自然災害鑑定士に聞きました~床上浸水の修理費用、一体だれが負担するの?~|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2023.06.12

自然災害鑑定士に聞きました~床上浸水の修理費用、一体だれが負担するの?~

自然災害鑑定士に聞きました~床上浸水の修理費用、一体だれが負担するの?~
梅雨のゲリラ豪雨で自宅前の河川が氾濫

 梅雨が近づいてきました。一昔前と比べると、最近の梅雨は雨量が圧倒的に多く、毎回のように各地に大きな水害被害をもたらしています。豪雨や暴風雨、台風などによって引き起こされた洪水や高潮、土砂崩れで、家屋が被害を受けたとう報告が後を絶ちません。みなさんもいざという場合に備え、今のうちに万全の準備を整えましょう。火災保険を使った水災被害対策についてまとめました。

「大雨で雨漏りが発生して、2階の部屋にあったテレビやタンスなどが台無しになってしまった・・・」
「家の前を流れる川から水があふれだし、自宅が浸水した・・・」

毎年梅雨の時期になると、全国各地で水災被害が発生します。自然災害ゆえにどうしようもない面もありますが、問題は被害を受けた家の修理や家財の買換えにかかる費用を誰が負担するのかという点です。水災は被害額が大きくなりがちなだけに、この費用負担は大きなネックになります。
ここで思い出していただきたいのが火災保険です。

「なんで水災被害で火災保険?」

と不思議に思う方もいるかもしれませんが、実は火災保険は火災以外にも、さまざまな自然災害被害に対応しています。もちろん、契約内容や加入している保険によって、補償の範囲は異なりますが、現在、国内で流通している火災保険の多くには、火災だけでなく、水災や風災といった自然災害被害も補償対象になっています。実際に水災で床上浸水した自宅の修理費用を、火災保険で賄った事例をご紹介します。

「長年この町に住んでいるが、マンホールから水があふれ出したのを初めて見た。おかげで自宅は床上浸水するし・・・。でも火災保険に入っていたおかげで、ほとんど費用負担することなく家をもとの状態に戻すことができた」

 山梨県にお住いの和田武さん(56)のお宅は、2016年に降ったゲリラ豪雨に伴う河川の氾濫によって、大きな被害を受けました。家の1階部分のほとんどは泥水に浸かり、家具や家電はすべて水浸し。電気やガスなどのライフラインも使えない状態になってしましました。

「避難所から戻って自宅の様子を目にしたときは絶望しましたね。一体何から手を付けていいのか分かりませんでした・・・」

 とはいえ、いつまでも立ち尽くしていても仕方ありません。気を取り直した和田さんは間もなくして、家の復旧に向けていろいろと準備に着手。屋内の泥の掻き出しをしながら、工務店に連絡し家の修理を依頼。また、奥様やお子さんは壊れた家電の買換えにいくらくらいかかるのかを確認するために、近くの家電量販店に何度も足を運んだそうです。

「計算の結果、1階部分の工事と家電の買換えには、総額180万円かかることが分かりました。正直、それだけの大金をまとめて用意できないし、一体どうしたものかと途方に暮れてしまいました」

そんな和田さんの様子を見た工務店の担当者は次ように言いました。

「状況的に、先日降ったゲリラ豪雨が原因であることは明らかです。これなら、おそらく火災保険で補償されると思いますよ。相談してみましたか?」

 はじめはは何のことかさっぱり分からなかった和田さんでしたが、しばらくして何かを思い出し、2階の自室にしまってあった火災保険の契約書を確認してみました。するとそこには「水災補償について」と書かれた項目がありました。

「加入してからだいぶ経っていたのですっかり忘れていましたが、水災補償が付帯していました。すぐに保険会社に電話して確認したところ、調査員の報告を受けてからでないと確実なことは言えないが、被害状況と契約内容によっては、今回かかるであろう費用はすべて保険金で賄うことができるかもしれないということでした」

 火災保険では通常、床下浸水は保険の適用対象外になっています。しかし和田さん宅は1階部分が水に浸かる床上浸水だったため、補償の対象になりました。家具・家電についても、補償対象を「建物と家財」としていたため、適用を受けることができました。その結果、自宅の修理や家具・家電の買換えにかかった費用約180万円を、全て保険金で賄うことができたそうです。

「一時はどうなることかと思いましたが、火災保険のおかげで救われました。被害がないに越したことはありませんが、もしもの場合に備えて準備しておくことがいかに大切かを実感しましたね」

 雨が多くなるこれからの時期。いつどこで、暴風雨や豪雨が発生するか分かりません。万が一の場合に備えて、みなさんも今のうち火災保険の見直しをされてみてはいかがでしょうか?ご相談はお近くの自然災害鑑定士まで。