがかりをつけてくるモンスタークレーマー~
オーナーを困らせて楽しむ愉快犯か?

 賃貸経営ではさまざまな入居者トラブルが発生します。よくあるのが

・上の階の住人の足音がうるさい
・隣の入居者が毎晩のように人を呼んで騒ぐので、うるさくて眠れない
・この物件ってペットの飼育は禁止ですよね!?先日、犬を抱えてエレベータに乗り込む人がいましたよ!
・集荷日ではない日にゴミを出している入居者がいる

等々です。それこそ枚挙にいとまがありません。理不尽な言いがかりをつけてくる「モンスタークレーマー」は、初期対応を誤るととんでもないことになるので特に注意が必要です。実例を取材しました。

「入居後、わずか3カ月間で4回もクレームを言われた。『玄関扉が閉まる音がうるさい』『どこからか子供鳴き声がするから注意してくれ』『隣の入居者がいつも夜中に帰ってくるからゆっくり眠れやしない。何とかしてほしい』等々、どれも理不尽な内容のばかりで対処の使用がない・・・。一体どうすれば良いのだろうか・・・」

 東京都内で賃貸経営を営む山田浩二さんのマンションにモンスタークレーマーと思しき人物が入居したのは2021年3月のこと。当初、最後の部屋の入居が決まって満室を達成できたと喜んでいた山田オーナーでしたが、それからわずか3カ月間の間に精神をすり減らす事態に巻き込まれてしまいました。
問題の入居者を仮にA氏とします。山田オーナーは契約をする際に必ず入居者と面談することを心掛けていて、A氏についても直接会って話をしたそうです。面談ではとても良い印象を受けたと言います。

「とても物静かで、とても大人しそうでした。勤務先は大手でこの方なら安心して部屋をお貸しできると思ったのですが、入居後、豹変しました・・・」

しかしA氏が入居してからわずか3日後、事件が起きます。その日、山田オーナーはマンションの1階に入居する喫茶店で、いつものようにコーヒーを飲みながらマスターと談笑していると、携帯電話が鳴りました。表示を見てみると、そこには先日入居したばかりのA氏の名前が。何かあったのだろうかと思った山田オーナーはすぐに通話ボタンを押し、

「もしもし、どうかされましたか?」

と反し始めました。しかし、次の瞬間、鼓膜が破れるのではないかと思うほど大きな怒鳴り声が聞こえてきたそうです。

「入居してから3日連続で、隣の入居者が夜中に大きな音を立てて眠れやしない。すぐにどうにかしてくれ!」

山田オーナーは激高しているA氏に対して「すぐに行くから落ち着くように」と言って、駆け足でA氏の部屋に向かいました。そして詳しく話を聞くと、

「とにかく一度お隣の方に連絡して夜中だということを踏まえて行動するように注意しておきます」

と言ってその場をどうにか納めました。しかし、実際に隣の住人に話をしてみたところ、帰宅はいつも22時頃で、夜中になることは滅多にないということでした。山田オーナーはこのとき嫌な予感を感じたそうです。
それから数日後、再び山田さんの携帯電話にAさんから連絡が入りました。今度の内容は、

「今度は上の階で子どもがいつも遅い時間まで走り回っている。うるさいから注意してくれ」

というものでした。これを聞いた山田オーナーは次のように言ったそうです。

「それはおかしいですね。確かにうちは子供連れのファミリーで入居している方もいらっしゃいますが、12世帯のうち1世帯だけです。それもAさんよりも3つ上の階でしかも反対端にある部屋です。仮に子どもが走り回っていたとしても、ここまで聞こえるなんてことはまずありません。何か別のものと勘違いされているのではないでしょうか?」

言われたAさんは納得できない様子で、

「私が嘘をついているとでも言うんですか。もう結構です」

と言うと、勢いよく扉を閉めてしまったそうです。何はともあれとりあえずこれで大丈夫だろうと安心したのも束の間、翌日以降も

「配達に来る郵便局員の声がうるさい」
「下の階からお経のような声が聞こえてきて嫌だ」

等々、次から次にクレームは続きました。さすがに困り果てた山田オーナーは、管理会社を連れ立って、Aさん周辺の住人について許される範囲内で大まかな説明をし、A氏が訴えるような問題が起こる可能性は極めて低いことを説明しました。これにはさすがのA氏も納得せざるを得なかったようで、以降クレームはなくなったそうです。クレームを言えなくなったことを不満に感じたのか、A氏はそれからわずか3カ月後に、転職を理由に部屋を退去したそうです。

「こんなことは言いたくないですが、クレームをつけて大家を困らせて楽しんでいるだけだったんじゃないかと思いました。一時は電話が鳴るのが怖かったです。とにかく解決できてよかったです」

 クレームにもさまざまな種類があります。純粋にオーナーの不手際が原因のものもあれば、今回のケースのように“いちゃもん”に近いものもあります。決してあきらめることなく問題解決に臨んで下さい。賃貸経営に関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。