賃貸経営トラブル対策講座(第4回)~退去者が置き去りにした自転車が25台も・・・~|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.01.24

賃貸経営トラブル対策講座(第4回)~退去者が置き去りにした自転車が25台も・・・~

賃貸経営トラブル対策講座(第4回)~退去者が置き去りにした自転車が25台も・・・~
「駐輪場があるのにスペースがなくて自転車を置けない」とクレーム!

 賃貸経営には、さまざまな入居者トラブルがつきものです。エントランス周りやゴミ捨て場など、共有部にまつわるトラブルも少なくありません。今回は、「駐輪場」を巡って起きたトラブルの顛末を取材しました。

「駐輪場を自由に使えると聞いていたのに、実際に入居してみると、自転車がいっぱいで自分のものを置けるスペースがなかった。話と違うじゃないか!」

 大阪市内に賃貸マンションを所有する松山敬オーナーは今から3年前の4月に、入居したばかりの入居者Aさんから冒頭のような苦情を受けました。
 松山さんのマンションの総戸数は30戸。15戸は広めの2LDKで夫婦や子育て世帯が入居、残りは1LDKで、カップルや単身者が入居していました。場所柄、移動には自転車が便利なため、マンションの1階部分には広めの入居者専用駐輪場が設けられていました。駐輪場はオートロック式のエントランスを通って入るため、入居者以外の人が勝手に停めることはできません。そのため、部外者の利用を防ぐ駐輪シールは配布していませんでした。
 苦情を言ってきたAさんは、内見時に駐輪場も確認していました。それなのになぜ、今回のようなクレームが発生してしまったのでしょうか?
 そもそもの問題は、駐輪シールを配っていなかったことにありました。駐輪シールの本来の役割は、どれが入居者の自転車なのかを一目で分かるようにすることなので、松山さんのマンションのように、部外者が立ち入れない場所に駐輪場がある場合は必要ないように思われがちです。しかし、実は駐輪シールの役割は他にもあります。それは、定期的に貼り替えてもらうことで、すでに退去した人が置いていってしまったものや、壊れたまま放置されているものなどを選別することです。松山さんのマンションでは駐輪シールが配布されていなかったため、今の入居者が使っているものがどれなのかがまったく分からなくなってしまっていたのです。これでは、いくらスペースが広くても、すぐにいっぱいになってしまいます。
 内見を行った時間帯が、平日の日中だったことも良くありませんでした。入居者の多くが自転車で出掛けていたため、放置自転車があっても、駐輪場には余裕があるように見えたのです。

「スペースにはまだだいぶ余裕があるので自由に使って下さい」

駐輪場の利用について聞かれた内見担当者は、そう答えてしまったようです。
 入居初日、Aさんが自転車を置きに駐輪場に行くと、そこには所狭しと、自転車が置かれていました。とてもAさんの自転車を置けるような状態ではありませんでした。

「話と違う・・・」

結果、Aさんはオーナーに苦情を申し立てることになったわけです。
 クレームを受けた松山さんは管理会社と相談の上、現入居者の自転車以外を処分した上で、定期的に駐輪シールを配布することにしました。

「入居者の協力して頂き、不要な自転車を選別したところ、25台も出てきました。現在の入居者が壊れたからと放置したものはなく、すべて過去の入居者が退去した際に置いていったものでした」

 結果、駐輪場はすっきりし、Aさんの自転車を置いても、だいぶ余裕がある状態になりました。

「駐輪場が使いやすくなったと、他の入居者も喜んでくれました。今まで気付かなくて申し訳ないという気持ちでいっぱいです」

 -たかが駐輪場-と思う方もおられるかもしれませんが、駐輪場を巡るトラブルは意外と大事になることもあります。例えば、

・整理整頓がされていなかったため、自転車がドミノ倒しになり、何台か壊れてしまった
・隣の自転車が倒れてきて子どもケガをした

といったケースです。駐輪シール一つあれば解決できることなので、みなさんも是非、この機会に駐輪場の管理について考えてみてください。賃貸経営に関するご相談はお近くの全国優良リフォーム会員まで。